テニスの怪我とその予防法。

出典:Twitterより

テニスは生涯スポーツと言われますが、激しい運動を伴うスポーツですから怪我のリスクがあります。テニスというスポーツの特徴を理解すれば怪我の予防は可能です。今回はテニスで起きやすい怪我や故障とその予防についてまとめました。

怪我や故障とは?

怪我や故障は大きなくくりでスポーツ障害とスポーツ外傷の2種類に分けられます。それぞれの違いについて説明しておきます。

スポーツ障害

競技中に同じ動作を繰り返すことで、長期間に渡り負荷がかかり、身体の特定の部分に痛みを感じるようになるのがスポーツ障害です。

テニスにおいて正しい打球動作・フォームを身に付けるのは難しく、一般プレイヤーはフォームに変な癖がついてしまっている人も多く、肘や肩に痛めるスポーツ障害になるケースがよくあります。

フォームなどの技術的な要因以外にも、間違ったトレーニングや、自分に合わない用具の使用、運動前後のケア不足、筋力量、年齢、性別、運動の継続年数など様々な要素がスポーツ障害の発生原因となります。

スポーツ外傷

転倒したり、衝突したりするなどプレイ中の外的要因によって発症する怪我や故障のことをスポーツ外傷といいます。

テニスのプレイ中は急なストップ&ダッシュや方向転換などの切り返しが求められるため、足首を捻る捻挫のような外傷を発症する可能性が高いです。

テニスで発症しやすい怪我とは?

テニスの場合は身体的な接触があるコンタクトスポーツではないため、スポーツ外傷が発生するケースは他のスポーツと比べると少ないです。打球動作による上肢のオーバーユースや、加齢やケア不足に伴う柔軟性・筋力の低下により発生するスポーツ障害が怪我として多くなります。

考えられる怪我を部位別にまとめておきます。

肩の怪我。

サービスやスマッシュなど頭上のボールを打つオーバヘッド動作の繰り返しにより、肩回りの筋肉や関節唇が損傷することで痛みが生じます

発症する原因の多くはサービスやスマッシュのフォーム・打球動作に問題があり、余計な負荷がかかっているケースがほとんどです。痛みの改善には正しいフォームを身に付ける必要があります

肘関節周囲の怪我。(テニス肘)

テニス肘と呼ばれるように、テニスによって肘を痛める一般プレイヤーは多くいます。テニス肘はバックハンドによって痛める上腕骨外側上顆炎と、フォアハンドによって痛める上腕骨内側上顆炎の2種類に分類されます。

痛みが発症した場合はプレイを続けてしまうと痛みが悪化させるだけなので、安静にして、痛みが落ち着くのを待つしかありません。痛みが落ち着いたらフォーム改善をして痛みの出にくい打ち方を覚えるようにしてください。

テニス肘について下記の別記事に詳しくまとめてありますので、細かく知りたい方はご参照ください。

下肢の怪我。

テニス中における下肢の怪我はふくらはぎの肉離れや、足関節の捻挫、靭帯断裂などが挙げられます。下肢の怪我は突発的に起こってしまうものであり、テニスで下肢の怪我を100%防ぐことは難しくなります

使用するテニスシューズやプレイ前のストレッチ、下肢の筋力強化などによりある程度の予防は可能となりますが、下肢の怪我については発症時に適切な処置を取れるかどうかが大切です。

応急処置としてRICEと呼ばれる、Rest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elavation(挙上)があります。もしもの時にために覚えておきましょう。

腰の痛み

オーバーユースや体幹の弱さから姿勢を崩しながらのショットを繰り返していると腰を痛めることもあります。特にサーブで身体を大きく反りながらボールを打つ人は腰を痛めやすくなるので注意が必要です。

予防法。

テニスのプレイ時間が増えれば身体への負担は増加し、怪我のリスクはどうしても上がってしまいます。プレイ中の身体への負担をいかに軽減するかが怪我の予防においては大切です。

テニス用具を変える。

ボールを打つ際に生じる衝撃がテニスにおける怪我の主な原因です。テニスの用具選びを工夫することでプレイ中に受ける衝撃を軽減させることができます。

テニスラケット。

テニスラケットはスイートスポットの大きいものを選ぶことで、オフセンターした時の衝撃を軽減することが可能になります。同じフェイスサイズのラケットでもヨネックスのようにスイートスポットが広くなる形状のラケットもあります。

他にもラケットフレームに少し柔らかめの素材を使用しているラケットを選ぶなどすることで怪我のリスクを軽減することができます。

テニスシューズ。

テニスはプレイ中の激しい動きを伴うため、足腰への負担を軽減するため自分に合った適切なテニスシューズを使用することが望ましいです。

シューズのサイズはもちろんですが、コートサーフェスに合わせたシューズを用意することも大切です。実際に購入前に試し履きしてみるのは当然ですが、怪我の予防という観点では少しでも高いシューズを購入することをおすすめします。

同じオムニコート用のシューズでも安いモデルと高いモデルでは5000円以上の価格差があります。私自身どちらのシューズも使用したことがありますが、高価格モデルのシューズの方が機能性が高く、プレイ後の疲労感が明らかに軽減されます。迷うくらいなら高いシューズを使用するべきです。

その他のテニス用具。

ボールを打球するストリングを変えることで、打感は大きく変化します。腕への衝撃を防ぐにはゲージが細めのマルチフィラメントやナチュラルガットなどを使用し、ストリングを張るテンションも低めに設定することで、腕への衝撃を軽減することができます。

ストリング以外にもグリップテープはクッション性のあるものを選ぶなどして、腕への負担を減らすことができます。

サポーターを使用する。

サポーターを利用することで筋肉の動きを制限することができ、サポーターを着用している部位の負担を軽減することができます。痛めてからサポーターを利用し始める人も多いですが、予防として使うのも効果的です。

筋力トレーニング。

正しいフォームを身に付けていても、打球時の衝撃に耐えきれるだけの筋肉が備わっていないと痛みを覚えたり、怪我を発症したりする可能性が高くなります。

トレーニングによって必要な筋肉をつけることで、打球時の衝撃を和らげることができます。女性や筋力に自信のない男性は意識的に筋力トレーニングを積むなどして怪我しにくい身体を作りましょう。

競技レベルが上がれば上がるほど、プレイ中のボールの勢いは強くなります。高いレベルでプレイする選手ほど筋力トレーニングは欠かせなくなります。

ストレッチなどのケアを徹底する。

テニスに限った話ではありませんが、急な運動は怪我のリスクを高めるだけです。運動前にはストレッチをして筋肉・身体の柔軟性を高めることで怪我の予防をし、運動後はストレッチやクールダウンで、翌日以降に残る疲労を軽減することが大切です。

怪我を防ぐにはプレイ前の準備が大切。

テニスのおける怪我を防ぐためにはストレッチや筋力トレーニング、用具の準備などプレイ前の事前の準備の方が大切になります。生涯スポーツとして長くテニスを楽しみたければ、面倒かもしれませんが、テニスの技術練習以外にも注意を払うよう意識してください。