テニスコーチをしていると、スピンの打ち方が分からないので教えて欲しいとよく言われます。
スピンが打てるかどうかは技術的な部分が大きいのは事実ですが、ガット(ストリング)を変えることでスピン量を増やすことも可能です。今回はスピン量を増やせるガット(ストリング)の特徴・選び方をまとめました。
ガットとストリングの呼び名の違いはなに?
ガットとストリングの呼び方について明確な使い分けはほぼされていません。現在は「ガット=ストリング」という解釈で問題ありません。
厳密に言えば、ガットは天然素材から作られたナチュラル素材のものを指し、ストリングはナイロンやポリエステルなど化学繊維で作られたものを指します。今回の記事ではガットで統一して表記します。
ガットによってスピン量が変わる!
私自身の体感もありますが、ガットの種類を変えると打感は大きく変わります。いろいろなガットを試せば分かると思いますが、間違いなくスピンがかけやすいガットはあります。
ただ、注意してほしいことが一つあります。どんな人でもスピンが打ちやすくなるガットは存在しません。技術はもちろんですが、人それぞれスイングスピードは全く違いますし、スイング軌道も異なります。
打ち方が変われば当然、ガットに求められる性能も変わります。まずは自分の技術レベルはどの程度なのか、スイングスピードは速いのか遅いのか、自分のテニスを知ることがガット選びのスタートとなります。
スピンがかけやすいガットの選び方
ガットを選ぶときに注目すべきポイントは素材とガットの構造・形状の2つです。販売されているガットにはそれぞれ細かい特徴があり、何を選んでいいか分からず、結局勧められるままよく分からずにガットを選んでしまう人がほとんどです。
しかし、スピンをかけたいなど自分のニーズがはっきりしているのであれば、ガット選びに迷うこともなくなります。
素材の選び方
ガットの素材を大きく分けると、ナイロン、ポリエステル、ナチュラルの3種類しかありません。スピンをかけたいのであればナチュラルを選ぶのが理想ですが、それが難しい場合は自分のスイングスピードに合わせてナイロンかポリエステルを選んでください。
ナチュラルガット
ナイロンもポリエステルもナチュラルガットの性能をどこまで再現できるかを目標に製品開発が進められています。金銭的な負担が問題ないのであれば、ナチュラルガットを選ぶのがおすすめです。
しかしナチュラルガットは最も安い商品でも5000円~と高価なうえに、水や湿気にも弱く、扱いが雑だとすぐに性能が劣化してしまいます。雨の日はテニスを避けるなど気をつかってプレイできれば、テンション維持やスピン性能など優れた効果を体感できます。
ナチュラルガットを選べない場合
ナチュラルガットが厳しい人はナイロン or ポリエステルのどちらかを選択することになります。
もしも筋力があってスイングスピードが速ければポリエステル。女性や子供のように筋力が弱かったり、男性でもテニスを始めたばかりでフルスイングできなかったりするのであればナイロンを選びましょう。
ガットの形状・構造
ガットの素材が決まればあとはガットの形状・構造を選ぶだけです。 ナチュラルガットについて製品ラインナップも少ないので、まずは価格で選んで問題ありません。ナイロンとポリエステルの選び方については詳しく説明していきます。
ナイロンガット
ナイロンガットは構造から、ナイロンモノフィラメントとナイロンマルチフィラメントの2種類に分かれます。
ナイロンモノフィラメントは上の写真の左のように一本の太い芯の周りに、細い糸が巻き付いた構造をしています。一方、マルチフィラメントは細い繊維が集まって一本のガットになっています。
モノフィラメントの特徴は高反発でスピードが出やすくなる反面、少し打感が硬く、コントロールが難しくなります。マルチフィラメントの特徴は反発力はそれほどありませんが、打感が柔らかく、ボールをコントロールしやすくなります。
ナイロンガットについてはどちらの方がスピンがかけやすいというのは特別ありません。自分のプレイスタイルに合わせてモノフィラメントかマルチフィラメントかを選ぶと良いでしょう。
ガットの太さ(ゲージ)
ガットの太さ(ゲージ)によってスピンのかけやすさが変わります。
ゲージが細い方がボールにスピンをかけやすくなります。スピンをかけたい人は細いゲージを選ぶと良いでしょう。ただ、ゲージが細くなると耐久性が低下するので、その点は注意が必要です。
耐久性については、ガットのテンション維持の問題もありますから、3か月使用できれば十分だと思ってください。ガットが切れない場合でも、3か月を目安にガットは張り替えるのがベターです。
ポリエステルガット
ポリエステルガットは素材の特性上、形状をある程度自由に変えることができます。ポリエステルガットの断面を拡大すると加工が施されており、上記の写真のようにそれぞれ微妙に形が違うことが分かります。この形状の違いによってスピンのかかり具合が変化します。
ではスピンをかけたければどのような形状のガットを選べばいいのでしょうか?基本的には多角形型の形状をしたガットを選ぶと、インパクト時にガットの角がボールにひっかかりスピンがかけやすくなります。
市販されている製品だと3~10角形までの形状があります。角が少ないと打感が少し硬くなるので、いくつか実際に自分で試したうえで、フィーリングの良いのものを選ぶのがベストです。
ガットを意識するとテニスが変わる
テニスを始めたばかりの人はガットの違いはほとんど分からないはずです。しかし、ガットについての知識や理解を深めると、自分が目指すテニスにより早く近づくことができます。
上達してからあれこれとガット選びに悩むよりも、早い段階でいろいろと試した方が自分に最適なガットに巡り合える可能性は高くなります。今回の記事がその役に少しでも立てれば嬉しいです。
- 投稿者プロフィール
- 阿部亮平
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