フェデラーのフォアハンドを考察する。

現役にして既にテニス界のレジェンドであるロジャー・フェデラーのプレイは非常に洗練されています。無駄な動きがなくお手本のような数々のショットは全てのテニスプレイヤーの憧れと言っても過言ではありません。今回はそんなフェデラーのフォアハンドにスポットライトを当てました。

ロジャー・フェデラー

今更ですがフェデラーの凄さをこれまでの戦績(2020年11月現在)で確認しておきます。

  • シングルス自己最高位:1位
  • 通算成績:1242勝271敗(勝率.820)
  • 獲得タイトル数:103個
  • 通算獲得賞金額:$115,969,871(約120億円)
  • グランドスラム制覇数:20(全豪:6・全仏:1・全英:8・全米:5)

通算成績ではほぼ全ての項目で史上最高の数字を残しており、現役選手でありながらテニス史上最高の選手と言われるのも納得です。

2004年に21歳の若さで世界ランキング1位に到達したフェデラーは長くトップの座を維持していましたが、ナダルやジョコビッチの台頭により、2010年代はランキングを落とします。しかし、36歳を迎えた2018年に再び世界No.1となり、世界1位の最年長記録を更新するなど非常に息の長い活躍を見せています。

フェデラーのプレイ。

ウィンブルドンで史上最多8度の優勝を記録するなど、グラスコートを得意としており、同じフォームから何種類ものサービスを打ち分け、あらゆるショットの質が高いオールラウンドプレイヤーです。

歳を重ねてからは体力の温存も兼ね、プレイスタイルは積極的になり、速い展開で攻撃を仕掛け、どんどんネットを取るようなスタイルにシフトしています。

ネットプレイに出る頻度は非常に高いものの、決してストロークが苦手ということはなく、フォア・バック共にストロークの質と技術は男子ツアートップレベルです。

フェデラーのあまりの技術の高さに、往年の名選手であるエドバーグは、フェデラーのプレイスタイルは「ロジャー・フェデラー」というプレイスタイルだと形容したほどです。

フェデラーのフォアハンド。

全てのショットに優れたフェデラーですがフォアハンドの評価も非常に高いです。ボールスピードやスピン量の調整は自由自在で、状況に合わせて適切なショットを正確に打ち込んでいきます。

フェデラーのフォアハンドは力みを感じさせないほど無駄な力が入っておらず、理想的なスイングすることから、「a great liquid whip」(素晴らしい水の鞭)と形容され、元世界1位のJ.マッケンローにもテニス界で最高のフォアハンドと称賛されるほどです。

何故フェデラーのフォアハンドは強力なのか?

フェデラーのフォアハンドの凄さは既に多くの人に知られていますが、なぜフェデラーはあれだけ素晴らしいフォアハンドを打てるのか!?その要因を考察していきます。

ボールの予測と最高のフットワーク。

フェデラーのプレイを見ていると分かりますが、回り込みのフォアハンドでウィナーが奪うことが非常に多いです。試合を観戦していると、間に合わないのではないか?と思うようなボールでさえ回り込み、強烈なフォアハンドを打ち込んでいることも少なくありません。

自分にとって最適な打点に最短距離で移動できるだけのフットワークと、相手の打ったボールのスピードや回転を正確に判断できる観察力と予測力を兼ね備えていない限りは決して実践することのできない技術です。

ショットの成否は事前準備で9割ほど決まると言われていますが、世界最高レベルの相手を前に、いとも簡単そうに完璧な準備を実践しているフェデラーには脱帽するしかありません。

最後までボールから視線を切らない。

初心者がテニスをするときによくアドバイスとして「ボールをよく見る」と言われますが、それを最も忠実に実践しているのがフェデラーです。

スロー映像やインパクトの瞬間を撮影した写真などを確認すると分かりますが、フェデラーは決してインパクトから視線を切らずにしっかりとボールを最後まで見ていることが分かります。

ついついボールの行方が気になって早いタイミングで目線をボールから切ってしまう人は多いですが、フェデラーのフォアハンドを確認すると基本がどれだけ大事なことかを再確認することができます。

あらゆるボールを打ち分けるグリップ。

フェデラーのように状況に応じてボールの回転を自在にコントロールするにはグリップも重要になります。

フェデラーがフォアハンドで使用しているのはイースタンフォアハンドグリップです。このグリップを使用することでボールの回転を自由に調整することができます。英語ですが上記の動画では図入りでグリップを確認できるので気になる方はご確認ください。

無駄のないスイング軌道。

強力なフォアハンドを打つためにはボールをインパクトするまでにどれだけスイングを加速させられるかが重要になります。ツアーでも決して大柄というわけではないフェデラーがツアー最高のフォアハンドを打てる理由は無駄のない理想的なスイングをしているからにほかなりません。

:ボールを追う際にスイングの準備として上体をターンさせてテイクバックを行います。上体をターンさせる際のポイントは左手を添えてラケットヘッドは立ててテイクバックをすることです。ラケットをしっかりと後ろに引いてからは左手はベースラインと平行になるように横に出し上体の捻りを維持します

:その後、ボールを打つ直前に腕と手首を脱力させながらラケットを打点よりも低い位置に1度ヘッドダウンさせます。ヘッドダウンによって、インパクトまでにスイングを加速させる助走距離の確保と、ボールにスピンをかける準備を並行して行うことができます。

:ヘッドダウンが完了したらグリップをしっかり握るイメージでラケットをスイングしていきます。スイングの際に、ボールを深く飛ばしたければボールを押し出すようなイメージでフォロースルーを前に取り、スピンをかけたい場合はフォロースルーは前でなく上に振りぬくようなイメージでスイングします。

上記の①→②→③を力まずにスムーズに実践することでスピードと回転を両立したフォアハンドを打てるようになります。

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フェデラーのフォアハンドは最も基本に忠実。

フェデラーのフォアハンドは決して特殊の打ち方をしているわけではありません。むしろ誰よりも基本に忠実な打ち方をしていると言えます。

フェデラーが優れているのはツアーレベルの高速ラリーの中でも自分にとって最適な打点に高い確率入ることができるフットワークや予測力といえます。その点がフェデラーをフェデラーたらしめる最大の要因かもしれません。

フットワークや予測力は簡単に真似することはできません。しかし、その他の部分は一般プレイヤーでも参考にできることばかりです。フェデラーのようなフォアハンドを目指して今回紹介した技術・ポイントを自分のフォアハンドに取り入れて練習してみてください。