白熱のマイアミ大会 女子編

男子はレジェンド フェデラー選手が通算101勝目をあげたマイアミオープン、女子は世界ランク11位のオーストラリア バーティ選手が初優勝を飾りました。

我が大坂なおみ選手は、インディアンウェルズに続き大会序盤の3回戦で敗退と、今後が少し心配されます。

マイアミオープンを振り返り、今後の女子テニスの展開を占います。

大坂選手

大坂選手がどうも元気ありません。全豪で初優勝、グランドスラム2大会連続優勝という偉業を達成し、一層の飛躍が期待されていましたが、一体どうしたのでしょうか?

全豪後の3大会

2月のドバイでは初戦でムラデノビッチ選手に敗退、昨年見事優勝したインディアンウェルズでは、初戦でまたもやムラデノビッチ選手と対戦するというめぐりあわせでしたが、ここは見事に雪辱を果たします。

続くコリンズ選手を一蹴して4回戦ではスイスの同年代ベンチッチ選手との対戦となりました。デビュー当時から期待されていたベンチッチ選手、ケガなどの影響で低迷期が続きましたが、元々は実力者で油断のならない相手とみられていました。それでも全豪時の大坂選手をみれば、大方勝利を疑う人はいなかったでしょう。

ところがこの試合は、3-6、1-6とまさに「完敗」、ベスト8を前にここでも姿を消すこととなりました。これがクレーコートや、グラスコートであれば、さほどの心配はいらなかったでしょう。しかし、最も得意なハードコート、また地元といっていいアメリカ開催、良い条件がそろっている中でのこの結果は、首をかしげるファンも多かったことでしょう。

今度こそとして臨んだマイアミ、初戦を苦しみながらもフルセットの末、ウィックマイヤー選手を退けた大坂選手、3回戦の相手は台湾のシェイ選手です。現在ツアーの中で、スアレスナバーロ選手、スビトリーナ選手などと並ぶ最も大坂選手の「苦手」な一人がシェイ選手です。

大坂選手は、セリーナ選手やプリスコバ選手に代表されるいわゆる「パワーヒッター」系の選手には滅法強みを発揮します。反面このシェイ選手や、セバストワ選手などの「技巧派」系選手をとても苦手にしています。打っても打ってもふんわり、ふんわりと返され、意表を突くドロップショット、急に滑ってくるスライスボールなどのチェンジオブペースに揺さぶられると、アンフォーストエラー度合いが増えていき、メンタル面でもダウンして敗退、というケースが見受けられます。

マイアミでのこの試合は、勝利まで後2ポイントでした。シェイ選手技巧を、大坂選手がパワーで打破するところまでもう一歩でした。ところが全豪とは逆に、勝利を意識した大坂選手が痛恨のダブルフォルトを犯し、勝利の女神がスルスルと逃げていったのです。結局フルセットの末敗退、ついに全豪後の3大会では、どれも第一シードながらベスト8にすら進めないという憂き目にあいました。

クレーシーズンへ突入

バジンコーチの解任劇以降、良い結果が出ていない現状は、これを原因とは考えたくないですが、どうしても結び付けてしまいます。本来負ける相手ではないと思われた選手に大会序盤での敗退は、ショックが大きいです。またそれがハードコートであったことは、大坂選手の自信に揺らぎが出てくることでしょう。

これからは5月の全仏に向けて、クレーコートシーズンに入っていきます。シュツットガルト、マドリード、ローマのプレミアム大会も控えています。大坂選手にとって、決して得意とはいえないクレーコートですが、逆に言うとハードコートの大会が続くよりは良かったかもしれません。じっくりとサーフェスの違いを体感し、開き直り気味にクレーコートの大会に臨んだ方が、好結果を生むかもしれません。

世界一位のプレッシャーはあらゆるシーンで大坂選手を襲ってきます。ここはメンタル、フィジカルともに立て直し、心機一転全仏を目指してもらいたい大坂選手です。

群雄割拠の女子テニス界

全豪後の大坂選手の思わぬ不振は、女子テニス界の群雄割拠状態を加速させている感があります。大坂選手のみならず、全豪で大坂選手と決勝を争ったクビトバ選手、世界二位のハレプ選手、強打のプリスコバ選手、実績十分のケルバー選手なども上位進出する大会はあるものの、優勝まで至っていません。バーテンズ選手、メルテンス選手、またインディアンウェルズで大坂選手を破ったベンチッチ選手らが大会を制覇、そしてマイアミではバーティ選手が見事初優勝しました。

バーティ選手は元々実力者です。あのストーサー選手の後継者とも思えるツアーの中でも指折りの安定したサービス力を持ち、きっちりと試合を作ってきていました。強豪相手に良い試合をするものの、中々勝利に結びついてきてませんでしたが、ついにプレミアムグレードのマイアミを制覇、大いに自信をつけました。

これで世界ランクもトップ10入りを果たし、ますます飛躍が期待されます。クレーコートよりはハードコート向きのプレーヤーとはいえますが、自信に裏打ちされたプレーは怖いものがあります。クレーコートになるとやはりハレプ選手、ケルバー選手などが浮上してくるでしょう。ハレプ選手はマイアミではベスト4と安定した成績をおさめており、全仏2連覇を虎視眈々と狙っています。

さあ、華やかな晩春から初夏のクレーコートシーズンがとても楽しみです!