シモナ・ハレプとセレナ・ウイリアムズの過去の対戦では 、9勝1敗でセレナが勝ち越している。今シーズンの1月のオーストラリアン・オープンでも、セットカウント 6-1 4-6 6-4 でセリーナが勝っている。
この過去のデータから、誰もがセレナ・ウィリアムスの優勝を予想したことだろう。ほとんどのテニスファンがマーガレット・コートに並ぶセレナのグランドスラム優勝タイ記録を期待したことだろう。多くの人が一方的な試合はこびで芝生の上にシルバープレートを持ってほほ笑む女王セレナの姿を予想しただろう。
しかし、どの予想も全く当たらながった。なぜなら、2019年のウインブルドン選手権女子決勝はシモナ・ハレプの独壇場だったからだ。
シモナ・ハレプについて
国籍:ルーマニア
出身地:コンスタンツァ
生年月日:1991年9月27日(27歳)
身長:168cm
体重:60kg
利き手:右
バックハンド:両手打ち
全豪:準優勝(2018)
全仏:優勝(2018)
全英:優勝(2019)
全米:ベスト4(2015)
最高ランキング 1位(2017年10月9日)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
女子選手の体格
現代の 女子テニス選手TOP10の平均身長は175㎝くらいだ。彼女の身長は168㎝である。女子テニス選手の中ではかなり小柄な方である。
セレナ・ウィリアムズの身長は175㎝、体格が全然違う。パワーも全然違う。試合前に二人が並んだフォトセッションでは、体格の差からセレナが勝つに違いないと思った。多くの観客もそう思ったと思う。しかし、結果は違っていた。ハレプはとんでもない武器を持っていたのだ。
見えない翼
神はこのときハレプに見えない翼を与えていた。
セレナがパワーに任せたエース級のサーブを打ち込んでも、ハレプはラケットの面を素早く合わせ、リターンしていた。返球された球を渾身の力を込めて打つセリーナ。しかし、背中に翼が生えたハレプは、コートを所狭しと駆け巡り、とって、とって、とりまくる。持ち前の俊敏さとを驚異的なフットワークで、どんな球でも返球し続けていったのだ。 筆者には翼をつけて飛んでいるように見えた。
打っても、打っても返球される恐怖?
セレナがパワーショットを 打っても、打ってもボールは返ってくる。さらに厳しいところを狙いにいく。やがてセレナの放ったボールは、ネットにかかったり、ラインオーバーをしたりして、ポイントを失っていった。そして、なんとハレプは2ブレイクし、あっという間に第1セットを奪ってしまった。
心中穏やかでないことがベンチに座ったセリーナの表情から読み取ることができた。
第2セットは、セレナのペースかと思いきや、またもやハレプの独壇場。見えない翼で自由自在にコートを走り回る。どんなに鋭角に打ち込まれようとも、前後に揺さぶられようとも、ボールにくらいつき返球していた。ボールはセリーナのいやなところに返っていく。また、ちょっとでも甘くなれば、カウンターの餌食になった。それらのボールの質も非常に高かった。セレナが処理できないのだから誰にも無理だ。
セレナは何とかしようとネットに出てボレーで勝負しようとするが、足元に沈められるか、強烈なパッシングで抜かれるかだった。エース級のボールをことごとく返されてしまうセレナは恐怖すら感じたのではなかろうか。
小さな発電機
試合前セレナがハレプのことを 『小さな発電機』のような選手だと形容していた。まさにその通りのプレーとなった。コンパクトではあるが、高出力の発電機が轟音を轟かせながら高回転で一都市分の電力を供給しているように見えた。ハレプのプレーはそれだけ躍動感のあるものだった。
結局、2セット目もハレプの2ブレイクで6-2となり、優勝が決まった。最終的にハレプの高パフォーマンスがセレナの心をへし折ったという感じを受けた。
ウインブルドンで優勝するための要素
このことから、テニスの強さは、パワーだけではないことがわる。セレナに比べて非力なハレプが異常なまでのディフェンス力で相手の心を挫き、勝利したことからわかる。パワーだけでもだめ、テクニックだけでもだめ、メンタルだけでも、戦術だけでもだめ。様々な要素を高いレベルで維持でき、強靭なメンタルをも兼ね備える者が真のウインブルドンチャンピオンになることができるのだ。ハレプは、そのことを最後まで貫いて証明した。
感動的なスピーチ
「私がここウインブルドンの決勝戦で優勝することが、母の夢でした。その夢を叶えることができてよかったです。」と述べていた。また、コーチは大喜びし、男泣きしていた。このことから、幼少のころから多くの人の支援や愛情を一身にうけながらチーム一丸となって努力し続けた結果なのだ。
今頃、ハレプの祖国ルーマニアは大騒ぎだろう。なぜなら、ルーマニア人がウインブルドンで優勝したのは初めてのことだからだ。
ルーマニアがうらやましい。日本人なら錦織選手か大阪選手がそれに一番近いが、来年か再来年あたり是非、ウインブルドンで優勝してほしい。
最後に
さて、次は男子の決勝である。ナンバー1のジョコ・ビッチと芝生の王者フェデラーの試合である。後、5時間後に始まるが、どんなドラマが展開されるのか楽しみでしょうがない。
筆者の予想はフェデラー。錦織戦とナダル戦を見たが、調子はすごくいい。ジョコの調子は今一つのような感じがした。とにかく、予想がつかないドラマチックな展開が待っているのは間違いない。
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良い記事ですね!!
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