テニスをしていれば、ほぼすべての人がフォルトは知っているはずです。今回は、どういう場合にサーブがフォルトになるのかを改めて確認し、フォルトの良し悪しについてプロ選手の試合スタッツをもとに考察していきます。
フォルトとは?
インプレイの起点となるサーブが有効と認められなかった場合にコールされるのが「フォルト」です。
1打目のサーブがフォルトになった場合、サーバーはサーブをもう1度打つことが認められています。2打目のサーブもフォルトすると、「ダブルフォルト」となり、サーバーはそのポイントを失うことになります。
サービスがフォルトになるケースは?
では具体的にフォルトがコールされるケースを確認していきます。実際はフォルトになるケースでも、知らずにプレイを続けてしまう人もたまにいるので、再度ここで確認をしてみてください。
サービスボックスにサーブが入らない場合。
サーバーの対角線上にある相手コートのサービスボックスにサーブが入らなかった場合はフォルトとなります。最も基本的なルールなので、これはテニスをしている人であれば理解しているはずです。
補足ですが、ネットやコートの帯に触れてボールが相手コートに入った場合は「レット」となりサービスの打ち直しとなります。シングルスポール、またはネットを張る支柱にボールが触れて、サービスボックス内に入った場合はフォルトになります。
フットフォルトを犯している場合。
トスアップしたサーブのボールを打つ前に、ベースライン、もしくはベースラインよりも内側のコート内に足が触れてしまうと「フットフォルト」を取られます。
草トーなどの試合は基本的にセルフジャッジで試合が進行します。そのため試合慣れしている一般テニス愛好家の中には、毎回フットフォルトをしている人が一定数います。
本人が気づいていない場合がほとんどなので、自分がフットフォルトをしていないかどうか気になる場合は、周りの人に確認してもらうか、スマホで撮影した動画などををご自身で確認してみて下さい。
ちなみに、サービスを打つ直前にジャンプして、空中でボールを打つ場合はコートの内側に身体が入ってもフォルトにはなりません。
空振りした場合。
トスアップしたボールを空振りした場合はフォルトになります。
ごくまれに空振りはフォルトにならないと勘違いしている人もいるので、知らなかった人は覚えておいてください。ゴルフも空振りは+1打と計算されるのと同じですね。
センターマークの延長線上に足が触れた場合。
サービスを打つときにセンターマークの延長線上に足が触れてしまうとフォルトになります。
サービスを打つときに後ろ足を一歩下げるようにしてサービスを始動する人もいますが、このルールを知らずに練習していると、実際の試合で指摘されても修正できなかったり、フォルトを連発する可能性もあるので、センターマークに関するフォルトも覚えておいてください。
試合ではフォルトはごまかせない!
草トーや仲間内でゲームをやる場合、セルフジャッジがほとんどです。セルフジャッジになると、フットフォルトのように遠目から確認できないフォルトは見逃されてしまうか、ほとんどの場合は黙認されます。
しかし、公式戦になると当たり前ですが、フットフォルトはしっかりと取られます。たとえセルフジャッジの試合でも、複数コートを巡回しているレフェリーがいれば当然のようにフットフォルトは取られます。
ラインを気にせずサーブを打っていた人が試合でいきなりフットフォルトを取られ、ダブルフォルトを連発するケースもあります。普段からフットフォルトに気をつけながらサーブ練習をしておく必要があるでしょう。
試合で対戦相手がフットフォルトをしている疑いがあれば、レフェリーを呼んで確認してもらうのも一つの方法です。ルール上、フォルトは認められていないわけですから、相手のフットフォルトのように疑わしいを指摘することに負い目を感じる必要はありません。
もしも相手が指摘によりテニスのリズムを崩してミスを連発したとしても、それも含めてその人のテニスの実力だと私は思っています。
フォルトの良し悪しを考える。
テニスにフォルトはつきものです。プロはどの程度までフォルトを許容しながらプレイしているのでしょうか。試合スタッツなどから探ってみました。
プロでも必ずダブルフォルトはする!
ATPはServe Ratingという形でサーブの良さを数値化して公開しています。上記の表の右端が1試合当たりに犯すダブルフォルトの数ですが、レーティングの上位にランクする選手でさえ、1試合に2~4本はダブルフォルトを犯していることが分かります。
ではダブルフォルトの数とサービスゲームキープ率の関係性についてスタッツをもとに少し考えてみたいと思います。
ダブルフォルトは積極性の表れ?
まずダブルフォルトの多い選手を調べると上記のような感じでした。上位2人は他の選手に比べてもかなりダブルフォルト数が多いことが分かります。ただ、サービスキープ率の数値が特別低いかというそんなことはありません。
上位3位までの選手は1試合平均6本以上のダブルフォルトを犯しながらも、キープ率も79%台と高く、サービスエースも1試合平均10本以上取っています。
決してダブルフォルトが多い=サービスが苦手・弱点というのは当てはまらないことが分かります。例外は4位のバシラシビリで、ダブルフォルトが多く、キープ率も低くなっています。このことから単純にサービスが苦手なのではないかと予想できます。
ダブルフォルトの少ない選手はサーブが弱い?
ダブルフォルトの少ない選手を調べると、上位の選手は1試合2本以下と、1セットに1回あるかないかの数字です。
ではキープ率を次に見ていくと、上位8選手のサービスキープ率はダブルフォルトの多い選手と大差がないことが分かりました。ダブルフォルトの多い上位8選手の平均キープ率が80.5875%で、少ない選手の平均キープ率が80.1%とそこまで大きな差はありませんでした。
ただ、ダブルフォルトの少ない選手の6位にランクインしているフェデラーはサーブレーティングで5位にランクインしており、サービスの威力と精度を高い次元で両立している例外的な存在といえます。
フェデラーの数字を含めずに計算すると、ダブルフォルトの少ない選手のキープ率は78.714%と1%以上下がり、ダブルフォルトの多い選手の平均キープ率と比較すると2%近い差が出ます。つまり、ダブルフォルトの少ない選手ほどキープ率が低く、サービスが弱いと考えることができます。
サーブが苦手な人こそフォルトを減らすべき!
アマチュアではサービスが苦手と言っている人ほどダブルフォルトをする傾向があります。しかし、プロのスタッツを調べると、サービス力の低い選手ほどダブルフォルトを減らして、他で勝負している傾向が読み取れます。
一方、強力なサービスが打てるのであれば、ダブルフォルトを必要以上に恐れて入れにいくよりも積極的にサービスエースを狙って強気にサーブを打つ方が良いことだと分かります。
フォルトを知り、フォルトとの付き合い方を覚える!
サーブとフォルトは切っても切れない関係です。まずは技術以前にフォルトがどういった場合にコールされるのかを知り、知識を身に付けた後は、サーブの練習に励み、必要以上にフォルトを怖がらず、サービスゲームのキープ率とダブルフォルト数のバランスに注意を払うと良いでしょう。
ダブルフォルトと試合スタッツの関係性など気になった方がもしいれば、自分なりに調べていろいろ考察してみると新たな発見があって面白いはずです。
- 投稿者プロフィール
- 阿部亮平
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