21日にモナコ・モンテカルロで行われたロレックス・モンテカルロ・マスターズ決勝戦で、イタリアのファビオ・フォニーニがセルビアのデュサン・ラヨビッチに勝利し、優勝しました。フォニーニにとってはこれが自身初のマスターズ優勝です。さらに本日付けのATPランキングで、フォニーニは自身最高位の12位となることが確定しています。今年のフォニーニは慢性的な足の痛みにより、成績不振や早期敗退が続いていましたが、得意のクレーシーズンの大舞台で華々しい復活を見せました。
ここがスゴイ!その1、厳しいドローを勝ち抜いた「粘り強さ」
今大会のフォニーニの躍進は、1 回戦でロシアの若手・ルブレフ相手に1セットを落としたところから始まりました。初戦から2時間半にも及ぶタフな試合を勝ち抜き、フォニーニの売りである粘り強さを見せると、その後第3シードのズベレフ、第9シードのチョリッチ、第2シードのナダルというランキングの高い選手に対しても自身のテニススタイルを崩すことなく勝ち切り、決勝へと進みました。
迎えた決勝戦でも、強い風がコート上を吹き乱れる中、得意の鋭いフォアハンドやスライスショットを生かし、勢いに乗ったラヨビッチに流れを明け渡すことなく見事な優勝を飾りました。
ここがスゴイ!その2、31歳11か月での「マスターズ初優勝」
近年は30代のプレーヤーの活躍も珍しくありませんが、30歳を超えてから、トップ選手が勢ぞろいするマスターズ1000の大会で初優勝を飾ることは容易くありません。肉体的な衰えはどうしても生まれますし、今大会のフォニーニも100%痛みのない状態とは言えませんでした。
フォニーニならではのプレー、特に、チャンスが来るまでひたすら下がって拾うスタイルは膝やふくらはぎに大きな負担を与えます。ここ数年のフォニーニはほとんどの試合で下半身にテーピングを巻いています。もちろん今大会でも同じでした。決勝戦ではラヨビッチの好プレーがあり、1セット目はリードされる場面もありましたが、要所でマスターズ初優勝のチャンスを逃さなかったフォニーニに軍配が上がったように思います。
ここがスゴイ!その3、怪我との「付き合い方」
前述の通り、近年のフォニーニは常に膝やふくらはぎの痛みを抱えながら試合をしています。怪我のせいで思うようにプレーできない時期も多くあったように感じます。
それでも彼は、足に負担のかかるプレースタイルを変えようとしません。下がって拾うスタイルはおそらく彼にとってのベストな戦術であり、素人目線でも、彼の魅力や強みを存分に引き出せるスタイルであるように思うのです。そのスタイルを崩さず戦い続けるために、試合後・トレーニング後のケアを丁寧に行っていることも、フォニーニのInstagramを見ているとよく分かります。
ツアーを回っている限り、怪我や痛みを完治させることは難しいので、選手たちは痛みと付き合いながら試合をする以外の方法がありません。フォニーニのテニスをよく見ていると、後ろに下がっていながらも左右にドタバタ走ることは少なく、相手の戦術を読みながら素早く対応しています。したがって、怪我と付き合いながら自分らしいプレーをする点において非常に長けている選手と言えるでしょう。その結果が31歳でのマスターズ初優勝に繋がりました。
ここがスゴイ番外編!アラサーでもマスターズは勝てる!
今大会、フォニーニが31歳11か月でマスターズ初優勝を飾りましたが、昨年もデルポトロが29歳6か月でインディアンウェルズを制し、イズナーが32歳11か月でマイアミを制しそれぞれマスターズ初優勝を果たしています。統計では、29歳以上で自身初のマスターズ優勝を成し遂げた男子選手が10人いるようです。
こうして名前を見てみると、どの選手も、それまで十分に名前を馳せてはいてもマスターズだけは優勝したことがなかった、というタイプの選手が多くなっています。
一般的に、年齢が上がればツアー優勝のチャンスが減ることは確かですが、不可能ではありません。今大会のフォニーニのように、成績不振が続いていても、粘り強くプレーを続けて自身よりランキングの高い選手たちを破竹の勢いで破ることもあります。彼らの活躍がアラサー選手の今後のはずみになり、この表に新しい名前が加わる日を楽しみに待ちたいものですね。
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