テニスのワールドツアーと今後の変化の可能性。

プロテニス選手は世界各地を転戦しながらトーナメントを戦います。今回はそんなワールドツアーの仕組み、どのような団体が関わっているのか、そして今後のワールドツアーの行方について記事にしました。

テニスのワールドツアーとは?

プロテニス選手は世界各地で開催されるトーナメント出場し、勝ちを積み重ねることで賞金・ランキングポイントを獲得していきます。今回はランキングポイントを獲得できる大会をワールドツアーと定義して記事を執筆していきます。

ランキングポイントを獲得できる大会

世界ランキングに入るために必要なランキングポイントを獲得できる大会は、ドロー数による大会規模や賞金額によって大きく3つのカテゴリーに分かれています

四大大会

引用:海外スポーツチケット手配より

グランドスラムと呼ばれる四大大会はプロテニス選手にとって最高峰の大会です。プロ転向した選手のほぼすべてが四大大会の本戦出場を最初の目標とします。

四大大会とは1月の全豪5月の全仏(ローランギャロス)6月の全英(ウィンブルドン)8月の全米の4大会を指します。

四大大会の本戦出場選手数は128名で、本戦出場するだけで賞金は300万円を超えシングルス優勝者は3億円近い賞金を得ることができます。予選免除で本戦に出場できるランキングの目安は100位以内です。

ツアートーナメント

プロ選手がメインで出場する大会がツアートーナメントです。大会によって獲得できる賞金やランキングポイントが異なります。大会規模が一定以上の大会をツアートーナメントと呼びます。

出場するには世界ランキングで上位に入る必要があり、出場ランキングの目安80位以内です。男子の世界ランクは1978位(2020年5月現在)まであり、80位以内が入ることがどれだけ大変かが分かります。

大会によっては集客の目玉として10位内に入るようなトップ選手には賞金とは別に出場給を払って大会に出場してもらうこともあります

下部大会

ツアートーナメントに出場できない選手が出場する大会が下部ツアー大会です。賞金や大会の予算規模はツアートーナメントに比べてかなり低く、移動や練習相手、コートの確保など選手自身で全て調整する必要があり、選手にとって非常に過酷な環境です

日本でも多くの下部大会が開催されていますが、大学が主催するような大会があることからも大会規模が小さいことが分かります。

下部大会の本戦に出場する選手のレベルはテニスの全日本選手権でBEST16の選手が1回戦突破できるかどうかというレベルです。

男女で異なるポイントの計算

テニスのワールドツアーが複雑なのは男女で試合の獲得ポイント計算が違うところです。下記に、男子と女子で大会ごとに獲得できるポイント表を載せておきました。

男子ATPツアーのポイント表
引用:Wikipediaより
女子WTAツアーのポイント表
引用:Wikipediaより

男子テニスに比べて女子テニスのほうが獲得ポイントの仕組みが細分化されており、非常に複雑になっていることが分かります。そもそも男子のポイント計算でさえ、複雑ですから、テニスファンでも男女のランキングポイントの仕組みを正確に理解している人はほぼいないはずです。

トーナメントを統括する団体

ワールドツアーの各大会を統括する団体が異なる点も、ワールドツアーの仕組みを複雑にしている要因です。

ITF(国際テニス連盟)

引用:TIFより

ITFは男女の下部大会と男女の国別対抗戦であるデビスカップ、フェドカップ、そしてオリンピックのテニス競技を統括し、主催しています。四大大会はITFの公認という形で、開催地の各国テニス連盟が主催し、開催されています。

ATP(男子プロテニス協会)

引用:TENNIS TOUR TALKより

世界各地で開催されている男子プロ選手のテニストーナメントを統括しているのがATPです。

大会はATP1000マスターズ、ATP500、ATP250と優勝者の獲得ポイントを明示する形で大きく3つのカテゴリーに分かれています。下部大会に含まれるATPチャレンジャーという大会の管轄もATPがしています。

WTA(女子テニス協会)

女子プロテニス選手のテニストーナメントを管轄しているのがWTAです。

トーナメントのカテゴリーはプレミア、インターナショナル、WTA125K大きなカテゴリーでは3つに分かれています。各カテゴリーでさらに細かくポイントによって大会が細分化されているため、ATP以上に複雑な仕組みとなっています。

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統括団体が複数ある不思議

プロテニスの世界で3つも国際的な団体がある理由は選手の権利を保護する目的があったからです。

最も歴史が古い団体はITF設立が1913年になります。その後、プロ選手の権利・利益を保護する目的1972年にATPが、女子選手の地位向上を目的WTAが1973年に設立されています。

ATPもWTAも選手の利益を守るという目的で設立されたわけですから、テニスファンからすると一つの団体に統一できる気がします。しかし、組織が大きくなり過ぎた結果、各団体がさまざまな権利や契約を保持することになり、現在のように統一が進まない状態となっています。

今後は統一の流れ?

R.フェデラーが最近、自身のTwitterでATPとWTAが組織として1つになるのを考える時期が来たのではないかとツイートしていました。ツイートがきっかけで今後は統一の動きが本格的に議論される可能性も十分考えられます。

テニスのツアーカレンダーはどうなる?

現状では各団体がさまざまなトーナメントを開催しているため、結果として選手に一番大きな負担がかかっているのが現実です。

テニスのワールドツアーは1月1週目からスタートします。トップ選手にとって最後のトーナメントとなるATPファイナルズは11月3週目に終了となり、ほぼ1年を通してシーズンが続くことになります。選手にとってオフシーズンと呼べるのはわずか1か月ほどです。

一部の選手からはシーズンが長すぎるという声も上がっています。シーズンを通して故障もなく健康体で過ごせる人の方が少ないほど過酷なのが今のツアースケジュールです。

選手が健康体であってこそテニスの試合が盛り上がるわけですから、今後ツアーカレンダーの見直しも各団体の統一と一緒に議論となる可能性があります。

今後のテニス界の動きに注目!

R.フェデラーやR.ナダル、N.ジョコビッチなどのトップ選手たちは会見で、選手目線の意見を発信することがあります。彼らの発言がきっかけになり、テニス界の変革が起こる可能性は十分にあります。

選手のプレイや試合の結果以外にもテニス界という大きな枠組みでツアーの仕組みを理解すると、新たなテニスの楽しみが見出せるはずです。