テニスラケットにガットを張るとき、無視できないのがガットの「テンション」です。このテンション、なんとなくで決めている方が多いのではないでしょうか。
自分にあったガットのテンションがわからない、どういった基準で決めれば良いのかわからないという方は多いことでしょう。
よくわからないので、販売されているガットに包装に記載されている参照テンションをそのまま適用しているという方も少なくないでしょう。実際は、この参照テンションはあまり参考になりません。
そこでこの記事ではテニスラケットのガットテンションの決め方について、様々な観点からまとめました。
そもそもテンションとは??
テニスラケットにガットを張る際に、必ず決めなくてはならないのがテンションの数値です。このテンションとは「ガットの糸を引っ張る強さ」のことで、単位はポンドを使います。
テンションの数値が高ければ高いほど強く引っ張っていることになり、逆に低ければ低いほど引っ張る力は弱いということになります。
標準的なテンションの数値は50と言われていますが、どんな状況でも50に設定すればOKなのでしょうか。
ベストなテンションの決め方
結論から申し上げますと、テンションの強さは人によって適正な数値が変わります。ではどのようにして適正なテンションを決めれば良いのでしょうか。
硬すぎても、柔らかすぎてもダメ
極端な例えですが、もしあなたがテンション80でガットを張った場合、そのラケットは使ったらすぐに壊れてしまうでしょう。逆に20のような弱すぎるテンションの場合、打ったボールがまともに飛ぶことはないでしょう。
基準のテンションを50と設定し、個人のポテンシャルや個性に合わせて細かく調整するのがベストであると言えます。
ラケットを使用するプレイヤーの筋肉量、経験、性別、プレースタイル、スウィングスピードなどをトータルに考慮してテンションを調整する必要があります。
ラケットの特徴に合わせて調整する
ガットのテンションはラケットの特徴にも大きく左右されます。
あなたのラケットがフェイス面積の小さい、フレームの薄いラケットを使用している場合、ラケットそのものに飛ばす力がないためテンションを少し低めに設定することでガットの反発を生かしてボールを楽に飛ばせます。
一方、あなたのラケットがフェイス面積の小さくない、フレームも薄すぎないラケットの場合、ラケットそのもに飛ばす力がありますので、テンションを少し高めに設定すると無駄のないショットを打てるでしょう。
ロジャー・フェデラーもラケットの大きさや特徴に合わせてテンションを細かく調整しています。
飛びすぎるラケットはアウトが増える??
「ガットを張り変えた直後はボールが飛びすぎてアウトにばかりなってしまう」という話をよく耳にしますが、テンションを調整して「よく飛ぶ」ラケットにしたらアウトになりやすくなってしまうのでしょうか。
実際には、ボールが良く飛ぶという状況でアウトが増えることはありません。問題はラケットではなく別にあると言えます。
よく飛ぶラケットを使用した際に起きることはスイングの萎縮等の「プレイヤーの運動の抑制」あるいは「打球の回転量の増加」です。飛びすぎの状況でどちらが発生するかはプレイヤー次第なのですが、そうした状況では誰でも例外なく、ボールを打つときの対応を変化させて結果的に打球がコートに入るような打ち方になります。
特徴別おすすめテンション一覧
- 95〜97インチのラケットで、筋力やスウィングスピードに自信がある方⇨52〜56ポンドの少し強めのテンションがおすすめ
- 97〜100インチのラケットで、筋力やスウィングスピードに自信がある方⇨38〜45ポンドの少し弱めのテンションがおすすめ
- 100インチ以上のラケットで、筋力やスウィングスピードに自信がない方⇨45〜50ポンドの少し弱めのテンションがおすすめ
- 97〜100インチのラケットで、筋力やスウィングスピードに自信がない方⇨48〜52ポンドの少し弱めのテンションがおすすめ
テンションのチェック方法
では「硬すぎても柔らかすぎてもダメ」とわかった上で、自分にとってベストなテンションかどうかをどのようにしてチェックすれば良いのでしょうか。
手応えが硬いなと感じる場合
ガットを強く張ると、手応えが硬くなります。インパクトの瞬間にガツンという衝撃があるのですが、こうした衝撃が予想されるときにグリップを柔らかく握っているとラケットを弾かれてしまうので、反射的に力が入るようになります。
力を入れると筋肉が固まるので、リストを柔らかく使うことができなくなってラケットヘッドのスピードが出にくくなります。このスピードはボールを打ち出すエネルギーの源なので、それが不足していると打球の勢いはなくなります。
ガツンという手応えを感じながら力を入れて打っていると、力を入れている割には打球に勢いがなく、相手から簡単に打ち返される状況になりやすくなります。
手応えの割に打球に勢いがないな、と感じたらテンションを少し下げてみましょう。
手応えが柔からいなと感じる場合
ガットを柔らかく張ると手応えも柔らかくなりますが、そこにズシっとした重さの感覚が生まれる場合は適切な範囲を超えて柔らかすぎという状態です。
この感覚に「ホールド感がある」と感じて好む方もいらっしゃいますが、「ボールを持っている感覚」が生まれるとそれに対して力を入れて押し返すような運動が起きやすくなるので、長時間の試合や練習に不向きです。
打球がインパクトの瞬間に重い、または意図的に押し返さないと打球が弱い場合はテンションを少し強めに調整すると良いでしょう。
ガットの劣化に注意!
テニスのガットは何もしなくても時間が経てば劣化し、同時にテンションもゆるみが発生します。テンション維持が時間とともに低下していき、反発性能も失わていきます。
反発性能が失われると楽にボールを飛ばせなくなるため、無理な力を入れてスイングをしてしまい、プレーの質を低下させることにもなります。緩んだガットでプレーをすると、ボールに伝わりきらなかった衝撃は手首や肘など体で受けることになるため、怪我の危険性も高めてしまいます。
テニスをプレーしている最中に発生する糸のズレが自然に直りづらくなってきた場合、テンションの調整またはガットの張り替えが必要です。
ベストなテンションにこだわると良いこと
打球感が良くなる
テニスのガット張りで目指すべきゴールは「楽な運動で強烈な打球」であり、この二つの要素はどちらかだけでは十分ではありません。
なぜなら、良いショットを打つのに力を思い切り込めて打たなくてはならない場合、長い試合を勝ち抜くことができず、楽に打てるだけでは打球に勢いが無く防戦一方になってしまい試合に勝つことはできません。
したがって、勝つことを目指すのであれば「楽に打てること」と「勢いのあるショット」の両方とも絶対に欠かせない条件と言えます。
テンションをしっかり自分の個性に合わせて調整することでこの二つの要素を両立したラケットを実現することができます。
怪我の防止になる
上述した通り、テンションが強すぎるガットでプレーしたり、劣化したガットでプレーすると、本来不必要な無理な力を入れてしまったり、衝撃がボールに伝わりきらずに肘や手首にダメージとして蓄積してしまいます。
これは「テニス肘」の原因になりかねませんので、テンションにこだわることで様々な怪我の予防に役立ちます。
長く安全にテニスを楽しむためにも、試し打ちなどの際にはテンションに少しこだわってみてはいかがでしょうか。
自分にとってベストなテンションを見つけよう!
実際には、極端な劣化やテンションの偏りがなければプレーに多大な影響を及ぼすことはありません。テニスを初めて間もない方にとってはそのわずかな差を感じ取ることは至難の業でしょう。
しかし初心者だからといって、なんでもいいやと思われるのはもったいないことです。こだわりを作るのにプロのアマチュアも関係ありませんし、直感でもしっくりくる感覚が分かれば、それだけで今後のテニスをもっと楽しむことができるでしょう。
自分にとってベストなテンションを見つけて、さらなるステップアップを目指しましょう!
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