クレーシーズン到来!

さわやかな青空に映えるレッドクレー、いよいよクレーコートシーズンが本格化してきました!

さっそくマスターズ1000グレードのモンテカルロ大会が、いつものように華やかな雰囲気を充満させながら熱戦が続き、大波乱の結果になりました。その詳細をお伝えいたします。

モンテカルロ大会序盤

シード勢の苦戦が続いています。何かと波乱の多いサーフェスであるクレーですが、それにしてもランキング上位者とそれを追ってくる下位ランキング選手の実力差が狭まっているのか、序盤から苦戦、波乱の連続です。

ジョコビッチ選手

昨年の全英から見事に復活、グランドスラム3大会連続優勝と、向かうところ敵なしであったジョコビッチ選手、春の全米ハードコートシーズンでも「一体だれが止めるのか?」といった雰囲気でした。

ところがインディアンウェルズでは3回戦でコールシュライバー選手にストレート負けを喫します。過去1度、しかもクレーコートでの敗戦であった相手にストレート負けと、一体どうしたのでしょうか?

続くマイアミでは調整、照準を合わせてくるであろうと思われましたが、ベスト8を前に4回戦でバウティスタ・アグート選手によもやのフルセット逆転負け、マスターズのしかもハードコートで2大会連続ベスト8にも残れないという結果に終わりました。

舞台はクレーコートに移り、皮切りのマスターズ大会モンテカルロでは奇しくも初戦2回戦の相手がコールシュライバー選手でした。

コールシュライバー選手の戦略

この試合でもジョコビッチ選手は大苦戦を強いられます。グランドスラム3大会連続優勝ですから、どの選手もジョコビッチ選手打倒にむけて血眼になっています。ジョコビッチ選手を倒さない限り、優勝はおろか、上位進出へも大きな壁となってしまいます。このまま手ぐすねを引いて退けられるわけにはいかないでしょう。

ジョコビッチ選手の強さの根本は、その際だった守備力にあります。相手選手のエース級ショットを驚異的なフィジカルと、柔軟性、極めて高い予測と俊敏性により、返球することができます。そしてストロークではフォアの逆クロスショット、バックではダウンザラインへのエースで見事にカウンターを見舞います。サーブは極めて安定し、ファーストサーブ確率も70%を超えることが当たり前、かつサーブプレースメント、スピードを出すこともできます。またドロップショットも素晴らしい精度で決めます。

錦織選手も平生語る通り、極めて弱点の少ないプレーヤーと言えるでしょう。そんなジョコビッチ選手に対し、コールシュライバー選手がジョコビッチ選手打倒へのヒントを見せてくれました。

ジョコビッチ選手の基本戦略として、相手バックハンドに角度をつけたボール、高く弾むボールを集め、少しずつタイミングをずらしながら、ここぞのバックハンドダウンザラインを決めるというものがあります。コールシュライバー選手は右利きのシングルバックハンドプレーヤー、ジョコビッチ選手が集めてくるバックハンドへのボールをシングルバックハンドで相当なスピンをかけ、半ばムーンボールのような軌道でジョコビッチ選手のバックハンドへ打ち返していました。バックハンド側からのスピンボールは、なかなかありません。あのナダル選手でもバックハンドのスピンレートはそんなに上がっていません。思い浮かべるのはワウリンカ選手でしょうか、こちらもシングルバックハンドのプレーヤーです。

際どかった試合展開

このボールをしっかり押さえ、ライジング気味にとらえて返球する必要があるのですが、ジョコビッチ選手はかなりこれを嫌がっていた傾向があります。そしてチャンスとみるや、コールシュライバー選手がフォアハンドでハードヒットしてきます。この緩急の付け方が半端ではありませんでした。錦織選手のような早いタイミング、スピードで勝負してくる選手に対しては、リズムが合うのか、ジョコビッチ選手は調子をどんどん上げてきます。しかしこのコールシュライバー選手の緩急に対しては、なかなかリズムがつかめず、ジョコビッチ選手が調子の上がらない時に出る、フォアハンドのバックアウトや、バックハンドダウンザラインのズレを連発していました。そしてそれはサーブにも影響がでて、なんとダブルフォルトをトータル8本も犯すという状態でした。

競り合いの第一セット、ピンチを何度も切り抜けてうまく1ブレーク、際どく奪い、これはこのままいくかと思いきや、第二セットはたがいにブレーク合戦、ダブルフォルトでセットを失うという、ジョコビッチ選手らしくない試合ぶりです。第三セットもコールシュライバー選手に4回もブレークチャンスを与え、ピンチの連続でしたが、何とか1ブレークで逃げ切りました。

モンテカルロ大会中盤~終盤

第五シード、このところクレーでも好成績を収めている錦織選手、初戦はどちらかといえばダブルス得意のフランス エルベール選手と対戦しました。油断はできないものの、問題はないであろうとみられた相手によもやのストレート負け、しかしこれは「大波乱」のほんの序章に過ぎませんでした。

シード勢が軒並み敗退

3回戦では、NEXT GENのエースクラス、昨年はATPファイナルズも制した第3シード A.ズベレフ選手がフォニーニ選手に、昨年の全仏ファイナリスト、クレー得意の第4シード ティーム選手はノーシードラヨビッチ選手に、それぞれストレート負けを喫します。

最近は上位進出目覚ましい「新」NEXT GEN、第6シードチチパス選手は、ロシア メドベージェフ選手にフルセットの末敗退してしまいます。これで2回戦でペラ選手に敗れた第7シード チリッチ選手、予選上がりソネゴ選手に敗れた第8シード ハチャノフ選手を含め、第3シードから第8シードまでのすべての選手がベスト8前に姿を消す、という事態になりました。上位シードでは第1シード ジョコビッチ選手、第2シード ナダル選手だけがベスト8進出という、考えられないような結果となりました。

しかしこの恐ろしいまでの「波」は、GS3連覇中、鉄壁の第1シード ジョコビッチ選手、モンテカルロ3連覇中、このところ相手にセットすら与えていないクレーキング ナダル選手をも飲み込んでいくのです!

ジョコビッチ選手対メドベージェフ選手

ふところが深く、特にバックハンドで抜群の安定感を誇るメドベージェフ選手と対戦したジョコビッチ選手、お互いにミスが少なく、長いラリーの多い試合展開となりました。持久戦になるとみたか、ジョコビッチ選手はドロップショットを多用し、メドベージェフ選手のスタミナを奪う作戦もみられました。しかし初戦からやや不安な様子であったサービスを2度ブレークされ、第一セットを3-6と落とします。

第二セットではピンチを際どく切り抜け、ほぼワンチャンスのブレークポイントを取りきって6-4とジョコビッチ選手が奪い返します。スタミナも大きなファクタであるクレーコート戦、ジョコビッチ選手のドロップショット多用による「仕込み」、抜群の勝負強さを考えれば、ジョコビッチ選手有利と思われました。

しかし、試合はメドベージェフ選手がブレーク先行で4-1とリード、しかも6ゲーム目のジョコビッチ選手サービスを再びブレーク、5-1と追い詰めていきます。流れに乗り切れないジョコビッチ選手、このメドベージェフ選手サービングフォーザマッチゲームを意地のブレークバック、ジョコビッチ選手ならばあり得る奇跡の逆転に望みをつなぎます。ところがここでも流れをつかみ切れず、逆に3度目のブレークを喫して万事休す、敗退です。ついに第1シードもコートを去りました。

ナダル選手対フォニーニ選手

この大波乱の波に、クレーキングとして君臨するナダル選手がどう立ち向かうのか、注目の準決勝はナダル選手が過去12勝3敗と圧倒しているフォニーニ選手が相手でした。

昨年春先時の絶好調とはいえないものの、決して悪い状態ではなかったはずのナダル選手、ところがフォニーニ選手はナダル選手のトップスピンボールを見事な早いタイミングでとらえ、強烈なショットをコートに突き刺していきます。あるウィナーはストロークでありながらなんと時速160kmを記録しました!

それでも第一セットはナダル選手が3-1とブレーク先行、フォニーニ選手も善戦どまりか、とのムードが漂います。しかし、ここからネットしたり、わずかにラインアウトしていたフォニーニ選手のボールが次第にコート内をとらえ始めます。ブレークバック後は互角どころか、一気に優位に立ち、なんと5ゲーム連取で第一セットを奪取です。

ここからがクレーキングナダル選手の真骨頂、猛反撃が始まるものとだれもが思っていました。しかし、フォニーニ選手はますます勢いを増していき、ナダル選手はゲームすら奪えない状態に追い込まれます。フォニーニ選手のタイミングの早いフォア、バックのストロークに加え、時折みせるドロップショットが効果的で、あのナダル選手がクレーコートでなすすべがありません。信じられない光景、0-5というスコアがそこにありました。

ナダル選手が意地の2ゲームを奪取したものの、結局6-2、完敗いや惨敗といっても良いかもしれません。全仏で過去2回しか負けていない、クレーコート勝率は9割以上、そのナダル選手がクレーコートで接戦ではなく、圧倒されて敗戦したことはまさにショッキングなニュースです。

どうなる今後!

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フォニーニ選手のマスターズ初優勝となったモンテカルロでしたが、クレーコートシーズンは始まったばかりです。バルセロナ、マドリード、ローマ、そして全仏へどんなドラマが待っているのでしょう。一気に群雄割拠となった男子テニス界、この混戦ぶりはわが錦織選手にも大いにチャンスあり、とみています。

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