テニスは、相手が必要なスポーツである。しかし、自分が練習したいときに必ず相手がいるとは限らない。そんなときは、練習をあきらめてしまうか、もしくは、一人で練習するしかない。筆者もテニスをやり始めたころは、練習相手が見つからず、一人で練習することがあった。
よく壁打ちに行って打ち方のバリエーションを工夫したものだ。テニス用のネットが描いてある壁に打つことに飽きて、時には、ダムにある壁や近所のトンネルの壁(早朝の車の往来がないとき)を相手して練習したこともある。(危険なのでお勧めはできない)
今回はその一人でできる練習方法について提案していきたい。その中にはテニスの技術を向上することができるものもあれば、『練習をしたぞ』と自己満足させるだけのもある。
提案した練習方法を読者の方なりにアレンジして、さらなるテニス愛とテニス技術の向上を目指していただきたいと思う。
壁打ちエリアでの練習
フォアハンドストローク(右利きの場合)
まず、ゆっくり打って打点のチェックをする。一番力の入る位置で打っているかどうか確かめる。一番力の入るところは、右利きなら左足のつま先位よりやや前になるはずである。
次は右足から左足へ体重が移動しているかを確認する。ボールにパワーが生じない場合は、後ろ足に体重が残っていることが多い。
バックハンドストローク
バックもフォアと同じように練習する。片手バックハンドの場合はフォアハンドより打点が自分の肩幅分前になる。それを意識して一番力の入るポイントを確認しながら取り組む。
フォアのスライス
試合では、フォアでスライスを使う場面はあまりないかもしれないが、打てる方が攻撃のバリエーションが広がる。最初は放物線を描くスライスボールでもよい。
慣れてきたら、ボールを押すことを意識して、直線的に勢いよく飛ばすようにする。やはり体重移動を意識し、フィニッシュは左足に体重が乗るのが理想である。
バックのスライス
フォアのスライスと同じように体重移動と面の向きを意識して練習する。フォロースルーの際は、右足に体重が乗っているかどうか確認しながら取り組む。フィニッシュの際は、全体重が右足に移動し、右足一本で体を支えるようなフォームが理想的だ。
サーブ
サーブの練習するときは、ターゲットを置きたい。そんなときは、ラケットのエッジを傷から守るガードテープの活用がお勧めだ。そのテープで壁に×印をつけて、そこに球が集まるようにサーブする。
距離の測り方は、壁に背中をピタリと付けて小股で17歩歩いたところをベースラインと想定する。その位置にガードテープを貼っておくとサーブ位置の目印になる。
そして、フラット、スライス、スピンなどの球種の練習をしたい。
テニスコートで一人練習
サーブはコートで練習する際もターゲットが欲しい。ボールの空き缶やミニパイロンを5個準備しておく。
1個はTに置く。他は、サービスラインの外側の端辺りへ(デュースコート・アドコートに1個ずつ)と、リターンする者のボディーにあたる辺りにも置く。(デュースコート・アドコートへ1個ずつ)
ファーストサーブとセカンドサーブではボールの速度と球質を変えながら行う。サーブの確率が上がれば、試合のようにデュースコート→アドコート→デュースコート…とカウントをイメージしてシミュレーションしながら試合状況を想定して行う。
そして、ダブルフォルトをしてしまった場合は、自分にペナルティを与える。例えば、コート周りを1周ランニングしてくるとか、腕立て伏せを1~2回するとかである。小さなペナルティを自らに課すことで試合時のプレッシャーに強くなるようメンタルも鍛えておきたい。
また、20メートル位の直線が取れるようなところであれば、庭でサーブ練習も可能だ。筆者は、庭にその距離がぎりぎりとれる場所があるのでよくやっていた。簡易ネットを購入し、サーブ位置からおよそ18.5メートルあたりにターゲットを置く。(小股で37歩)
そのターゲットめがけてスライスサーブやスピンサーブの練習に励んでいた。横幅5メートル、長さ20メートルほどの面積があれば十分に練習することができる。住宅密集地で行う際、ボールがとんでもないところへ飛ばないように細心の注意を払う必要がある。
サーブ&ボレー
次にサーブ&ボレーの練習をする。サーブを入れることと、スプリットステップを意識したい。特に注意することはサービスラインのやや手前でスプリットステップをすることである。そして、さらに気を付けることは、スプリットステップの際、ジャンプするのではなく、膝を曲げて少し沈みこむことだ。
高くジャンプすると着地するまでに時間を使うので、スピードボールが返球された際には対応が遅れる可能性がある。それによりのタイミングが合わなくなり質の良いボレーができなくなるからだ。
球出し打ち(右利きの場合)
左手で、ボール自分の打点の辺りにバウンドするようにやや高く弾ませる。それをフォアハンドストロークで打つ。そのとき、右足から左足へ体重が移動しているか確認する。向こう側のコートに入るかどうかを確認しながら打つとよい。
コート内にコンスタントに入るようになれば、ターゲットを置き、当てることを目指していく。同じようにバックの練習もしたいが、シングルハンドよりダブルハンドの方が慣れが必要だ。
どこでもできる練習
壁やコートが使えない時はボディーバランスとボールタッチの練習をしたい。ボールをラケットで垂直に弾ませる(ラケットでのテニスボールのリフティングのようなイメージ)。
ボールの弾みを高くしたり低くしたりして慣れる。表面で10回、裏面で10回練習する。それができるようになったら、片足で立ってリフティングする。
その後、片足で小刻みにケンケンをしながらリフティングをする。これができるようになったら、かなりバランス感覚が養われたと考えてもいいだろう。
その後、ボールがガットの触れる瞬間にラケットを左右にスライドさせ、スピンの練習にも同じようにして取り組みたい。
普通に立ってラケットとボールを持つ。ボールを上へ投げあげてラケットのガットでキャッチする。その際、バドミントン選手がシャトルをラケットで受け取るようなイメージで、ボールを弾ませないように気を付ける。
それができるようになったら、もう片方の面でも練習する。これでドロップショットやドロップボレーの感覚をつかむ。
テニス練習器具を購入する
テニストレーナー
ボールとおもりの間に丈夫なゴム紐がついており、ボール打つと戻ってくる仕組みのテニスグッズ。強く打つと勢いよく戻るし、やさしく打つと緩やかに戻る。不規則に戻って来るボールを打つことになる。(バウンドも不規則)
しかし、これは初心者には非常に難しい。昔からあるテニスの一人練習の器具だが、購入してはみたもの1,2回使ったらお蔵入りになっている人が多いではないだろうか。
マイオートテニス2
YouTube動画でテニスコーチが話している。質の良いボールを打つためには、①ラケットワーク②フットワーク③ボディーワークの3要素が必要なのだそうだ。この3要素を一体化してテニスが上手くなるらしい。この3つの中で1つや2つを網羅した内容の一人練習ができたらよいと思う。
さて、話をもとに戻そう。この装置は筆者も欲しい。ストローク練習だけでなく、出玉のノズルの角度を変えると、ボレーやスマッシュなどの練習もできるようだ。
テニスのことをよく知っている人がしっかり考えて製作したのだと思う。値段は18万円と高価ではある。サークルの仲間複数で費用を出し合って購入し、輪番で回しながら使うといいと思う。設置するにはある程度のスペースは必要だ。
オートテニス場
オートテニスとはバッティング練習場のイメージで、テニスボールがワンバウンドで飛んで来て、それを打ち返す練習場だ。設定を変えるとスライス・フラット・スピンなどの球種を選ぶことができる。
機種によっては上下左右に様々に球種を繰り出すこともできる。屋根がある場所に設置してあるので、雨天・極寒時にも練習することができる。しかし、たくさん球を打つごとに費用がかかることを覚悟しなければならない。(1回300円で50球~65球)
サークルメンバーに尋ねてみると
我がサークルのテニス馬鹿たちに一人での練習方法について尋ねてみた。
①YouTubeのテニスレッスン系の動画を見る。②プロの試合をライブで見る。③実業団の試合をライブで見る。④草テニス大会をライブで見る。⑤イメージトレーニング⑥素振り、ランニング、筋トレ⑦壁打ちしながらスプリットステップの練習⑧ラケットを持たずに手だけの素振り(サーブ、スマッシュ、ボレー)などをしたと答えた。
また、自分の試合や練習の姿を録画してき、それと比較して修正点を見つけるという猛者もいた。理想のフォームができるまで、それを繰り返すそうだ。
以上、筆者が知っている限りの一人でできる練習方法を紹介してきた。工夫さえすればもっと効果的な練習方法があるかもしれない。このコラムを読まれた方で一人練習のよい方法があればこの下欄に投稿していただきたい。
是非、今後の一人練習の参考にしたい。やはり、人間相手が一番効果的な練習だとは思うが・・・
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