テニスというスポーツは今日では世界的に広がり、大きな人気を獲得しています。さまざまなスポーツがあるなかテニスはどのように世界中に普及していったのでしょうか。テニスの起源と世界的に普及した経緯を調べてまとめました。
テニスの起源とは?
テニスの起源は諸説あります。古代エジプトでテニスの原型となる宗教儀式的が行われいていたという説もありますが、テニスの起源としても最も有力とされているのが11世紀にフランスの修道院で手のひらを使ってボールを打ちあっていた遊び(jeu de paume)です。
最初は手でボールを打っていたものが、グローブを使うようになり、グローブがラケットになり、現在の「テニス」の形に近づいていきました。
当時のテニスはイギリスやフランスの王や貴族たちの間で人気を博し、一般人にもプレイが推奨される形でヨーロッパに広がっていきました。オックスフォード大学やケンブリッジ大学には当時使用されていたコートが今も残っているそうです。
王族や貴族を中心にヨーロッパでテニスが普及していきましたが、テニスの普及を担っていた王族たちの権力が18世紀の市民革命運動によって制限されたことでテニスを自由にプレイすることが難しくなり、テニスの拡大が一時ストップします。
当時のテニスは現在のテニスと比較するとプレイする場所やルールが微妙に異なり、「リアルテニス」と言葉を変えて紹介しているサイトもあるなど、「jeu de paume」がテニスの起源と断言するのは少し強引な印象を受けます。
現代テニスの起源
現代テニスの起源は、19世紀半ばにイギリスで弁護士と商人がラケットを使ってバスク・ぺロタというボールを使ったスペイン発祥のゲームを芝生の上で始めたことだという説もあります。
芝生の上でプレイされたこの競技を広めるために、世界初のテニスクラブが設立され、この競技は「ローンテニス」と呼ばれるようになります。1877年にはオールイングランド・ローン&クロッケークラブが初めてローンテニスのトーナメントを開催します。これが今も続くウィンブルドンの第1回大会です。
中世ヨーロッパで生まれた、「jeu de paume」と「ローンテニス」に直接的な繋がりはなく、「jeu de paume」がテニスの起源という説には疑問を感じますが「jeu de paume」で使用された用語が現在のテニス用語にも多く残っているため、どちらがテニスの起源か断言するのは難しそうです。
ローンテニスの広がり
ローンテニスの大きな普及に貢献したのがウィングフィールドです。ウィングフィールドはローンテニスのルールやコート規格を独自に考え、その普及に力を入れます。
ウィングフィールドが考案したルールは特許を取得することができませんでしたが、ウィングフィールドがローンテニスの用具一式のセット販売を始めたことで、バドミントンやクリケットに変わるアウトドアスポーツとしてイギリスでローンテニスが急速に普及していきます。
ヨーロッパからアメリカへの広がり
ヨーロッパからアメリカにテニスが広がった経緯は、バミューダ滞在時にテニスを知ったメアリーという女性がアメリカに帰国し、現地のクリケット・ベースボールクラブの敷地内にアメリカ初のテニスコートを作らせたことがきっかけと言われています。
アメリカでもテニスの大会が開かれるようになりましたが、当時は大会ごとにルールが異なりました。統一ルールを整備する目的で1881年に全米ローンテニス協会が設立され、ルールが一本化されたことでアメリカでもテニスが広く普及していきました。
日本のテニスの起源は?
日本のテニスの起源は明治時代に日本に来日した外国人たちが外国人居留地でテニスを始めたことだと考えられています。
しかしながら、当時の日本では用具の調達などが難しかったため全国的には普及しませんでした。そんな中、日本では独自にゴムボールが開発され、軟式テニスという形でテニスが普及していきました。
国際的なテニス団体の設立
テニスが世界的に広がっていく中、パリで1913年に独自にテニス協会を持つ12か国が会合を行い、ILTF(国際ローンテニス協会)の設立が決定します。各国で統一されていなかったルールも1924年に一元化され、今日の現代テニスが確立されました。
当時設立されたILTFがITF(国際テニス連盟)と名称を変え、グランドスラムと呼ばれる四大大会やデビスカップなどの国際大会の統括を行っています。
プロテニスツアーのはじまりは?
テニスが世界的に広がっていく中でプロスポーツとしてどのように世界的な人気を獲得していったのでしょうか。プロスポーツとしての起源も調べてみました。
中世ヨーロッパ時代に既にプロがいた?
世界初のプロテニスツアーは1571年にフランス国王だったシャルル9世がプロテニスの組織を整備し、3つのレベルに分かれた大会を創設したことだと言われています。
中世ヨーロッパは王族や貴族など莫大な資金力を持つ富裕層が芸術家の活動に対して資金支援をしていたような時代です。芸術家と同じようにプロ選手と呼べるような地位を得ていたテニス選手がいたであろうことが想像できます。
現在のプロテニスはどのような経緯で生まれた?
現代テニスでプロ選手が生まれたのはほんの100年程前からです。1926年にアメリカ人とフランス人が入場料を必要とするエキシビションマッチを開催したことが現在のプロテニスの起源です。
当時は現在のようなトーナメント制の大会は少なく、招待試合に出たり、巡業のような形で各地を回りエキシビションマッチを披露することでお金を稼いでいました。
プロツアーへの移行と世界的な人気獲得
プロテニスの起源がエキシビションマッチということもあり、試合を企画する興行主が大きな力を持っていました。興行主は大きな利益を上げるために、NTL(ナショナルテニスリーグ)やWCT(ワールドチャンピオンシップテニス)といった団体を設立し、プロ選手と直接契約をし、独自の大会を開催していきます。
団体と契約したプロ選手は所属団体の意向によって出場する大会を決められていたため、当初はグランドスラムに出場しないプロ選手も数多くいました。
団体の設立が現在のプロテニスツアーの起源ではありますが、団体と所属契約することで出場する大会に制約が生まれるなどのデメリットも大きかったため、この状況を改善し、選手の権利を守るために1972年にATPが組織されます。
ATPの設立に伴い、選手ファーストの考えが徐々に浸透していき、1990年にATPツアーが創設され、WCTなどの団体は解散。2000年にはほぼ現在と同じようなランキングシステムが整備され、ATP大会+四大大会というプロテニスツアーの形が完成します。
当初は複数のプロテニス団体があり、選手にとっては活動しにくい状況であったものの、数多くの試合がメディアで取り上げられたことでテニス人気は世界的に拡大していき、現在に至ります。
テニスの起源ははっきりしないがテニスは面白い!
テニスの起源は諸説あり、明確にこれだ!と断言するのは難しいようです。しかしながらローンテニスが生まれ、世界的に広がっていた事実からもテニスという競技に大きな魅力があることは間違いありません。
テニス人気を押し上げたプロツアーについてはまだまだ完璧な仕組みとは言えませんが、1人のテニスファンとしてプロテニスも含め、テニスという競技が今後ますます発展していく事を期待しています。
- 投稿者プロフィール
- 阿部亮平
最新の投稿
-
2021.8.28 テニスウェアの歴史とファッション
-
2021.8.14 グリップテープでテニスのフィーリングは大きく変わる!
-
2021.8.7 テニスの試合で使えそうなアプローチショットをいろいろとご紹介!
-
2021.7.31 テニスのリターンが苦手な人の共通点と改善方法。
コメントを投稿するにはログインしてください。