このサイトをご覧になるみなさんは、日頃どんな練習をされているのであろうか。きっと趣味としてテニスをする方は学生の部活動のようなハードな練習はしないだろう。
筆者はサークルを長年運営しており、その過程の中で、いろいろな練習を試した。皆で楽しく取り組み、上達することができるような練習を心がけてきた。今回のコラムでは、その練習を紹介していきたい。いずれも目新しさはなくスタンダードなものだ。だからこそ、練習がマンネリ化しないよう少し制約やプレッシャーをかけた内容にしている。
小さな負荷をかけることによっておのずと集中し、ボールコントロールの能力を向上させることにより、テニスが上手くなると考えている。このような練習には、『変化のある繰り返し練習』が大事だと思っている。
以下に紹介する練習をすれば誰でも上達できるという自信がある。なぜなら、我がサークルに属している「テニス馬鹿1」と「テニス馬鹿2」そして、「テニス馬鹿3」と呼ばれる3名がめきめきと上達する様を目の当たりにしているからだ。
その中の2人は50歳前後よりテニスを始め、今では、我々(テニス歴10年以上の者)と対等かそれ以上に打ち合うことができるようになった。彼らのテニス歴はまだ4年程度なのだが、サークルの練習に励むことによって(他の場所での練習量も多いが)日々上達している。
それでは、その練習を時間軸にそって紹介していこう。
ミニテニス(ウォーミングアップ)
ネットをはさんで、1対1でサービスラインの枠内におさまるようにしてリラックスして打ち合う。たまに何か勘違いをしたメンバー2人がこの至近距離からむきになって打ち合うこともある。向こう側の2名を固定し、手前側が3回ミスをしたら後ろで待っている者と交代する。
この練習のポイントは、ボールをサービスラインの枠内に入れることだ。筆者は、練習の前半はスライスを、後半はスピンをかける練習する時間と決めている。他のメンバーはそれぞれ打点のチェックやスピンの量を加減するなどを意識して取り組んでいると思う。(思っているだけで何も考えてはいないかもしれないが)これをウォーミングアップとして行う。(約5分)
1対1ボレー&ボレー(ウォーミングアップ)
次に1対1のボレーを行う。ゆっくり打ったり、激しく打ち合ったりすることは、各ペアの雰囲気に任せている。筆者はフォアから相手のバック、相手のバックから、筆者のバック、筆者のバックから相手のフォアなど、相手と打つ方向を決めて練習することがある。
ただ、漠然と打ち合うよりも集中力と技術を要するため短時間で効果的な練習になる。柔らかく打ってドロップ気味に返球したり、面をつくることを確認したりするメンバーもいる。(約5分)
2対2ボレー&ボレー
次は、4人が平行陣になりボレー練習をする。1人が球出しをして4人でボレー&ボレーをする。球出し役の者は、できるだけ低めに球を出し、ローボレーをさせる。それを一旦クロスに返球することを約束しておく。その後は、自由だ。
球が浮いたら、ハイボレーで叩いてもよいし、スマッシュをしてもいい。さらに、ロブボレーやチャンスがあればポーチをしてもよい。
以前は4人でのボレー&ボレーはほとんど続くことなく、単発で終わってしまっていたが、最近では、10ショット以上続くことが増えてきた。左右に3球ずつ球出しをし、それを3セット(全部で9球)消化したら、1つずつ時計回りに移動することで皆がそれぞれのポジションを経験できるようにしている。
我々のレベルの試合ではあまり平行陣になることはないが、反射神経の維持と、とっさの状況判断能力を鍛えることに適した練習だと言えるだろう。(約10分)
ボレー&ストローク
次は、ボレーストロークをする。ボールかごをネットにピタリと付けて真ん中に置く。そこから、ボレーヤーが対角にいるストローカーに球出しをする。右側のボレーヤーから見て、クロスコートに3球、左側のボレーヤーから見て逆クロスへ3球ずつ球出しをする。これを1セットとして、3セット繰り返す。(全部で9球)
ストローカーは、その球を一旦出したボレーヤーに返球することを約束として決めている。それ以外は、どこに打ってもよい。この練習は、ボレーヤー固定にしておき、ミスしたストローカーが交代する。ミスをしないで、同じ者がそこへ長く居座り続けることもある。
以前は2,3球のラリーが単発で終わっていたが、最近では、メンバーの技術が向上したため、スマッシュやトップスピンロブ、ドロップショット、さらには、アングルボレーなども飛び出し、ボレーヤーとストローカーの攻防が続くことが増えてきた。メンバーのほとんどがこの練習が好きでよくみんなからリクエストされる人気の練習方法である。
この練習隊形から、リターンに重きを置いた練習に変更することもある。ボレーヤーが打ちやすいところに球出しをするのではなく、その位置から力を加減してサーブをするのだ。至近距離なので、ストローカーには結構スピードのあるサーブが来る。上手くリターンできたら、4人でラリーを始める。この練習も、3セット行う。
サーブをするものはいつものベースライン位置より、相当前でボールを打つことになるので、普段のサーブより、トスを前に上げなければサービス枠の中に入らない。枠に入らない場合はやり直しをしながら練習に取り組んでいる。
次に、リターンがクロスに返すのではなくストレートに返球するという練習をするときもある。皆、クロス返球は得意なのだが、ストレート返球は苦手である。試合の際、抜くことができなくても、ストレートに打つところを見せておけば相手の前衛の動きを止めることができる。だから、試合前になるとこの練習に取り組むことが多くなる。
さらに、ストローカーがロブを上げることもある。ボレーヤーのスマッシュ練習になる。スマッシュされたボールをストローカーが再びロブを上げ4人でスマッシュ&ロブのラリーが始まる。(約15分)
アプローチ練習
4人が雁行陣に入り、片面の前衛がストレートに球出しをする。べースラインとサービスラインの間にフワッとしたボールを出す。それをフォア側で思いっきり叩くか、スライスで低い球を放つかしてアプローチする。4人が平行陣となり、ボールが返球されたら、ラリーの始まりだ。球出し側が5失点したら時計回りに1つずつずれていく。同じようアドコート側でもバックのアプローチも練習する。(約15分)
チャンピオン練習
次はダブルスのチャンピオン練習と呼んでいるものだ。サーブに重きを置いた試合形式のダブルス練習をする。コートに4名入り、サービスとリターンに分かれる。リターン側2名を固定にしておく。
リターン側が5失点したら1人ずつ時計回りにずれていき交代していく。リターンの2名が失点5になるまで、そこに居座り続けることができるので、チャンピオン練習と名付けている。
初めにサービス側からサーブをする。球を4球持って、デュースコートからサーブをする。サーブが枠に入ったら4人でラリーの始まりだ。ダブルフォルトしたり、ポイントが決まったりしたら、アドコート側からサーブをする。
ここでもダブルフォルトしたり、ポイントが決まったりしたらサーバーは時計回りに移動し、前衛に行きボレーヤーとなる。練習メンバー全員がアドコート側、デュースコート側のリターン練習が済めばこの練習は終了する。(約20分)
ゲーム
最後にゲームをする。人数が多い時は、4ゲームマッチをし、人数が少ない時は6ゲームマッチをする。メンバーは固定しないで、その都度決めるが、試合の前などは、出場ペアでゲームをするときもある。基礎練習に熱中するあまり、ゲームの時間が少ない時もあるが、メンバー全員が1度はサーブすることができるように時間確保に努めている。
以上が我がサークルの練習方法だ。筆者は数年前に、基礎練習15分程度、残りの95分間は全てゲームという内容のサークルに参加していた。ほとんどの時間ゲームをすることになり、それはそれで楽しかった。
しかし、技術の向上はほとんど望めなかったのだ。練習よりゲームをし続ける方が楽しくサークルらしい姿だとは思うが、テニス技術の向上をねらうのであれば、基礎練習に力を入れることが大切だ。やはり『変化のある繰り返し練習』がマンネリ化を防ぎ、テニスの上達につながると考えている。
今回紹介した練習の他、初級・中級のレベルの者によい練習方法があればこのテニスナビのご意見欄にコメントをいただきたい。そのアドバイスをもとにして、練習方法を進化させたい。我がサークルは、これからも『変化のある繰り返し練習』をしてメンバー全体のレベルを向上させていきたいと思う。
今回紹介した練習方法がテニス初心者の方やサークルのお役に立つことを期待します。
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