テニスと人権

人がテニスをするには、趣味・健康維持・ファッション・生業など様々であろう。されどスポーツ、テニスを始めた理由を問うと、「楽しいから。」という答えがだれからも返ってくるはずである。

テニスは本来楽しいものであり、人権を否定するようなこと、または、否定されるようなことがあってはならない。一見華やかに見えるテニス界にも人権感覚を疑うような出来事は存在する。

1. ドーピング検査機構を監視しよう

クルム伊達公子選手時代のドーピング検査は警察沙汰になるほどひどいものだった。

寝入った瞬間にアンチ・ドーピング機構にたたき起こされ「寝不足で怪我したら誰が責任をとってくれるのか?」「これでパフォーマンスが落ちたら?」などの抗議をしても「仕事ですから。」の一点張りで、拉致があかなかったそうだ。

さらに、寝不足で満足な練習ができず、怪我をしないように体をコントロールすることで精一杯だったとblogで綴っている。

トップ10内の選手には、さらに厳しく、居場所もアンチ・ドーピング機構に知らせなくてはならない。健康体のプレーヤー同士が真剣勝負をしてほしいと、テニス関係者・テニスファンならだれでも思うものである。

しかし、ドーピング検査が選手の体力や技術、さらには精神まで蝕んでいる事実を忘れてはならない。テニス全体の公平性を保つために選手の人権は否定されている。

この悪しきシステムを是正するためには、アンチ・ドーピング機構を監視する機関の立ち上げをするべきではないだろうか。

2. マイケル・チャンのもう一つの戦い

いろいろな選手からのコーチとしてのオファーを断り続けたマイケル・チャンは、今は、錦織圭のコーチとして活躍している。マイケル・チャンの目標は、錦織をナンバーワンにすることと、4代大会のいずれかで優勝させることだろう。

マイケル・チャンのもう一つの戦いは、白人至上主義のテニス界に一石を投じて、アジア人でもできることを世界に知らしめ、アジア人に対する差別意識をなくしていくことだろう。

コーチとしてのマイケル・チャンの厳しい眼差しは、アジア人を蔑視する白人至上主義者との闘いでもある証明だ。ふたりで是非、アジア人のアイデンティティーを世界に認めさせてほしい。頑張れチャン!

3. 映画「バトル・オブ・セクシーズ」から見とれるもの

テニスファンなら鑑賞してみたいと思う内容の作品である。筆者は上映期間中は見ることができなかった。

ストーリーを調べてみると、これが事実?と驚いた。ビリージーン・キングが女子テニスの尊厳のために、引退していた男子テニスプレーヤー(元世界チャンピオン)と試合をしたというのだ。

このころの女子の優勝賞金は男子の8分の1というのだからキングが怒るのもうなずける。また、LGBTの問題を世界に知らせ、人間の尊厳について問題提起した最初の有名人はビリージーン・キングではないだろうか。まだ封建的な世界に一石を投じた彼女の行動はコートの外での闘いでもあったに違いない。

筆者は、契約している衛生放送局でいずれ放送されるであろうこの作品を鑑賞し、時代の空気を感じるとともに、キングの生きざまを称賛したいと思う。