派手なショットはないのに何故あの人のテニスは強いのか?

草トーなどの試合に出ていると、なんとなく人の試合を観ているなんてことはよくあると思います。ほとんどの場合は選手の名前など分からないため、どちらが勝っているかはプレイの印象で勝手に判断しているかと思います。

たまに競っている試合ではないのに、観戦している人がリードしている方を間違えるという状況があります。ではなぜそのようなことが起こるのか?今回は派手なショットを持っていなくても強い人の特徴について私なりの考察でまとめていきます。

試合に勝つための大前提の条件。

一般的にですがテニスはミスの少ない方が圧倒的に勝利を掴む可能性が高くなります。ミスが少なくても勝つ場合はミス以上にウィナーの数が多くなるなど特殊なケースに限られるはずです。

特に一般レベルでいえば、ノータッチでウィナーを量産するような試合は相当な実力差でもない限りあり得ないため、尚更ミスが少ないこと勝利への条件となります。

つまり、試合を一部分だけを観た時に速いスピードボールで綺麗にポイントを獲得していると、その選手が凄く強く見え、きっと勝っているのだろうなと錯覚してしまうわけです。

ミスが少ないだけでは勝てない。

ミスが少なければ試合に勝てるのであれば、ボールスピードを緩めても良いからとにかくミスをしないことだけ気をつけよう!そう考える人も居るかもしれません。

しかしながら、ミスをしないだけで試合に勝てるのはせいぜい中級くらいのレベルまでになります。一定のレベルを超えると、ただ単純にボールを繋いでいるだけではなかなか勝てなくなってきます

そうは言っても、JTAレベルの試合でもウィナーは滅多になくても、とにかくミスを少なくして勝ちを掴む選手がいるのは事実です。

では彼らはどのようにしてレベルの高い相手から勝利しているのでしょうか?

相手からミスを引き出す技術を磨く!

競技レベルが上がってくると、自分がミスをしないだけでなく、相手からどのようにミスを引き出すかを意識する必要が出てきます。派手さはなくても堅実に試合に勝ち続ける人はこの能力が人よりも圧倒的に高い場合がほとんどです。

ちなみに、速いボールや鋭い回転というのも全て相手からミスを引き出すための手段に過ぎないのですが、一般レベルになると見栄えの問題でしょうが、速いボールを打てる=強い!凄い!という考えを持っている人が多いです。

ミスを引き出す技術とは?

ではここから相手からミスを引き出すための技術について具体的に説明していきます。

相手を動かす。

相手のフォアやバックを狙うなどはこの項目に該当します。テニスは動かされることによって身体のバランスが崩れミスが増えるため、返球の度に相手を左右に動かすことが出来れば相手からミスを引き出す可能性が高くなります。

ボールスピードが大したことがなくても試合に勝つタイプの人は、ボールコントロールを優先して相手は左右に動かすタイプの選手が多くなります。

一般レベルでは「相手を動かす=左右に打ち分ける」と考えている人も多いのですが、レベルが上がってくるとサービスライン手前に落ちるような浅いボールを意図的に使って、前後にも相手を動かすようになってきます。

一般的に左右に比べて前後の動きを練習している人は少ないため、左右だけでなく前後の揺さぶりを使えるようになると、中級レベルの相手にはほぼ負けなくなってくるはずです。

相手のタイミングをずらす。

普通にラリーをするだけではミスが少ないレベルになってくると、ボールの緩急を使って相手のタイミングをずらすようなことを意識するようになってきます。

上級レベルの試合で派手さがないのに勝てる選手はこの技術を使っています。

どうやってタイミングをずらすのかというと、ボールスピードも勿論ですが、ボールにかける回転量を1球1球変えて、一定のテンポ、打点で相手に返球させないようにします。

具体的にはムーンボールのような高い軌道のボール、スピン、スライス、フラットなど弾み方やスピードが異なるボールを1球ごとに全て打ち分けていきます。更にボールの種類だけでなくコースも同時に変えることが出来ると、それだけでいとも簡単に相手のミスを引き出すことが出来るようになります。

トップレベル選手で例を挙げると西岡良仁選手が正にこのタイプだと思います。派手なプレイをありませんが、ラリーのリズムやボールの軌道を色々変えながら相手からのミスを引き出していく。相手としては最もやりにくいタイプではないでしょうか。

\近くのテニスコーチが見つかります♪/
\気になる人は↓↓↓をクリック!/

コートを3次元で捉えられると戦術の幅が広がる!

一般レベルで試合に勝てない人はコートを下図の平面図形のように2次元で捉え、コースの打ち分けとボールの深い浅いしか意識できていない場合が多いです。

コースの打ち分け以外に、ボール軌道の高さを意識できると非常に戦術に幅が出てきて、試合運びに余裕が持てるようになってきます。

ちなみにボール軌道を意識してコートを3次元に立体的に使えているかどうかを判断する1つのポイントがあります。それは相手に左右に大きく振られて十分な体勢で返球できないときに高いロブを意図的に使えているかどうかです。

3次元でコートを考えられると高さを使えるようになる。

プロの試合でも相手から走らされて厳しい体勢の時に、ほとんどの選手は一回ロブを上げているのに気づくはずです。

ロブを上げることで、コート中央まで戻る時間を作り、次の相手のショットに対する返球準備をすることが可能になります。単純に普通のボールを返球してもオープンコートに決められてしまうだけですから、相手にスマッシュを打たせる方がまだポイント獲得の可能性が高まるわけです。

ちなみに一般レベルでいえば、スマッシュの練習量は他のショットに比べて圧倒的に少ない人がほとんどですから、無理せずロブを上げるだけで、ポイント獲得率は劇的に上がるはずです。

意識一つで勝率は上がる!

今までは相手のフォア、バックのどちらに打つかしか考えていなかったという人には目から鱗だったのではないでしょうか?

私自身も試合に出るようになってから、ボールの軌道を意識するようになり、安定感も勝率も上がったという経験があります。

新たに技術的なことを身に付けるのは時間がかかり大変かもしれませんが、ボール軌道を変えることは、意識一つで実行できるため非常に効果的だと思います。最初は半信半疑になるかもしれませんが、興味を持った方はぜひ実践してみて下さい。