2019年はなんと235万ポンド(約3億2000万円)!
年々増額されるたびに驚くしかないグランドスラムの賞金額。2019年ウィンブルドンは賞金総額が前年比11.8%増の3800万ポンド(約55億円)。シングルス優勝賞金は男女ともに10万ポンド増の235万ポンドで、日本円にしてなんと約3億2000万円となった。サラリーマンの平均生涯賃金2億1000万円を2週間でかる〜くブチ抜いてしまう金額だ(比較するのもなんですが…)。
ジョコビッチ、謝るくらいなら余計なことは…
ところで、冒頭にさらっと「男女ともに」と書いたが、実はそんなにさらっとした話ではない。「テニス 男女賞金額問題」などで検索すればここ数年の騒動について、さまざまなニュースを確認することができる。
要するに、「男子の方が5セットマッチで過酷だし、人気もあるので賞金同額ってどうなの?」的な意見があり、国際大会のお偉いさん(BNPパリバオープンのCEO)や男子トップ選手(ジョコビッチね)がチロチロ文句言ったりして、その発言が物議を呼んだのだ。
まあ、女子選手はもちろん、多くの男子選手、そしてテニス界全体も「男女格差なし」へと向かっているのだから、余計なことを言わんでもいいのではと個人的には思うのだが…(ジョコは結局、謝罪したからね)。
テニス界に男女格差がないのは●●●夫人のおかげ!?
さて、ウィンブルドンだが、賞金が男女同額になったのはわりと最近で2007年。グランドスラムで最も早く男女同額になったのが1973年の全米オープンだったことを考えると、ずいぶん時間をかけたねという印象だ(それも伝統のなせる業か)。
とはいえ、1990年のウィンブルドンは男子23万ポンド、女子20万7000ポンドで2万3000ポンド差、2000年は男子47万7500万ポンド、女子43万ポンドで4万7500ポンド差となっていて、他の競技の男女格差(後述)に比べればそれほどではない。
ところが、1973年以前のテニス界となるとずいぶん事情が違ってくる。女子はなんと男子の8分の1の賞金だったのだ。そこで立ち上がったのがアメリカのビリー・ジーン・キング(いわゆるキング夫人ですね)。60年代後半から70年前半と言えば、ウーマンリブ華やかなりし頃。キング夫人は、男女格差をなくすため、リーダーシップをとり、「女性によるテニスツアー」を提唱。現在の女子テニス協会の原型を作った。
さらに、当時29歳だったキング夫人は、55歳の元世界1位の男子選手ボビー・リッグスとの男女対抗5セットマッチに勝利して全世界の注目を集めた(この様子は映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』でぜひ!)。まさに筆舌に尽くしがたいキング夫人の努力のおかげで、現在の女子テニス界があるといっても過言ではないのだ(さすが6度もウィンブルドンで優勝するだけあります!)。
ゴルフやサッカーの男女格差とマッケンローの金言
最後に他の競技の男女賞金格差を確認しよう。まずはゴルフ。全英オープンと全英リコー女子オープンの場合、男子の優勝賞金は189万ポンドで約2億円のところ、女子は約50万ポンドで約6800万円と3分の1。サッカーの場合は、男子ワールドカップの優勝賞金3800万ドル(約41億2100万円) に対して女子ワールドカップは400万ドル(約4億3000万ドル)となっている(もはや比べるべくもないですね…)。
まあ、ゴルフもサッカーも男子の方が圧倒的に人気なので仕方ないのだが、そうは言っても「男女格差なし」に努力しているテニス界はずいぶんステキに思える。
ちなみに、あのマッケンローが、「男女同じトーナメントでのプレーで賞金差があるのはばかげている。同額にすることで他の社会にも良い例になる」と語ったとか。社会全体のことまで考えるなんて、悪童もすっかり大人になりました!
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- 東龍太郎
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ウインブルドンは男女の格差がないんですね。今年はオリンピックがありますし、コロナの影響でどうなるか楽しみですね。
こちらのサイトでもウインブルドンについて紹介していきます。
https://tennis-media.com/