ここ数年、錦織圭の活躍に続くように四大大会でも多くの日本人がメインドローに名を連ねるようになりました。しかしながら四大大会に次ぐ大会グレードであるATPマスターズ大会になると、四大大会に比べて日本人選手の出場が少なくなります。
今回はそんなATPマスターズ大会とはどのような仕組み、レベルの大会なのかを調べて記事にしてみました。
ATPツアーの大会グレード。
ATPツアーは下記の図のように四大大会を頂点として大会グレードが格付けされています。大会のグレードについてはメインドロー数や大会の賞金総額、開催会場の使用コート面数や、メインコートの観客収容人数など厳しい規定によって決められています。
ちなみに年間での大会数はマスターズが9大会、ATP500が13大会、ATP250が38大会となっています。ATPツアーはツアーレベルであるATP250以上の大会については基本的に増設を認めておらず、新しく大会を開催したい場合は、既に開催している都市から開催権利を交渉などで譲ってもらう必要があるようです。
それだけATPのツアーレベルの大会を開催するには厳しい規定があり、そういったことからもツアーレベルで最高峰に位置付けられているマスターズ大会がどれだけすごい大会なのかを察することが出来ます。
出場する選手のレベル。
マスターズ大会はメインドロー数が四大大会の128に比べて少なくなっています。マスターズ大会のメインドロー数は少ない大会で48、多い大会でも96と四大大会よりもかなり少ないドロー数となっています。
言い換えれば、その分出場する選手のレベルは当然高くなるため、実は四大大会よりも本戦に出場するのが難しくなっています。ちなみに96ドローのマスターズ大会の本戦カットラインのランキングを調べると、2019年のインディアンウェルズは84位、マイアミは88位でした。
グランドスラムでは本戦カットラインが100位前後になるわけですからこれだけでも出場までのハードルが高いことが分かります。ちなみにマスターズ大会で最もメインドロー数の少ないパリ大会の2019年本戦カットラインは44位でした。
パリ大会のようなレベルになると、初戦から四大大会の3Rレベルの試合になるわけですから、出場するだけでも相当凄いことが分かります。
マスターズ大会の賞金は?
ドロー数が大会ごとに違うため、賞金総額で調べてもあまり違いがはっきりとは分からないので、マスターズ大会の優勝賞金と1回戦敗退時に得られる賞金を調べてみました。
大会の賞金総額やドロー数によって多少変化しますが、マスターズ大会の優勝者の賞金は約1億2000~5000万円(1ドル=110円計算)で、1回戦敗退でも約180~300万円の賞金が獲得できます。
仮に、年間全てのマスターズ大会のメインドローに名を連ねることが出来れば、全て1回戦敗退だとしても2000万円近くの賞金を得られる計算になります。
ちなみに四大大会はどのくらいの賞金が得られるかというと、2019年の全米OPを例に挙げると優勝で約4億2000万円。1回戦敗退で約640万円と、賞金だけ見ると四大大会はマスターズよりも更に高くなっています。
参考までに他の個人競技を調べると、ゴルフの全米OPの優勝賞金が約2億2000万円。バドミントンの全英OPは優勝で約770万円。卓球だと賞金額の最も高い大会で約1100万円。陸上はダイヤモンドリーグの種目制覇で約110万円と、個人スポーツで考えると実はテニスが最も高額な賞金が得られるようです。
上位選手に課される出場義務。
ATPランキング上位30以内で前年を終えた選手はモンテカルロ大会を除くマスターズ8大会全てに出場する義務がATPによって課されています。このルールに寄り、常にマスターズは上位選手が出場することが確約されており、大会の魅力を維持させているといえます。
ちなみにマスターズ大会の出場義務は、通算の試合出場数などいくつかの条件を満たした選手は出場義務が緩和されていき、選手によっては出場義務が一切なくなる場合もあります。
しかしながら、大会で獲得できるATPポイントや賞金を考えると、怪我でもしていない限りほとんどの選手は全てのマスターズ大会に出場しているのが現実です。
マスターズ大会に優勝する難易度は?
大会数が四大大会に比べて多いこともあり、優勝するチャンスが大きいと考える方もいるかもしれませんが、N.ジョコビッチ、R.ナダル、R.フェデラーのBIG3も当然のようにマスターズ大会には出場するので、タイトルを獲得する難しさは四大大会とほぼ変わりません。
マスターズ大会のタイトルを現役で獲得している選手が決して多くないことからもそのことが分かります。事実、錦織選手はマスターズ大会の決勝には進出したことはあれど、未だにタイトル獲得には至っておりません。
ちなみに現役でマスターズタイトルを獲得している選手を挙げるとBIG3以外では、ティエム、デルポトロ、イスナー、フォニーニ、ワウリンカ、ズべレフ、マレー、ツォンガ、ディミトロフ、チリッチ、メドベージェフ、カチャノフと12人しかいません。
しかもこの12人の内、マレーとズべレフを除いた10人が1度しか優勝していないことを考えると、マスターズ大会でタイトルを獲得するのがどれだけ難しいかが分かるはずです。
またマスターズ大会のほとんどは、四大大会と異なり、1週間で日程を消化する必要があります。そのため、大会期間中に選手は連日試合をする必要があり、身体のリカバリーに充てる時間が十分に取れないことを考えると、四大大会よりもタイトルを獲得するのが難しいという考えもあります。
レベルの高い試合を観たければマスターズ大会!
ここまで記事を読んでいただければ、どれだけマスターズ大会のレベルが高いかを理解して頂けたかと思います。確かに大会の注目度で言えば四大大会の方がメディアに取り上げられることも多いので高いのは事実です。
しかしながら、四大大会でブレイクするような選手はまずマスターズで結果を出し始めることが多く、そういった意味でもマスターズ大会に注目すると新たなお気に入りの選手だったり、これからブレイクする若手選手をいち早く知れるという楽しみもあります。
今まで、四大大会や日本人選手以外の結果は気にしていなかったという方は、ぜひマスターズ大会の結果にも注目してみてはいかがでしょうか。
- 投稿者プロフィール
- 阿部亮平
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