プロテニスツアーの最高峰が四大大会というのはテニスファンであれば周知の事実であるはずです。そして四大大会の中で最も権威があるとされるのがウィンブルドンと呼ばれる全英OPです。
全英OPを見ていると選手のウェアが全て白で統一されているということに多くの人が気づくはずです。他の四大大会はウィンブルドンと違いウェアの色が統一されているようなことはありません。
ではなぜウィンブルドンだけウェアが白で統一されているのか。今回はウェアの謎とウィンブルドンについて調べてみました。
ウィンブルドンの歴史。
ウィンブルドンはオールイングランド・ローンテニス・アンド ・クローケー・クラブ(AELTC)で1877年に開催されたテニストーナメントが起源となっています。
他の四大大会と創設年で比較すると。全米OPは1881年のアマチュア大会、全仏OPは1891年のフランス選手権、全豪OPは1905年のAustraliaとNew zealandの共同大会が起源と、やはりウィンブルドンがテニスの聖地と言わるだけあって大会として最も古い歴史を持っています。
四大大会唯一のグラスコート。
ちなみにウィンブルドン開催中に使用されるセンターコートを含めたショーコートは全て大会期間中以外は芝の生育を促すため一切使用されることはありません。加えて、ウィンブルドンの予選は本戦会場とは異なる場所で実施され、本戦出場者以外はショーコートでプレイできないとほど徹底したコート管理がされています。
ちなみにグラスコートの特徴はボールが弾みにくく、滑るように伸びてくるため、ハードコートやクレーコートとは異なる技術やフットワークが要求されると言われています。
元々、グラスコートは他のコートに比べコート管理に多くの労力を必要とするため、世界的にもコートの数が少なく、プロ選手と言えどもプレイする機会が少ないコートサーフェスです。
更にテニスのプロツアーでもグラスコートシーズンはおよそ1カ月と短いため、プロでさえ適応に苦労するほど特殊なコートと言えます。しかしながらコートの希少さと、太陽に映える芝の緑がウィンブルドンの独特の雰囲気が人々を惹きつけるのもまた事実です。
そもそもウェアの色はなぜ白なのか?
ネットでいろいろと調べてみたところ、女子シングルスの初代優勝者のモード・ワトソンが全身白で統一されていたウェアを着ていたことが由来とあったり、テニスは元々上流階級の遊びであったスポーツであったため、プレイ中に汗で下着の色が透けると見栄えが悪いなど、釈然としない由来ばかりでした。
ちなみにウェアの色は今でこそ様々なデザインや色が採用され、アパレルメーカーが必死に売り上げを伸ばそうとしていますが、そもそも昔はテニスウェアにデザインや色という概念はほぼなく、誰もがみな似たようなウェアを着ていたそうです。
そのため、ウィンブルドンに限らず他の四大大会でもテニスウェアは白を基調にしたものという規定があったようです。しかしながらテニスウェアのデザインや色の多様化が進み、1970年代になると多くの大会でウェアの色を制限する規定がなくなっていったようです。
では、なぜウィンブルドンでは今でも白でウェアを統一しているのか。これにはどうやら明確な理由はなく単純に「伝統だから!」という理由が一番強いようです。
そんな理由で白なのか?と思うかもしれませんが、「Why the all-white clothing rule at Wimbledon?」という記事によるとAETLCの人間がそういった発言を実際にしているようなので事実なのでしょう。
伝統だからという理由で頑なにウェアのルールを変えないのもなんだか日本の大相撲に似ているなと個人的には思ってしまいましたが、2018年にはR.フェデラーがこのウェアの規定について言及していたので、時代に合わせてウェアの規定も多少変化していくかもしれません。
白以外のウェアが認められたウィンブルドン。
実は2012年のロンドン五輪の際にテニス競技の会場はウィンブルドンと同じAETLCが使われ、この時は特例でウェアの白規定がありませんでした。
本来、ウィンブルドンが開催される際はウェアの色だけではなく、スポンサーなどの企業ロゴも極力目立たないようにという厳しい規定がありましたが、流石に五輪となるとAETLCもウェアのルールを強制させることはできなかったようです。
ちなみに五輪でのウェアの色については完全な自由が認められていたわけではなく、自国の国旗に準ずる色のウェアのみ着用を認めるという形をとっていたようです。
ウェアの白はいつまで続くのか?
「伝統」を守るという形で頑なに白のウェア規定を崩さないAETLCですが、時代の流れなどもあり、一部の選手からは規定を緩めても良いのではという意見も出てきています。
果たしてどこまでこの伝統が守られていくのか。そして白という縛りがあるなかで各メーカーがどんなウェアを用意するのか。そんなことにも注目しながらウィンブルドンを観戦すると新しい楽しみが見つかるかもしれませんね。
- 投稿者プロフィール
- 阿部亮平
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