テニス馬鹿なの?君は パート2~真っ黒クロスケ編~

真っ黒クロスケ1

はじめに

私のサークルにテニス馬鹿と言える人物がいる。年齢は50歳。今年でテニスを始めて3年目になる。彼をMさんと呼ぶことにしよう。Mさんのことを簡単に紹介する。身長は160~165㎝小柄。一般企業に勤めている。テニスをするため一年中日焼けしているので、全身真っ黒。(テニスをしてもしていなくても黒いかもしれない。本人曰く腹も黒いらしい)社交的で明るい性格の持ち主。サークル内のテニス馬鹿のナンバー2に位置する。(テニス馬鹿のナンバー1は以前のコラムで執筆済み。ナンバー3は今後のコラムで執筆予定)

出会い

Mさんを初めて見たのは確か、5~6年前の9月23日『テニスの日』だった。彼は初心者のコースでフォアハンドの打ち方を習っていた。そのとき独特なフォアハンドでボールを打っていたのを覚えている。彼のことを「テニスの日だけのにわか参加者」だと思い、気にも留めなかった。そのときの姿から彼がこれほどまでのテニス馬鹿になるとは予想できなかった。

Mさんは、3年前に筆者の通っているテニスクールに入ってきた。レッスン4、5回目位に筆者の方から「私のテニスサークルで一緒にやりませんか?」と誘った。彼は、少し遠慮しながらも喜び、その日の夕方からの練習に参加した。そのときの印象はボールの捉え方はまだまだだが、反射神経のいい人だと感じた。

テニス馬鹿のプレースタイル

Mさんは、若いときに剣道をしていたらしい。その片鱗はテニスのプレーに随所に出てくる。例えば、ボレー。まるでボールを2つに切り裂こうとするようにスライス回転をかける。ボールにガットが触れる時は、それは、それは地面を滑って這う強烈なボールを打つことができる。しかし、ほとんどはラケットのフレームに当たり、ボールはとんでもないところへ飛んでいく。(ネットにかかることがほとんどなのだが)。この3年間ボレーの際にラケットを振りまわすのをやめることはできていない。本人は気をつけているのだが無意識に振りまわしてしまうのだろう。その様は、居合の達人のようだ。

彼のフォアハンドストロークの打ち方は、何と形容してよいのかわからない。ガットでボールの上部をこすり、体全体で巻き込むように打つ。異常に左肩が開くのがはやい打ち方なのである。左肩と右肩が連動せず、右肩が非常にゆっくりと回りボールをこする。しかし、この個性的なフォームから2種類の異なる球種を産み出す。一つ目は、スピードが緩やかなトップスピンがややかかったボール。(威力はあまりないが結構落ちる)もう一つは、トップスピンロブ。対戦しているときはこれが意外に厄介だ。このボールは前衛の頭上をあざ笑うかのように悠々と抜き、ベースラインの4~5㎝内側にピタリと決まるからである。やられた相手はイラっとする。このフォームからロブが放たれるとは全く読めないからだ。しかし、彼には、この二種類の球種を打ちわけているという意識はない。フォアハンドを打つ際に意識的に選択しているのではないのだ。ボールがガットに当たった瞬間にその運命は決まる。『神のみぞ知る』フォアハンドストロークなのである。筆者はロブになるときは、体重が後ろ脚に乗っていることに気が付いた。先日、筆者はそのことをMさんには伝えた。それを修正し、二種類のボールを意識して打つことができるのはいつのことであろうか。近いうちかもしれないし、その日は永遠におとずれないのかもしれない。

テニス馬鹿のファッション

筆者のサークルに入ったころの彼は、どう見ても『ベースボール?』と思わせるような、服装だと思った。野球帽、メジャーリーグのようなTシャツとパンツ、そして、ベースボールソックスに見えるような靴下。そして、極めつけはその色なのである。ほとんど黒・ブラック、セミグロスブラック、つや消しブラック。そう彼は黒い服をこよなく愛する男なのである。しかし、彼は色白ではない。どちらかと言えば、色黒である。いいや、だれが見ても色黒だ。テニスをしても、してなくても。紫外線を浴びても浴びていなくても色黒なのである。こんな超ブラックファッションを好むMさんは、日差しの強い日は、サングラスをかける。もちろん黒いレンズのファッショナブルなものである。

そんなときは、全身が黒光りしている。ひょっとしたらスターウォーズに出て来るダースベイダーよりも黒いかもしれない。彼はいつかの試合の日に、試合は襟付きのシャツじゃないといけないかもしれないと思って試合用のポロシャツを購入した。テニスの試合といえば、白が基調の襟付きシャツということはだれもが知っている。筆者は、Mさんも知っているはずなのでどんな色のシャツを購入したのかと非常に興味が沸いた。そして、ウインドウブレーカーのファスナー下げて見せてもらうとなんと、またもや黒一色、それ以外の色は全くなかった。なぜここまで黒色を好むのか筆者にはとうてい理解できない。

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黒色が好きな人のイメージ

心理学的にいうと黒い服を好む人は、『洗練され、自分なりのこだわりや意識を強く持っているタイプ』だそうだ。テニスの練習量にこだわり、没頭しテニス馬鹿2と呼ばれるまでになるのだからその通りだ。また、『知的で才能が豊か、感受性が鋭く、アーティスティックな印象』ともある。ボールを真っ二つに割ろうとするようなボレーとスピンボールとトップスピンロブを打ち分けられるセンスは確かにアーティスティックな印象を受ける。さらに、『リーダーシップのように、表立って人を引っ張っていくタイプばかりではないが、なんらかの方法で人を外から内側から動かしていくパワーを持っている人』ともあった。練習人数が多い時、もう1コート使えるように調整したり、フェンスを越えたボールを探しにいったりして、仲間への貢献する姿から納得できる。最後に、『大人数のグループよりは、少人数でフィーリングが合う人が集まったとき、真価を発揮する。』とある。なんと、テニスサークル位の小人数がぴったりではないか。しかし、いささか疑問点もあった。『愛想を振りまくるというタイプではないので、初対面の人や、あまり仲が良くない人からは、無愛想だったり、怖そうだったりキツそうだったりというイメージを抱かれることもあるかもしれない。』とあったのだがこれは違う。彼はとても社交的である。老若男女問わずだれとでも気さくに話すことができる。彼の性格なら友達、知り合いなどはかなり多いはずだ。

参照<心理学を学んで日常生活を豊かにしよう

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テニス馬鹿の過去の趣味

Mさんは、テニスにのめり込む前は、パチンコにはまっていた。タバコの煙が立ち込めるパチンコ店でイライラしながら不健康の道をまっしぐらに進んでいた。しかし、テニスに出会って、パチンコ店に行くことは一切なくなった。そして、体重が5キロも落ち健康街道邁進中。奥様がMさんの趣味がパチンコからテニスになったことをとても喜んでいたそうだ。その奥様のために日曜日は完全な定休(球)日にしている。日曜日は家族サービスの日と決めている家族想いの人なのである。(家族サービスが終わってそそくさとテニスコートに来ることが多々あるが)

テニス馬鹿の練習量

土曜日はテニススクールで午前2時間、筆者のサークルで午後2時間練習を。月曜日の夜は他のサークルで3時間程度練習している。木曜日は会社関係の女性中心のテニスサークルで2時間程度練習。少なく見積もっても1週間に9~10時間位練習している。ひょっとしたら筆者の知らないところで特訓しているかもしれない。長時間練習の甲斐あって最近はミスが非常に少なくなってきた。

テニス馬鹿の成長

Mさんの最近成長したことが二つある。一つはサーブの確率が高くなったことだ。適度なスピードで、適度な回転でいいサーブを打つことができるようになってきた。ときどきサービスエースをとることもある。もう一つは、服装が明るくなった。最近は、赤、オレンジ、を着ている姿を見ることがある。顔や体の色が真っ黒なので、赤やオレンジなどがとてもよく似合う。蛍光色なんかもだれよりも抜群に映える。そのことをまだ知らずに今日も真黒くクロスケの服装でプレーしていた。

今日も黒い服装

終わりに

このお馬鹿さんが筆者のサークルに入ってから、雰囲気が明るくなった。よく気が付くし、他のメンバーのこともよく気にかけてくれている。筆者はこんなお馬鹿さんがいるお陰で、テニスがより楽しくなった。そんなMさんに筆者ができることは、居合の達人のように振り回すボレーをコンパクトにすることと、神がかったフォアハンドストロークを人並みにすることだ。かなり手ごわいと思うが10年計画で直してさしあげよう。