コロナの感染拡大により、テニスのツアーは3月から開催中止となりましたが、8月から男女ともにツアーが再開されました。そして今月末(8/31~)より四大大会の全米オープンがスタートします。
コロナは未だに収束せず、例年とは異なる形での開催となり、選手や関係者からも様々な意見が挙がっていますが、2020年の全米オープンはどのようになるのでしょうか。開催方式や選手の声など調べてみました。
全米オープン
全米オープン(US OPEN)は全豪・全仏・全英と並びテニス界の最高峰である四大大会の一つです。大会の主催・運営はUSTA(全米テニス協会)で、コロナ禍での開催に賛否がありながらも、6月にニューヨーク州の開催許可が下りたため、2020年大会の開催を決定しました。
開催を決定した6月時点ではコロナウィルスの収束は見えませんでした。しかし、全米オープンが開催されるニューヨーク州では現在1日当たりの新規感染者数がピーク時の10分の1以下に落ち着いているため、なんとか大会の開催は実現できそうです。
開催決定までの経緯。
コロナウィルスの感染拡大により、四大大会では全英(ウィンブルドン)が中止となり、全仏OPの開催は5月末から9月末に変更となりました。コロナウィルスの収束が見通せない中で全仏OPの日程が変更になったり、全米オープンが早い段階で開催する方向で話が進んだのには理由があります。
四大大会の開催により得られる収益は莫大です。全米オープンを主催するUSTAにとって開催中止による収入減は何としても避けたいのが本音で、無観客での開催だったとして、放映権料の収入が見込めるという考えもあったはずです。
プロテニス選手とっても、大会出場による賞金は貴重な収入源ですから四大大会の開催を求めていました。様々な関係者の思惑もあり、コロナの収束が見通せない中でも全米オープンが開催される運びとなりました。
出場選手が制限される。
2020年の全米オープンは、コロナの感染対策を徹底した上ので大会開催となるため、出場選手数が大幅に制限されます。
テニスはグローバルスポーツであり、プロ選手は国境を跨いで世界各国を移動します。コロナウィルスの感染拡大リスクを最小化させるため、一部種目の開催を中止するなど大幅に出場選手数を削減することになりました。
シングルスのドロー数は男女共に例年通りの128ドローですが、予選の開催は中止。単純計算ですが、男女合わせて300人ほど参加人数が減ります。ダブルスのドロー数は64から32へ削減。混合ダブルスとジュニア部門の開催は中止と決定するなど、2020年は大幅に規模を縮小しての開催となります。
全米オープンに対する選手たちの考え。
全米オープンの開催については様々な賛否両論があります。では大会の主役となる選手たちはどのような意見・考えを持っているのでしょうか。同じ選手であってもランキングや拠点とする地域によって考え方が大きく異なるようです。
R.ナダル
2019年の全米オープンを制覇したR.ナダルは2020年大会の欠場を公表しました。コロナウィルスが感染収束しない状況でヨーロッパからの長距離移動はリスクがあるとの判断です。また、再開後のツアー日程に苦言を呈するなど、ツアー再開自体にも疑問を抱いているようです。
N.ジョコビッチ
ツアー中断期間に自らトーナメントを主催し、感染対策の甘さから自身も含めて複数のコロナ感染者を出してしまったN.ジョコビッチは感染対策をしっかりすれば開催は問題ないとの見解を示しています。
ジョコビッチが主催したアドリアツアーで自身を含め複数の感染者を出したことから、感染対策にはいろいろと気をつけているようで、自ら自費で会場近くに宿を用意し、感染対策用のスタッフも雇って、全米オープンには参加するようです。
内山靖崇
日本人選手の立場からすると日本に比べて圧倒的にコロナ感染者数の多いアメリカに移動するのはやはり怖いのが本音のようです。それでも全米オープンに出場するのには東京五輪が関係しているのかもしれません。
ランキングポイントの加算については救済措置があるものの、東京五輪への出場権獲得を考えると、全米オープンを欠場しポイント加算のチャンスを逃すという選択肢はなかったのではないでしょうか。
感染対策は?
コロナ禍での開催ということもあり、厳しい対策を講じた上で2020年の全米オープンは開催されます。主な対策についてまとめました。
出場選手数の削減。
先のも述べましたが、男女のシングルス・ダブルス共に本戦のみ開催。ドロー数はシングルス128のダブルスは例年の半分である32とドロー数を縮小。混合ダブルスとジュニア部門は開催中止が決定。
大会スタッフの削減。
審判とボールパーソンはメインコートとなる2面のみ主審・線審(9人)・ボールパーソン(6人)の通常通り16人体制で進行。その他のコートは主審とボールパーソン3人の4人体制で進行し、ラインジャッジはホークアイシステムを活用するとのことです。
選手・関係者の隔離。
大会は外部と隔離された「バブル」と呼ばれるエリア内で実施されます。エリア内には試合会場や宿舎はもちろんレクリエーション施設などもあり、選手や大会関係者は外部と接触しないような体制が敷かれています。
エリアの出入りは厳しく制限され、行動範囲も大会への関与具合によって細かく制限がかけられるようです。また、エリア外(バブル外)に出る際には必ず大会責任者からの許可が必要になります。
検査の徹底。
選手は現地到着後にPCR検査を受け、大会が用意したホテルにて検査の結果が出るまで待機となります。陰性確認後にバブル内への入場が許可されます。入場後48時間以内に再検査を実施。その後も4日おきに検査を受けることが義務付けられています。
万が一、途中で陽性が出た選手は即、棄権となってしまいます。
出場選手のランキングは?
男女共に前年の大会優勝者は欠場を表明しましたが、特殊な理由がない限りほぼ全ての選手が大会にエントリーをしました。怪我によるランキング低下を救済するプロテクトランキングを活用する選手やエントリー後の欠場表明などもあり、男女共に130位台(エントリー時)が出場ラインとなったようです。
コロナウィルス感染による後遺症の報告もニュースになっているなかで、ほぼすべての選手がエントリーしたことから、選手たちは大会側の感染対策を信頼していることが伺えます。
それ以上に、大会賞金が得られないと生計を立てるのが難しくなる選手が多いという理由が大きいかもしれません。無観客により大会収益は例年よりも低下することが確定しながらも、USTAは3Rまでの敗退時に支払う賞金を前年よりも増額し、上位進出者の賞金を減額するとことを決定しています。
大会の注目ポイント。
2020年の全米オープンは特殊な状況下で開催されるものの、権威ある四大大会である事実は変わりません。男子シングルスでは、ナダルとフェデラーが欠場し、ジョコビッチもコロナ感染から回復したばかりと、新たな四大大会制覇者が誕生するのではという期待があります。
女子シングルスでは、S.ウィリアムズが四大大会の最多優勝記録を達成するかどうかに注目が集まります。女子はトップ10選手の内6人が欠場しており、S.ウィリアムズにとっては記録達成の大きなチャンスとなっています。
大会の成否が今後のツアーに大きく影響する!
全米オープンは開催されるものの、テニスも含めスポーツ界では観客を入れた大規模イベントは開催できていないのが現状です。2020全米オープンはコロナ禍でも国際的イベントが実施可能かどうかの試金石にもなるはずです。
大会を通して新たな感染者を出さずに済むのか?テニスの結果だけでなく様々な面からも今年の全米オープンは要注目です!
- 投稿者プロフィール
- 阿部亮平
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