プレイスタイルで変わるテニスのガットの選び方。

テニスショップに行けば分かりますが、ガット（＝ストリング）には数多くの種類があります。周りの人が多く使っているからとか、ショップでの売上が高いからという理由でガットを選ぶと失敗します。人によって感覚は異なりますから、人気のガットを使ったからといってテニスが向上するとは限りません。

自分に合ったガットを見つけるためには、ガットについての知識を深める必要があります。今回はガット選びに必要な最低限の知識を記事にまとめました。

ガットとは。

テニスラケットのフェイス部分に縦×横にクロスするように張るのがガットです。インパクト時にボールが触れるのはガット部分であり、ガットを変えることで打感や回転量、ボールの飛びを調整することができます。

ガットは英語で消化管、内臓、腸などを意味します。元々テニスで使用されるガットは動物の腸から作られていました。そのため、そのままガットという名前が使用されるようになりました。

現在、動物の腸から作られたガットは「ナチュラルガット」と呼び、プロ選手には広く使用されています。ナチュラルガットは価格が高く、ラケットの保管にも気を遣う必要があるため、一般プレイヤーの多くは化学繊維や合成素材のガットを使用することがほとんどです。

ガットとストリングの違い。

ガットとストリングはほぼ同義で扱われていますが、細かく分類すると動物の腸など天然素材から作られたのが「ガット」で、化学繊維、合成繊維で作られているのが「ストリング」です。

一般プレイヤーでガットとストリングの違いを理解し、言葉を使い分けている人はあまりいません。テニスショップでも細かく使い分けてはいないため、ガットとストリングはほぼ同義と考えて構いません。今回の記事では以降、「ガット」で話を進めていきます。

ガットの種類。

ガットに求められる機能はテンションをどの程度維持できるかや、打感、スピンのかけやすさなどの機能性です。ナチュラルガットも含め、どのような種類のガットがあるのかを簡単に紹介していきます。

ナチュラルガット。

既に触れましたが、動物の腸など天然素材から作られたガットが「ナチュラルガット」です。

ガットにはさまざまな種類がありますが、テンション維持や打感、スピン性能、ボールの飛びなどのバランスが最も良く、高い機能性を持っているのがナチュラルガットです。ナイロンやポリエステルなどその他のガットは全てナチュラルガットのような機能性や打感を目指して開発がされています。

機能性が高いナチュラルガットにもデメリットがあります。ガットが捻れるとガット張り中や打球時にガットが切れやすくなってしまいます。また、ナチュラルガットは湿気や雨に弱いため、ラケットの保管場所や雨天時の使用は避けるなど扱いに気をつける必要があります。

また、原材料が天然素材のため、販売価格が高くなります。プロのように金銭的な負担を考えずに、テニスの向上だけを考えるのであればナチュラルガットは非常におすすめです。

ナイロンガット。

ナチュラルガットに近い打感や機能性を求めて開発された合成繊維で作られたのが「ナイロンガット」です。

打感が柔らかく、弾力性もあるため、多くの一般プレイヤーに愛用されています。ガットの素材自体が柔らかいため、強烈なスピンをかけるとすぐにガットが切れてしまうため、スイングスピードが速く、ラケットを振ってボールの回転をコントロールする上級プレイヤーの使用には不適です。

ナイロンガットはその構造から「モノフィラメント」と「マルチフィラメント」の2種類に分類されます。

モノフィラメント

モノフィラメントは１本の太い芯がある構造のナイロンガットを指します。ガットの幹となる1本の太い芯の周りに細い糸が巻き付けられるような構造になっています。

同じナイロンガットでも、マルチフィラメントに比べ、ボールの飛びがよく、耐久性は高くなります。値段もガットの中では最もリーズナブルなのでテニスを始めたての男性が最初に選ぶには最適なガットです。

ガット切れそう😰で…キレない…😭😭これは…試合中にキレるパターンだな…💦切って張る❓切れるまで待つ❓ゼビオへGo❗️❓ pic.twitter.com/a8WvjlJ4W7

— AKIRA★53 (@AIrWrCEqxasIct0) July 19, 2017

ナイロンガットをしばらく使用するとガット表面が上記の写真のようにほつれたようになります。ボールを繰り返し打つことでガットの芯の周りに巻き付けられた細い糸が切れたりほどけたりすることで起こります。

マルチフィラメント

マルチフィラメントは何本もの細い糸を束ねるようにして1本になっているナイロンガットです。

複数の細い糸が集まってできているため打球感が柔らかくなり、インパクト時のボールの食いつきも良くなります。比較的スイングスピードが遅く、狙ったところにしっかりとボールをコントロールするプレイヤーにおすすめのガットです。

スピードよりもコントロール重視のプレイスタイルを持つ人や、筋力に自信のない女性プレイヤーには最適です。

マルチフィラメントガットの難点は耐久性が低いところです。自分がスピンを打たなくても、強烈なスピンボールを打つ相手と対戦する機会が多いと、すぐにガットが切れてしまうので、男性プレイヤーが使用すると、頻繁にガットが切れてしまうかもしれません。

ポリエステルガット。

その名前の通り、ポリエステル素材で作られたガットが「ポリエステルガット」です。

ナイロン素材のガットに比べて、硬い素材のため打球時の腕への負担は大きくなりますが、耐久性が高く、高速スイングでもしっかりとボールに回転をかけ、コントロールすることが可能なので、スイングスピードの速い上級プレイヤーに最適なガットです。

製造技術の進歩もあり、ポリエステルガットの形を単純な丸形から五角形など形状を変えることでボールにスピンをかけやすくするなど、現在はいろいろ特徴のあるガットが販売されています。

ガットの選び方。

ガット選びはその人のレベルやプレイスタイルによって変わります。ガットの種類によってその特性が変わるように、万人にフィットするようなガットはありません。

ここまで説明してきたそれぞれの種類のガット特性をおおよそ理解することができれば自分に合ったガットを見つけられる可能性が格段に上がります。

ガットを購入する際にはナチュラル、ナイロンモノフィラメント、ナイロンマルチフィラメント、ポリエステルの４つから自分のテニスに合わせてガットの種類をまず絞り、実店舗に用意されている商品ラインナップから店員に相談するなどして最終的にガットを選ぶと良いでしょう。

自分のテニスを認識するのがガット選びの第一歩。

何の手掛かりもなしにガット選びをするのは無謀です。まずは自分の筋力やスイングスピード、プレイスタイルなど自分のテニスを正確に把握することが最適なガット選びの第一歩となります。

自分のテニスを理解したうえで、それぞれのガット素材の特徴を参考にガット選びをすれば、より快適にプレイできるガットに辿り着くはずです。いつもガット選びで悩む方は実践してみてください。