物心ついたときから決まっていたテニスのポイントの数え方ですが、よくよく考えるとおかしな数字の増え方をしていますよね。他のスポーツと比較しても、0から1づつカウントしないスポーツはテニスぐらいのものです。
なぜこのような不規則なカウントをするようになったのでしょうか?そこには様ざまな憶測と仮説がありました。
この記事では意外と知らないテニスのポイントの由来についてまとめました。
いつから正式に決まったのか?
テニスでは、4ポイント先取で1ゲーム獲得となりますが、0、1、2、3ポイントを「ラブ」、「15」、「30」、「40」と数えます。現在の点数の数え方が規則として正式に定まったのは、1877年の第1回ウィンブルドン選手権が行われるときに、実行委員会によって定められたといわれています。
しかし1877年に点数の数え方が規則として定まる前から、0は「ラブ」と呼ばれ、ポイントは15、30、40と数えられていました。なぜこのような呼び方をするようになったのでしょうか。
0はなぜ「ラブ」なのか
0が「ラブ」と呼ばれるようになった最も有力な説は、フランス語で「卵」を意味する「l’oeuf (ルフ)」から派生したものではないかというものです。
もともとテニスはフランスの王族の間で親しまれたスポーツであることがわかっています。そのテニスがイギリスに渡った際に、フランス発音の「ルフ」を「ラブ?」と聞き間違え、そのまま定着してしまったそうです。
日本にもこのような例はありますよね。例えば炭酸飲料の「ラムネ」。ラムネの語源は英語の 「Lemonade(レモネード)」の発音が、当時まだ開国前だった日本人には「ラムネ」に聞こえてしまったことから定着したといわれています。
よって英語の「LOVE」とはまったく関係がない、というのが有力です。(LoveにはNothingの意味が含まれていた、という説は英英辞典にもそのような記述はありませんし、少し強引ではないかと思われます。)
15-30-40とカウントする理由
このカウントの仕方は遥か昔から使われていたものです。1555年に出版された「球技論」という書物の中に「この奇妙な数え方は、遥か昔からのものである。」と明記されているほどです。1555年時点で遥か昔ということは、とんでもない昔から使われていた数え方であると考えられます。
そんな謎多きテニスのスコアですが、2つの説がありますので紹介します。
360度説
今のような電光板がなかった時代は、現在の点数をいかにわかりやすく表示するか、というのがもっぱらの課題でした。そこで使われたのが時計にも応用されている「1周360度」という数字でした。
フランス王朝時代のテニスも1セットあたり6ゲームで行われていました。そこで「時計のようにポイントを重ねるたびに針が進み、1周したら勝ちとすればわかりやすい」ということで時計のような得点板が考案されました。
6ゲームで1周する場合、1周は360度ですから、6ゲームのうち1ゲームは60度です。4ポイントで1ゲームとすると、1ポイントあたりの角度は15度です。この角度がそのまま現在のポイントに応用されている、という説です。
銅貨を使っていた説
14世紀頃のフランスで使われていた1ドゥニエ銅貨が4枚で60スゥという単位でした。4枚で60なので1枚あたり15、これなら目の前に硬貨がある限りすぐに得点がいくつなのか確認できます。
しかしこの説は致命的な欠点があります。それは貨幣価値です。
11世紀まではおおむね品質と価値が統一されていたドゥニエですが、その後貨幣需要の増大と各地で乱立していたドゥニエによってその価値は同じ1ドゥニエでもまちまちという状況でした。そんな状況で賭けの対象や基準として硬貨が使われるでしょうか?
1スーが12ドゥニエであったという記述からも1ドゥニエ=60スーという計算もあいません。上記の2点から硬貨を使っていた説は信憑性が低いのではないかと考えられます。
参考:Wikipedia
15-30ときて45じゃないのはなぜ?
60を4等分して得られた数字であるなら、30の次の数字は45であるはずです。なぜ45ではなく40を使っているのでしょうか。その答えは意外と単純なものでした。
なんと「45(Forty-Five)」を言うのはちょっと長いから「40(Forty)」にしようという非常にわかりやすいものでした。
伝統や歴史にとらわれず、利便性や効率性をより重視する欧米人ならではの発想には脱帽ものです。
さらには「15(Fifteen)」を「5(Five)」と言い換えているパターンもあるそうです。こちらも言いやすさを重視した結果ですので、いずれ公式になってしまう日が来るかもしれませんね。
テニスの歴史を知るとテニスがさらに面白くなる!
いかがでしたでしょうか。思わず明日にでもテニス仲間に話してみたくなるテニス雑学でした。休憩中のちょっとした小話程度にでもなれば幸いです。
テニスだけでなくスポーツの歴史を紐解くと、その時代の情勢や文化など様ざまな要因があって今の形になっていることがわかります。テニスの歴史を知ることで、テニスをもっと好きになれるきっかけになるかもしれません。
ここで紹介したものは「あくまで仮説」ですので、「実はこんなことが理由だったんじゃないか」と仮説を考えるのも面白いですね!
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