高校スポーツ最高峰の大会がインターハイと呼ばれる夏の全国大会です。テニスの場合、野球の甲子園や、サッカーの国立、ラグビーの花園といった分かりやすい呼称がないため、どうしても一般のスポーツファンだけでなく、テニスファンからも少し馴染みの薄い大会かもしれません。
ではテニスにおけるインターハイとのどのような位置づけで、出場することでどのような価値があるのか、今回はそれを調べて記事にしてみました。
インターハイとは?
全国高等学校総合体育大会のことを指し、「インターハイ」という呼び方以外にも「総体」と呼ばれることもあります。開催場所は毎年変わるため、「高校野球=甲子園」のようなイメージがなく、当然のように全国放送でのTV中継もありません。
そのため、インターハイ=全国大会という知識を持っている人は多くても、高校を卒業してしまうと、誰が優勝したとか、どこの学校が強いなどの情報や結果がなかなか一般の人に認知されないのがインターハイの現実です。
高校世代の全国大会は他にもある?
野球に春・夏の甲子園があるように、テニスにも複数の全国大会があります。一般的にインターハイと呼ばれる「全国高等学校総合体育大会」以外に、全国選抜と呼ばれる「全国選抜高校テニス大会」、国体と呼ばれる「国民体育大会テニス競技」の2つが全国レベルの大会として存在します。
ただ、国体については学校単位ではなく、都道府県単位で選手が選抜されるため、違う学校の選手が県代表として試合をする形になります。加えて高校生を対象にした少年の部以外にも、成年の部もあるなど、少し特殊な形の大会と言えるかもしれません。
一方、インターハイと全国選抜は学校単位での団体戦とシングルス、ダブルスの3種目があり、こちらの方が多くの高校生や学校にとって目標とされるようなメインストリームの大会となります。
その他の大会。
インターハイ、全国選抜、国体以外にもテニスの場合は細かい年齢区分によって開催される全国ジュニアテニス選手権や、全日本ジュニア選抜室内選手権のような大会もあります。
全国大会と一言で言ってもテニスの場合はいろいろな種類があり、混乱しやすいのも事実ですが、他競技同様に基本的には夏のインターハイが知名度も含めて最も分かりやすい全国タイトルと言えるのではないでしょうか。
インターハイの出場条件は?
ではインターハイの出場条件について確認していきます。
団体戦。
基本的には各都道府県での予選を勝ち抜いた1校が代表としてインターハイに出場できます。例外としてその年のインターハイ開催都道府県は出場枠が1校増えます。他にも東京、神奈川、大阪については人口や学校が数が多いためか、2校の代表が認められています。
インターハイの団体戦はシングルス2本、ダブルス1本の3本制で実施されます。選手の登録は各校5名までで、一人の選手が同一カードでシングルスとダブルスの両方に出場することは認められていません。
加えて、過去の戦績などからシングルスで出場する選手は実力が上の選手から順番にNo.1、No.2として出場する必要があるため、インターハイに出るためにはどんなに少なくても強い選手が2人は必要になるわけです。
シングルス、ダブルス。
シングルスのドロー数は128名で原則的な選抜は各都道府県2名、ダブルスのドロー数は64組で各都道府県から1組の選抜が原則となっています。
各都道府県からシングルス2名、ダブルス1組ずつだとインターハイのドロー数にはまだ余裕があります。では残り出場枠はどのように決まるのでしょうか。
調べたところ、前年度の全国大会など主要な大会で各都道府県の代表校や選手がどの程度活躍したかによって、その都道府県に割り当てられる出場枠が増えたりするようです。
出場選手のレベルは?
シングルスやダブルスなどの個人種目でインターハイに出場するのはどこの地域であろうと難しいのは間違いありません。確かに都道府県によってレベル差があるのは事実です。それはインターハイでのシングルスやダブルスの結果を調べればそれはすぐに分かります。
私自身はインターハイに出場したことはありませんが、現在JTAの試合に出ていて全国レベルのジュニアと対戦したような経験から感じるのは、個人でインターハイに出るような選手は、市民大会に出れば簡単に優勝するだろうなというレベルです。
もう少し分かりやすいイメージでいうと、戦績の無いテニスコーチであればあっさりと負けてしまうような感じです。
だた、団体戦となると個人種目に比べて少しレベルが落ちます。もちろん毎年のようにインターハイに出場するようなテニス名門校であれば、選手層も厚く、レギュラーメンバーでなくても十分な実力を持っています。
ただ、地方からインターハイに出るような学校であれば1番手はともかく、かろうじてメンバーに入るような選手は、市民大会で入賞するような実力があれば十分勝負になるようなレベルだという印象です。
もしも本気でインターハイを目指しているジュニアがいれば、実力を確かめるという意味でも市民大会に挑戦するのも良いと思います。
インターハイに出るとどうなる?
インターハイのような全国大会に出るのは達成感や名誉みたいなものがあるのは勿論ですが、選手にとってはその先の進路に大きな影響を及ぼします。
個人種目であればインターハイに出場したというだけで学校を選り好みしなければ十分大学に進学することも可能になります。団体戦でもBEST16まで進出すればメンバー入りしていた選手は大学によって推薦基準を満たし、進路が決まったりします。
そういったことを考えると、単純にテニスの勝ち負けだけでなく、インターハイに出るような選手は人生を賭けて真剣勝負をしているといっても過言ではありません。
プロへの登竜門であるインターハイ
優勝を狙うようなレベルの選手になると、卒業後の進路以外にもプロ転向の可能性や、スポンサーを見つけられるかどうかなど、テニス選手としての活動に大きな影響があるため、トップレベルの選手にとっても非常に重要な大会となります。
事実、ここ数年でインターハイ優勝した多くの選手はプロ転向、もしくはトップレベルの大学に進学をしていることなどからも、インターハイのタイトルの重要性がよく分かります。
インターハイを現地で観戦してみては。
インターハイという言葉自体は知っていても、どうしたら出場できるのかや、インターハイの先に何があるのかなど、詳しいことは分からないことがほとんどだと思います。
けれども、今回の記事を読んで少しでもインターハイのついての理解が深まり、興味を持って頂けたら、ぜひ一度直接現地に足を運んで観戦をしてみて下さい。インターハイも準々決勝以上にもなると、ほぼプロに近いレベルの試合が観戦できます。
日本のテニス界が待遇面も含めて改善していくには、多くの人がプレイするだけでなく、テニスを観戦するようになっていかなければならないと私は思っています。
インターハイは開催地が毎年変わっていくので、近隣の都道府県でインターハイが開催されるという方がいれば、今回の記事をきっかけに会場に足を運んで頂けたら嬉しい限りです。
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- 阿部亮平
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