車いすテニスのルールとその凄さ。

出典:Twitterより

日本の車いすテニス界には国枝慎吾と上地結衣という男女共に世界トップクラスの選手がおり、TVメディアのスポーツニュースでも結果が報道されるなど車いすテニスは一定の知名度を獲得しています。

しかしながら、車いすテニスのルールや選手たちの凄さはまだまだ正しく認知されていないのが現実です。今回はそんな車いすテニスについて記事にしました。

車いすテニスとは。

車いすテニスは文字通り車いすに乗りながらテニスをする競技です。使用するコートやルールは普通のテニスとほぼ変わりません。大きな違いは車いすテニスの場合、ボールを返球するまでに2バウンドが許されるという点です。

健常者でも車いすテニスをプレイすることは可能ですが、競技としてのプレイはルール上では下肢に障害がある人に限定されています。

車いすテニスは「男子」「女子」「クアード」と3つの競技に分かれており、通常のテニス同様にシングルス、ダブルスで競い合います。「クアード」は英語で四肢麻痺を意味し、試合も男女混合で実施します。麻痺の度合いによって電動車いすの使用も認められています。

車いすの扱いとルール。

車いすテニスは車いすという道具を使用してテニスをプレイするわけですから、車いすの扱いについてはいろいろとルールが規定されています。

車いすテニスではルール上、車いすは身体の一部として扱われますボールを打球する際に椅子から臀部を浮かせたり、足を使ってのブレーキ、方向転換、そしてプレイ時に地面に足をつけることは禁止されています

サービスを打つ際のルールも決められており、サーバーはサービスを始める直前は静止する必要があり、ボールを打つ直前のみ車いすをひと漕ぎすることが認められています。

テニスのサーブ時にベースラインやセンターマーク、サイドラインの延長線上に足が触れてはいけないのと同様に、車いすテニスではサービス時に車輪がラインに触れてはいけないというルールがあります。

車いすテニスは洗練された競技。

試合映像を観ると、車椅子テニスの凄さが分かる。

車いすテニスと聞くと、普通のテニスに比べてダイナミックさに欠けるイメージを抱く人も多いのではないでしょうか。そういった人は実際に試合を観戦すると選手の動きやボールの速さに驚くはずです。

TVの中継映像は上から俯瞰したような映像のため、なかなかボールの速さを実感することができません。国枝選手の練習を実際に目にしたことがあるのですが、ボールスピードは想像以上に速く、車いすを自在に操るチェアワークによるコートカバーリングの広さにも驚かされました

車いすテニスの歴史。

アメリカのB.パークスが車いすテニスを競技として普及させた。
引用:Twitterより

そもそも車いすテニスはどのようにして現在のようにプロ選手が登場するまでに競技化されていったのでしょうか。その変遷を調べてみました。

リハビリとして誕生する。

車いすテニスはスキー競技中の事故により下半身不随になったアメリカのブラッド・パークスが1976年にリハビリ目的で、車いすテニスをするために車いすを改良し始めたことに起原があります。

競技化と大会の開催。

パークスが車いすテニスを始める以前にもレジャーとして車いすテニスはありましたが、車いすの改良により競技化が進行していき、アメリカでエキシビションマッチが開催されるようになります。

その後、パークスは1980年に自身が中心となってアメリカ車いす財団を設立同年に初の全米オープンが開催。アメリカの各地でツアーが行われるなどスポーツとして普及していきます

アメリカから世界へ普及していく。

パークスは車いすテニスの教本を出版するなど普及に力を注ぎます。その結果、車いすテニスはヨーロッパや日本にも広がっていきます。1980年代後半には国際テニス連盟が競技としての車いすテニスを承認し、国際車いすテニス連盟が設立されます。

車いすテニスは1992年バルセロナパラリンピックでは正式競技となるまで普及します。2000年代に入ると、テニスの四大大会でもオープン競技だった車いすテニスが正式部門として格上げされ、テニスツアーの仕組みも整備されるなどして今日に至っています。

車いすテニスのランキングの仕組み。

車いすテニスのランキングはどのような仕組みで決まっているのでしょうか。世界ランキング獲得までの道のりを簡単に説明していきます。

国内ランキングを獲得する。

車いすテニスで世界ランキングを獲得するためには、まず国内ランキングを獲得する必要があります。

国内ランキングを獲得するためには日本車いすテニス協会(JWTA)に入会し、ポイントを獲得できる対象大会への出場が必要です。ちなみに車椅いすテニスの場合は獲得ポイント数の多い上位3大会の合計獲得ポイントで日本ランキングが算出されるルールとなっています。

世界ランキング獲得にはIPIN登録が必要。

世界ランキング獲得にはITFへの登録が必要。
引用:ITFより

世界ランキングを獲得するには国際テニス連盟(ITF)への選手登録(IPIN登録)が必要です。登録完了後に対象大会に出場することでITFランキングのポイントが獲得できます。

世界ランキング獲得後は徐々に出場する大会のカテゴリーを上げていく事で、テニス界の最高峰である四大大会に出場することができるようになります。

日本では車いすテニスの国際大会は2019年に8大会開催されており、国内での活動だけでも十分に世界ランキングを獲得するチャンスがあります。

日本が誇る車椅子テニス界のレジェンド。

国際的に競技化された車いすテニス界では国枝慎吾上地結衣という2人の日本人選手が世界1位を記録するなど世界を舞台に活躍しています。

国枝慎吾

日本が誇る車いすテニス界のレジェンドが国枝慎吾選手です。

日本初の車いすテニスのプロ選手として活動しており、年間グランドスラム達成5回を含む四大大会のシングルス優勝数は27回五輪では単複で金メダル獲得など、圧倒的な戦績を残しています。

日本のテニス記者が男子テニス界のレジェンドであるフェデラーに「なぜ日本には世界的なテニス選手がいないのか?」と質問した際に「日本には国枝がいるじゃないか!」と回答するほど、世界的にリスペクトを集めている選手です。

上地結衣

上地結衣選手は日本が世界に誇る女子車いすテニスのトップ選手です。

世界ランキング1位の獲得経験もあり、シングルスの四大大会優勝数は8回と、20代半ばにして既に大きな実績を残しています。今後も数多くのタイトルを獲得していく事は間違いありません。男子の国枝選手のような地位を女子車いすテニス界で築いていく可能性も十分に考えられます。

五輪も含めて車椅子テニス界にも注目!

車いすテニスは競技化が進んだことでパラリンピックの種目の中でもかなり高い注目度を持つようになりました。まだ開催に不透明感はありますが、2021年の東京パラリンピックでは日本人選手の金メダル獲得が期待されています。

パラリンピックだけでなく、日本のテニス界が盛り上がることで車いすテニスへの注目度も上がっていくはずです。ぜひ車いすテニス選手の活躍にも今後注目してみてください。