テニスになくてはならない存在が審判です。選手に比べ注目される機会は少ないですが、どうやったらプロ試合の審判になれるのか疑問を抱いたことのある人もいるはずです。
今回はそんな審判にスポットを当て、どうやったらプロの試合の審判になれるのかを調べてみました。
審判の種類
審判は大きく分けると、レフェリー、チーフアンパイア、アンパイアの3種類に分けることができます。
レフェリー
大会運営における審判の最高責任者にあたる存在がレフェリーです。
トーナメント要項の作成に参画し、コートの設営から、大会に参画する全ての審判の管理・教育、トーナメントドローやOPの作成など、規則に沿って大会が運営できるようにさまざまな面で責任を負います。
チーフアンパイア
レフェリーに任命されて、各試合を裁く審判たちの管理や教育をするのがチーフアンパイアです。
審判の試合割り振りから、各審判達の評価などが仕事になります。実際に試合を裁くよりも、試合を実際に裁く審判が働きやすい環境を作り出すのが仕事と言えます。
審判員(アンパイア)
テニスの審判と言われて多くの人がイメージするのがこの審判員(アンパイア)と呼ばれるカテゴリーに含まれます。
審判台に座って試合を裁く主審(チェアアンパイア)、ボールのイン・アウトを判断する線審(ラインアンパイア)、主審が付かないセルフジャッジの大会でコート周辺を巡回しながら試合進行を管理するコートレフェリー(ロービングアンパイア)などの種類があります。
審判には資格が必要
プロの試合を裁く審判になるには資格が必要です。審判資格は細かく区分をされており、先に述べたレフェリー、チーフアンパイア、アンパイアでそれぞれライセンスが設定されています。
レフェリーとチーフアンパイアの資格
レフェリーとチーフアンパイアは共に国際、A級、B級の3種類に資格が分かれています。
レフェリーもしくはチーフアンパイアのB級資格を取得するにはA級・B級審判員の資格保有者でレフェリー、もしくはチーフアンパイアの認定講習会を受講し、所定の認定試験に合格することで取得できます。
レフェリーのA級を取得するには、B級取得後にテニス協会などの推薦を受け、講習会を受講し、試験に合格するとが必要になります。
チーフアンパイアのA級はテニス協会等の推薦を受け、全日本選手権のアシスタントチーフアンパイアを務め、実務評価と委員会の審査によって合否が決められます。
国際資格については、国際テニス連盟の基準に従い認定されます。ちなみに国内のA級資格認定者はレフェリー、チーフアンパイア共に1人ずつしかおらず、国際資格になるとレフェリーが2人、チーフアンパイアが1人と非常に認定者が少ないという現実があります。
これはA級や国際資格が必要になる大会数が少なく、資格を取得しても活用する場が限られていることが原因であると考えられます。
審判員資格
審判員資格は国際、A級、B級、C級と4種類に分かれています。
C級、B級は講習会を受講し、試験に合格すれば取得できます。ちなみに著者は学生時代に大学のリーグ戦で必要となり、C級審判員の資格を取得した記憶があります。
A級はB級審判の中から実務経験などをもとに候補者を選抜し、審査に合格すると認定されます。現状ではA級審判員は2人しかおらず、認定基準もはっきりしていないため、目指してなれるものなのかよく分かりません。
国際審判員についてはレフェリーなどと同様に国際テニス連盟の基準に従い認定されることが取得条件となっており、こちらの資格保有者は現在日本では2人しかいません。
プロの試合を裁くまでの道のり
プロの試合を裁くための第一歩としてはまずC級審判員の資格を取得する必要があります。その後取得した資格を活用してJTAの認定する大会やジュニアの試合などで経験を積んでいき、徐々にグレードの高い大会での審判を経験していくという流れになります。
プロの試合と言っても、JTAではアマチュアとプロが混じって出場するような大会から多額賞金が設定され、世界中に中継されるようなツアー大会まで規模もレベルも様々です。
世間的には無名のプロが出るようなJTA大会の審判であれば、資格取得後の早い時期に審判として試合を裁く機会もあるはずです。ただ、規模の大きな大会になってくるとある程度の経験や人脈が必要になります。
四大大会の審判になるには
審判のB級資格を取得し、ITFなどの国際試合で地道に経験を積んでいく必要があります。審判は大会ごとに募集していたりするので、大会を運営するトーナメントディレクターと親しくなるなど上手く人脈を広げることができれば、より大きな大会で経験を積めるチャンスも増えるはずです。
実際に四大大会で審判を務めた方のインタビュー記事も見つけたので、興味がある方は下記よりご覧下さい。
審判の大変さ
テニスはレベルが上がれば上がるほど審判に求める要求も増えていきます。ツアーレベルの試合になると一つのジャッジで、選手の獲得賞金が数百万~数千万円も変動する可能性もあるわけですから、審判の重圧も相当なもののはずです。
加えて、報酬という面でも審判は決して恵まれた待遇ではありません。大会ごとに審判の報酬も違いますが、賞金総額の高い四大大会でも審判の日給はおよそ3万円ほどで、国内の小さな大会であれば審判はボランティアなんて試合も少なくありません。
私自身学生時代にリーグ戦の審判を経験していますが、試合を裁く重圧からくる精神的な疲労は相当なもので、自分が試合をする方が遥かに楽だった記憶があります。
待遇や精神的な疲労を考えると、テニスの審判という仕事とテニスが本当に好きな人しかできないことだと思います。
テニスを陰で支える審判
試合では選手と口論になるような場面しか審判が注目されることはありません。しかし普段目立たない審判がテニスを陰で支えているのも紛れもない事実です。そんな審判の苦労や凄さを今回の記事を通して少しでも知って頂けたら嬉しいです。
- 投稿者プロフィール
- 阿部亮平
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