杉田祐一の活躍が持つ価値とその凄さ!

出典:CYCLEより

近年、日本人の男子プロテニス選手がATPツアーで活躍するようになり、ツアー優勝する選手も出てきました。現役の男子プロテニス選手でATPツアーのシングルスタイトルを獲得しているのは錦織圭、西岡良仁、ダニエル太郎、杉田祐一と4人いますが、今回は杉田祐一の凄さに注目しました。

杉田 祐一

1988年生まれ。175㎝75㎏。右利きの両手打ちバックハンドの選手です。ATP自己最高位はシングルス36位ダブルス363位です。シングルスの自己最高位はランキング制度が導入されて以降では錦織圭に次いで日本人歴代2位で、日本男子テニス史上屈指の実績を残しています。

主な戦績

ATPツアーの主な戦績は下記の通りです。

ATP250優勝:1回(アンタルヤOP)
ATPツアーSF進出:2回(ATP250)
ATPツアーQF進出:7回(MASTERS100:1回、ATP500:3回、ATP250:3回)
トップ10選手からの勝利:2回(D.ティエム、J.ソックより)
ATPチャレンジャーツアー優勝:11回

杉田選手が初のツアータイトルを獲得した2017年はツアーレベルでも22勝16敗と、勝率も5割を超えツアーレベルで大きな活躍をしました。しかし、翌2017年は前年に獲得したポイントを守らなければいけないというプレッシャーからかランキングを150位台まで落としてしまいます。

2019年7月にランキングは一時274位まで低下したものの、年末に向けて復調し、翌2020年は全豪で1R突破。ATP250のPuneでQF進出と結果を残し、ランキングも80位台まで再上昇させるなど、今後の更なるランキング上昇も期待できそうです。

プレイスタイル

フラット気味の厚い当たりでボールを捉え、早いタイミングでラリーを展開しながら主導権を握っていくプレイが特徴です。フラット系のショットを得意とするため、日本人選手では珍しくグラスコート(芝)で好成績を残しています。一方、球足が遅くなるクレーコートは他のコートに比べ相性が良くないようです。

杉田選手のコートサーフェス別の成績。
引用:ATPより

サーフェス別の戦績を調べたところ、上記の写真の通り、グラスコートでの勝率が高く、クレーコートの勝率が低いことが分かります。

ちなみにATPツアーで年間を通して5割程度の勝率を維持できると世界ランキングは50位前後になるので、たらればの話ですが、ATPツアーの大会が全てグラスコートで実施されていればどこまでランキングを上げられるのだろうかとついつい考えてしまします。

杉田 祐一の凄さ!

現役の日本人男子でツアー優勝している錦織圭、西岡良仁、ダニエル太郎の3人と杉田祐一の経歴で一つ異なるポイントがあります。それは4人の中で、杉田選手だけが日本の高校テニスを経験しているという点です。

海外の有名テニスアカデミーでトレーニングをしていると、自然と世界のトッププロが練習する姿を目にしたり、場合によっては一緒に練習したりするような機会があるそうです。そういった経験がプロで活躍するための大きな財産になることは否定できません。

一方、日本の高校テニスでは世界のトッププロと関わるような機会は海外遠征でもしない限りは皆無です。テニス環境という面では、決して恵まれているとはいえない状況からATPツアー優勝まで成し遂げた杉田選手は文字通り、純国産のプロテニスプレイヤーであり、多くの日本人選手のロールモデルといえます。

高校生までのジュニア年代を日本で過ごしながら、世界のトップレベルでも戦えることができると証明した杉田選手の功績は非常に大きいといえます。海外で成長した錦織選手が活躍し始めた当初は、他の日本人選手が世界で戦うのは難しいという考えが一部のファンの間ではあったのも事実です。

多くの日本で世界を目指すジュニア選手に大きな可能性や道筋を示した杉田選手は、松岡修造氏と同様にもっと評価されてしかるべき選手のはずです。

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杉田選手が自身の経験を伝える活動。

杉田選手が立ち上げた「日本の樹」プロジェクト。
引用:杉田選手公式ブログより

杉田選手は出身校である湘南工科大学付属高校に定期的に足を運んで練習をしているそうです。母校での練習を通して、杉田選手は自分の経験を通してジュニア世代の選手に伝えられることがあるのではないかと考え、「日本の樹」というプロジェクトを立ち上げました。

プロジェクトでは中高世代の選手を対象にしたテニス合宿や練習会を企画し、SNSで参加希望を呼びかけ、杉田選手が直接選んだ子供たちと一緒に練習を共にしながら様々なことを伝えていくという活動をスタートさせました。

杉田選手のような実績を持った選手が行動を起こせば、当然考えに共感して協賛を申し出るような企業はあるはずです。しかしながら、協賛を得ても企業の顔色をうかがいながらイベントをしたくないとの考えから、現時点では杉田選手はプロジェクトの活動を全て自己資金で賄っています

こういった活動からも杉田選手の人間性や器の大きさを感じ取れます。

多くの苦労を経験している杉田祐一

ジュニア時代世界スーパージュニアでシングルス優勝を飾り、高校生ながら日本リーグに出場10代でデビスカップ代表に選出されるなど、華やかな経歴を残してきた一方で、杉田選手は多くの苦労も経験しています。

19歳だった2007年に世界ランクは400位台まで上昇するも、翌年は1000位台まで下落。その後、2010年に200位前後までランキングを上げるも、そこから100位以内に入るまで6年近くの時間を要しました。またその間に、四大大会予選では18大会連続予選落ちも経験しています。

杉田選手のキャリアを詳しく調べると、錦織選手のような大きな怪我はないものの、世界ランキングでは大きな浮き沈みや停滞を経験していることが分かります。

2017年に自己最高位の世界36位を記録してからまた大きくランキングを下落させていますが、過去の杉田選手のキャリア変遷を考えると、ランキングを再度ジャンプアップさせる活躍を見せてくれるはずです!

今後の杉田選手の活躍に注目!

杉田選手のテニスは錦織選手のような華があるわけではありませんし、素人が見ても分かるようなビッグショットもありません。しかし、求道者のように自分なりのテニスを突き詰めて、地道にランキングを上げ、ツアー優勝まで成し遂げたその姿は多くの日本人選手の手本になるはずです。

杉田祐一はテニスのプレイ以外でも、人間性など多くの若い選手の手本になるような選手です。西岡選手のように積極的にSNSを活用しているわけでもないため、コアなテニスファン以外にはまだまだ杉田選手の魅力が伝わっていないように1人のテニスファンとしては感じます。

今回の記事が杉田選手の魅力を知る一つのきっかけになれば嬉しいです。ぜひ今後の杉田選手の活躍に注目してください!