テニス用語として使われるウィナーとは?ウィナーを狙う是非を考えてみた。

テニス用語の中には日本語に上手く翻訳することができない言葉がしばしばあります。そのまま英語で使われる場合もあったり、元の意味と少し異なった意味で日本では使われたり、日本でしか通じない言葉もあったりします。

今回はテニス中継でも耳にする「 ウィナー 」という言葉の意味を調べたうえで、試合で「ウィナー」を狙う是非についても考えてみました。

「 ウィナー 」とは?

スライスショットでのウィナー。

テニスのラリー中に相手がボールに触れることができずノータッチで決まったショットのことを「 ウィナー 」と呼びます

「 ウィナー 」はテニスのルールブックに載るような言葉ではないため、明確な定義はされていません。主にストロークでノータッチを奪ったショットのことを指し、サービス、リターン、ボレー、スマッシュがノータッチで決まった場合は使わないのが一般的です。

日本では馴染みのない「 サービスウィナー 」。

サービスにはエースとウィナーがある。
引用:Keith JohnstonによるPixabayからの画像

相手が触れることができず、ノータッチで決まったサービスは「サービスエース」と呼びます。そして、ラケットでボールに触れながらも返球できなかったサービスは「 サービスウィナー 」と呼びます。

日本ではサービスエースという表現はよく使いますが、サービスウィナーという表現を使っている人には遭遇したことがありません。海外ではサービスウィナーも一般的に使われるようなので、覚えておくといいでしょう。

「 ウィナー 」は英語で勝者(Winner)を意味。

Winnerには勝者の意味もある。
引用:Jozef MihalovicによるPixabayからの画像

ウィナーには勝者という意味もあります。英語で表記すると「 Winner 」となります。勝者を意味するウィナーもノータッチショットのウィナーと発音は一緒なので非常に紛らわしいです。

日本のテニス中継では、基本的にノータッチショットが決まった場面でしかウィナーという言葉は使いません中継では試合に勝った選手のことは日本語で「 勝者 」と表現するので、テレビ観戦するだけなら間違えることもないはずです。

「 ウィナー 」と「 エース 」の違い。

リターンエース。

テニス中継を視聴していて、ウィナーと混同しやすいのが「 エース 」です。サービスやリターンで、相手がボールに触れずにノータッチでポイントが決まったときはエースと表現します

ストロークのノータッチはウィナーで、サービスやリターンのノータッチはエースとなります。同じノータッチでもなぜ呼び方が変化するのかはよく分かりません。

ただ、エースという言葉を使うときは「サービスエース」や「リターンエース」のようにどんなショットでエースを取ったのかを明確に表現するので、慣れると混乱しなくなるはずです。

ウィナーにしろ、エースにしろポイントを獲得したことに変わりはありません。いずれにせよポイントを獲得した選手が良いショットを打ったのは事実なので、テニス観戦では深く意識する必要はあありません。

ウィナーやエースの獲得数は勝ちにつながるのか?

エースとウィナーの違いについて説明してきましたが、ショットの種類によってウィナーやエースという呼び方が変化することが分かりました。呼び方が変化するため、試合ではエースやウィナーが何本あったかを正確に把握するのが難しくなります。

そのため、ATP公式サイトの試合スタッツでも、正確な数を確認できるのは今のところサービスエースだけになっています。しかし、サービスエースの数だけでは試合の全体像把握することはできません。

エースの数が必ずしも勝ちにつながるわけではない。
引用:ATPより

上記は2016年インディアンウェルズ大会における錦織圭 VS J.イスナーの試合スタッツです。2人のサービスエース獲得数を比較するとイスナーの23本に対して、錦織は1本しかありませんでした。

しかし、試合結果を確認するとサービスエースの少ない錦織が勝利しています。試合結果を見ずに、エース数だけを提示されたら、ほとんどの人はイスナーが勝利したと考えるはずです。

確かにエースの数が多ければ相手を圧倒したプレイをしている可能性が高くなります。しかしながら、エースやウィナーの数が必ずしも勝ちに結び付くとは限らないところは、アマチュアでも留意しておくべき必要があります。

ではアマチュアプレイヤーはどんなことを意識して試合中はプレイすると良いのでしょうか。

ウィナーやエースの狙い過ぎは良くない?

テニスの試合において対戦相手とのレベル差が大きければウィナーやエースの獲得数に大きな差がつきます。しかし、レベル差の大きい相手と試合をする機会はそうそうないはずです。

ウィナーやエースで多くのポイントを獲得できるに越したことはありませんが、無理にウィナーやエースを狙うと当然ながらミスが増えてしまいます。

そもそもアマチュアレベルであれば相当なレベル差がない限りはウィナーやエースでポイントを奪われることは少ないはずです。ミスをする確率を考えると、必要以上にボールスピードを上げてウィナーを狙うのは避けたほうが賢明です。

レベルが上がるとラリーでウィナーが取れなくなる。

レベルの高い相手からウィナーを取るのは難しい。

私自身の経験でもありますが、テニスは上級者になればなるほどフットワークやボールへの反応・予測が良くなります。当然、そういったレベルの高い相手からウィナーを奪うのは簡単ではありません。

ラリーが続いて相手がミスをしないからといって、もっと速いボールを打たなくては!とかもっと厳しいコースを狙わなくては!と考えるのは逆効果なので止めましょう。

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ウィナー数を気にしなくなったらテニス上級者の仲間入り?

プロの試合を観戦していれば分かると思いますが、どちらかの選手がウィナーを取ってポイントが終わるよりも、どちらかのミスでポイントが終わるケースの方が多いはずです。

高いレベルの試合になるとウィナーは、相手のショットが甘くなったり、ラリーの主導権を握って相手の体勢を崩したりした結果として獲得できるもので、一か八かで狙うものではありません。

上級者の人ほど、常にラリーが続くことを想定して次のボールへの準備を進めています。つまり、ラリー中は相手のミスを期待してプレイすることがないわけです。ウィナー獲得にこだわらず、展開や戦術を意識して試合をプレイできるようになれば上級者と呼べるのではないでしょうか。

プロのようなウィナーは真似しない!

ウィナーやエースの違い、そして試合中の意識についていろいろ書いてきましたがいかがだったでしょうか。

プロ選手のようにウィナーを奪うテニスに憧れるのは分かります。ただ、プロがウィナーを奪えるのは鍛え抜かれた肉体と卓越した技術があってこそです。 私を含めてアマチュアは「ウィナーは取れないもの!」と、割りきるくらいが丁度良いかもしれませんね。