テニスの試合でゲームスコアが6-6になるとタイブレークに突入します。タイブレークという言葉は知っていてもその進め方やルールについては意外と知らない人も多いはずです。今回はそんなタイブレークのルールや歴史について記事にしました。
タイブレークとは?
タイブレークは実力の拮抗した選手同士が試合をしたときに、試合時間の短縮を目的に導入された制度(ルール)です。タイブレークはサービス権の有無による有利・不利が生じないような仕組みとなっています。
ルール。
タイブレークはあるセットにおいて取得ゲーム数が6-6で並んだ場合に実施します。大会によってタイブレークを実施するタイミングは異なり、8-8や12-12になったらタイブレークをするという場合もあります。
タイブレークにはいくつか種類がありますが、プロ選手のツアー大会や草トーなどで最も頻繁に利用されるタイブレークは「12ポイント制タイブレーク」です。12ポイント制タイブレークは7ポイント先取で争われ、7ポイント獲得時に相手に2ポイント以上の差をつけていなければならないというルールがあります。
例えば、タイブレークのポイントが7-6となった場合は、8-6や9-7のようにどちらかが相手に2ポイント差をつけるまでタイブレークが継続されます。
タイブレークの公平性。
タイブレークでは両選手の公平を期すために、サーブ権とエンドチェンジに関するルールがあります。
タイブレークでは、サービス権が奇数ポイント終了(1、3、5、7…)のたびに対戦相手との間で交互に変わっていきます。また、6ポイント終了するたびに選手はお互いにプレイするコートエンドを変更します。
タイブレークのルールはサーブ・リターンや太陽や風の向きなどによる有利不利を極力排除し、テニスの純粋な実力でタイブレークの勝者を決められるような仕組みとなっています。
ちなみにタイブレークはタイブレークスタート時の1ポイント目のサーブを打った人のサービスゲームとしてカウントされます。タイブレーク後の、次のセットはタイブレークの1P目にリターンでスタートした人のサービスゲームとなります。
ポイントの数え方。
タイブレーク時のポイントの数え方は普通のゲームとは異なります。
普通のゲームでは0→15→30→40とポイントを数えていきますが、タイブレークの場合は0→1→2→3→4…と普通の数字の順番通りに数えていきます。ちなみにタイブレークの場合は0(ゼロ)と発音し、通常のゲーム時の0(ラブ)とは違う呼び方をするのでご注意ください。
タイブレーク中にサービス前にポイントをコールする場合、サーバー側→リターン側の順番でコールするのが基本です。例えば3-1で相手がリードした状態で、相手サーブからのポイントを自分が獲得した場合、次のポイントはサーブ権が自分に移動するので、サーブを打つ前のコールは2-3という感じになります。
タイブレークではサービスを打つ前にポイントを確認しておかないと、選手同士でポイントを取った・取られたで口論になることも少なくありません。タイブレーク時はサーブ前にしっかりと相手に聞こえる声でポイントコールをする癖をつけましょう。
タイブレークの歴史。
そもそもタイブレークはどのような変遷を経て現代テニスに定着したのでしょうか。タイブレークの歴史を調べたところ、タイブレークがテニスのルールとして定着したのはごく最近のことだと分かりました。
タイブレークの考案者。
タイブレークはJ.ヴァン・アレンが考案し、自身の主催するプロトーナメントで1965年に導入したのが始まりです。タイブレーク導入の目的はゲーム時間の短縮でした。
ヴァン・アレンは9ポイント制タイブレークと12ポイント制タイブレークの2種類のタイブレークを考案し、どちらも現在のテニス界で使われています。
タイブレークの種類。
ヴァン・アレンが考案した2種類のタイブレークと、現在のテニスで採用されているスーパータイブレークについて簡単に確認しておきます。
9ポイント制タイブレーク。
ヴァン・アレンが考案した1つ目のタイブレークは「9ポイント制タイブレーク」です。先に5ポイント先取した選手がそのゲームを獲得します。
9ポイント制タイブレークは5ポイント目の獲得時に相手に2ポイント差をつける必要がありません。タイブレークは4-4になった場合、両選手がセットポイントという状況も起こります。
現在、アメリカの大学テニスやWTT(World Team Tennis)ではこの9ポイント制タイブレークが採用されています。
12ポイント制タイブレーク。
もう1種類のタイブレークが、現在世界で広く採用されている「12ポイント制タイブレーク」です。先に7ポイント先取したほうがゲームを獲得します。
12ポイント制タイブレークは7ポイント目の獲得時に相手に2ポイント以上の差をつけていなければならないルールがあります。12ポイント制と言いながらも、2ポイント差をつけるまでタイブレークが継続するため、考案者のヴァン・アレンは9ポイント制のタイブレークを好んでいたそうです。
スーパータイブレーク(18ポイント制タイブレーク)。
ダブルスなどでセットカウント1-1のようにセットオールになった場合、ファイナルセットの変わりに実施されるのがスーパータイブレークです。
スーパータイブレークは10ポイント先取で実施されます。一般的な7P選手のタイブレークとは3Pしか違いはありませんが、ポイント数が多い分だけ、より運よりも選手の実力が反映された結果になりやすいと考えれらえています。
ヴァン・アレンの考案したタイブレークの考えた方に沿った呼び方をすると18ポイント制タイブレークと言えますが、現在のテニス界では「10ポイントタイブレーク」と呼ばれることが多いので、間違えないように気をつけてください。
現在の形式が定着したのはごく最近!
タイブレークが四大大会に導入されたのはごく最近の話です。タイブレークが四大大会で採用された時期を確認していきます。
全米OPでは1970年に初めて9ポイント制のタイブレークが導入され、1975年から現在お馴染みの12ポイント制タイブレークに移行しました。ウィンブルドンでは1971年に9ポイント制が、1979年には最終セット以外で12ポイント制のタイブレークが導入されました。
2001年に全豪OPではダブルスのファイナルセットで18ポイント制タイブレーク(スパータイブレーク)が導入され、2003年に全米OP、2007年に全仏OPでも同様のルールが採用されるようになるなど、試合時間短縮の流れが加速していきます。
伝統や格式を重んじるウィンブルドンでは最終セットでのタイブレーク導入に後ろ向きでしたが、試合の長時間化や、選手の負担軽減などから、2019年から最終セット12-12でタイブレーク実施を決定。
全豪OPでも2019年からシングルスの最終セット6-6でスーパータイブレークを採用するなど、ヴァン・アレンのタイブレーク考案から50年以上が経過し、全仏OPを除いた四大大会の最終セットでタイブレークが実施されるようになりました。
全仏OPのシングルス決勝の最終セットを除きすべての大会でタイブレークが採用されています。現代テニスの流れからも近いうちに全仏OPでも最終セットにタイブレークが導入されるのではないでしょうか。
タイブレーク導入の効果。
タイブレークが導入される以前は、ゲームカウントが6-6以降はどちらかが相手に2ゲーム差をつけるまで、お互いのサービスゲームを繰り返していくアドバンテージセットがテニスの基本でした。
アドバンテージセットの場合、どちらかの選手がサービスゲームをブレイクし、自分のサービスゲームをキープしないと試合が終わらないため、試合時間が長くなる傾向がありました。
実際にアドバンテージセットを導入していたウィンブルドンでは10時間を超えるような試合も生まれています。プロスポーツ化されたテニスにおいて、必要以上に長い試合時間はTV放映の観点からもマイナスでしかありません。
そういった観点からもタイブレークはテニスの試合時間短縮に大きく貢献しており、考案者のヴァン・アレンは1965年に国際テニスの殿堂入りを果たしています。
タイブレークはしっかり覚えておく。
テニスを始めたばかりの人にとってはタイブレークは中々馴染みもなく、実際に体験してみないとなかなか理解できません。ピンとこない方は練習で実際にタイブレークをプレイしてみるのがおすすめです。
試合に出るようになると、遅かれ早かれタイブレークに直面します。試合でタイブレークに突入し、進め方が分からずにパニックにならないためにも、事前にタイブレークについてはしっかりと覚えておきましょう。
- 投稿者プロフィール
- 阿部亮平
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