テニスのグランドスラムなど、世界を舞台に活躍する日本人と言えば一昔前は女子選手が中心でした。近年の日本男子テニス界では錦織圭に続くように100位の壁を破り、グランドスラム本戦に出場する選手が増えてきました。
今回はそんな日本男子テニス界が世界的に見てどのくらいの位置にあるのか。他国との比較から考えていきます。
日本男子テニス界の現状。
ATPランキングを基に日本男子テニスの選手層がどの程度なのかをまずは確認していきます。
グランドスラム本戦に出場できる100位以内とグランドスラムの予選に出場できる101~300位の2つを基準にどのくらいの日本人選手がランクインしているかを調べました。
グランドスラム本戦レベルの選手(100位以内)
名前 | ATPランキング | 自己最高位 |
錦織圭 | 41位 | 4位 |
西岡良仁 | 57位 | 48位 |
現在、ATPランキング100位内に入る日本人男子テニス選手は錦織と西岡の2人しかいません。ちなみに日本と同じように100位以内に2人がランクインしている国はオーストリアやスイスなどがあります。
グランドスラム予選レベルの選手数(300位以内)
名前 | ATPランキング | 自己最高位 |
杉田祐一 | 102位 | 36位 |
内山靖崇 | 104位 | 78位 |
ダニエル太郎 | 116位 | 64位 |
添田豪 | 134位 | 47位 |
伊藤竜馬 | 189位 | 60位 |
守屋宏紀 | 240位 | 143位 |
綿貫陽介 | 252位 | 171位 |
関口周一 | 285位 | 259位 |
上記の通り101~300位にランクインする日本人選手は8人います。他国と比べてもこの人数は決して少なくはありません。また、自己最高位で考えると6人が100位以内を経験しており、日本の男子テニスは世界的にみても一定の選手層を擁しているといえます。
ツアータイトル獲得者(現役のみ)
ランキングは怪我などで一時的に下げている可能性もあるので、ツアータイトルの獲得経験がある日本人選手を追加で調べました。
名前 | ツアータイトル獲得数 |
錦織圭 | 12個 |
西岡良仁 | 1個 |
杉田祐一 | 1個 |
ダニエル太郎 | 1個 |
錦織圭のタイトル獲得数は突出していますが、錦織圭以外にも現役で3人の選手がツアータイトルを獲得しています。ツアータイトルについてはまぐれで獲得できるようなものではなく、日本男子テニス界にも地力のある選手が複数いることの証明ともいえます。
他国との比較
日本男子テニスの現状がおおよそ把握できたので、ここからは他国との比較を進めていきます。比較対象はデビスカップのトップグループの国と、アジアのテニス強豪国をいくつか挙げていきます。
テニス強豪国の選手層は?
デビスカップでは、競技力によって世界の国々をいくつかのグループに分けています。国別ランキングの上位18か国は、GroupⅠにカテゴライズされ、男子テニスの強豪国として認められています。
GroupⅠの国々はどのような選手を抱えているのか。GroupⅠの国別ランキングで1位、10位、18位の国をピックアップして、日本との比較をしていきます。
フランス(1位)
フランスは正真正銘のテニス強豪国です。G.モンフィス(11位)を筆頭にシングルスでは100位以内に11人もの選手がいます。シングルスだけでなくダブルスでもグランドスラム制覇経験のあるマウ/エルベールのペアを擁するなど分厚い選手層を誇る国です。
フランスであれば、ベストメンバーを揃えなくても日本には勝利することができてしまうはずです。
イギリス(10位)
ランキング10位のイギリスは100位以内に3名、101~300位に4名の選手がおり、ランキングや選手層で考えると日本と大きな違いはありません。しかし、ダブルスではグランドスラム制覇経験のあるJ.ソールズベリー(14位)とJ.マレー(23位)の2人の名手がいるのが強みの国です。
日本と対戦した場合は、ダブルスに強力な選手がいる分、イギリスに分があるように感じます。逆を言えば、ダブルス強化ができれば日本もGroupⅠの中位に入る可能性は十分あると言えます。
コロンビア(18位)
昨年、プレーオフで日本を破り、GroupⅠに昇格したコロンビアですが、シングルスの選手層は日本よりもかなり劣ります。100位以内のプレイヤーは1人もおらず、300位以内で考えてもガランが115位にランクインしているだけです。
一方、ダブルスでは世界1位ペアであるR.カバル/J.ファラがおり、ダブルスでの勝利を計算できる点は強みです。昨年のプレイオフでは日本は負けてしまいましたが、ベストメンバーを揃えることができれば日本が勝利できる国のはずです。
アジアの強豪国
男子テニスのアジア/オセアニア地域のランキング上位国は上記の通りです。オーストラリアとカザフスタンの上位2か国はGroupⅠにも属しています。
上位2か国と、日本のライバルとしてよく挙げられる韓国の3か国の選手層を調べ日本と比較していきます。
オーストラリア(11位)
オーストラリアはA.デミノー(23位)を含め100位以内に4名のプレイヤーがおり、101~300位には12人もの選手がおり、日本と比較しても選手層がかなり厚いことが分かります。ただ、TOP10プレイヤーがいるわけではないので、日本がベストの布陣で対戦することができれば勝利する可能性は十分見出せます。
カザフスタン(12位)
近年ランキングを上昇させてきたバブリックがTOP50に入るなど上位選手だけで考えると日本とその質は変わりません。しかし、4番手以降の選手は300位台に落ちるので選手層には難があります。
日本と対戦した場合はダブルスの結果で勝敗が左右されそうですが、もしもカザフスタンがベストメンバーを揃えられなければ日本に勝つのは難しいのではないかと思います。
韓国(27位)
韓国は100位以内に1人、101~300位に3人と選手層は薄く、ランキングだけで考えればベストメンバーを揃えずとも日本は韓国に勝つことができそうです。ランキングだけで試合の結果が全て出るわけではないので、その点は注意が必要です。
日本男子テニスの可能性
10年前の日本人男子テニスのランキング上位選手を調べると上記の通りです。10年前と比べると、日本男子テニスはかなり選手層に厚みが出てきたことが分かります。
現時点でもデビスカップGroupⅠの中位国と比較すると、日本の選手層は決して劣っていることはありませんし、ウィンブルドンのジュニアシングルスで優勝するような若手も登場してきています。今後、日本の男子テニスが世界でより大きな注目を獲得していく可能性は十分に考えられます。
日本男子テニスがデビスカップを制覇する日が来る?
錦織圭のようにTOP10に入る選手はどの国でもそう簡単に出るわけではありません。今後の日本の課題はTOP100に常に5人前後の選手を送り込める選手層を持てるかどうかが鍵です。選手層により厚みが出てくれば、デビスカップのGroupⅠ定着、更には優勝を狙うチャンスも出てくるはずです。
テニスファンとして日本がいつの日かデビスカップを制覇することを期待し、今後の日本人選手の活躍を期待するばかりです。
- 投稿者プロフィール
- 阿部亮平
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