バウンド後に伸びるバックハンドスライスの打ち方と習得法

スライスの習得でテニスの幅が広がる。

テニスの試合において一定のテンポでラリーをしているとなかなか相手のミスを引き出すことが難しくなります。また、相手のストロークのスピードが速い場合は、自分の時間的な余裕をどんどん削られてしまいます。そんな時に打てると便利なショットがスライスです。

多くの一般テニスプレイヤーもスライスの便利さや重要性については理解していますが、なかなか上手く打てないという悩みをよく相談されます。そこで、今回はバウンド後に伸びるスライスの打ち方と習得法について解説していきます。

スライスの特徴

スライス回転

スライスはボールにバックスピン(逆回転)がかかっており、上手く打てるとバウンド後にボールは加速するように伸びる上に、ボールも高く弾まないという特徴があります。そのため、相手は低い打点で打たざる得ないため、強打することが難しくなります。加えて、スライスショットの打球速度はスピンに比べて遅くなるため、ラリーにおいて時間的な余裕を確保することが出来るようになります。

スライスバウンド後の軌道イメージ。

打球後にボールが浮き上がらずに真っ直ぐ糸を引いたように飛んでいくと、理想的なスライスの軌道になります。ではどうしたら理想的なスライスが打てるようにのなるのかポイントを解説していきます。

スライスの打ち方のコツ

大きく意識すべきポイントを挙げると5つあります。

グリップはコンチネンタルグリップ

グリップはサーブやスマッシュと同じコンチネンタルグリップで握るようにして下さい。包丁握りとよく呼ばれるグリップの持ち方です。

コンチネンタルグリップ。

テイクバック時のラケットセット

まず、最初に意識すべきはテイクバック時にラケットをセットする位置です。右利きなら左肩にラケットを担ぐような形で顔の横にラケットをセットします。(※写真の実演者は左利きになるのでご了承下さい)

インパクトより高い位置にラケットをセットすることで、ボールに対してラケットが上から下に入るようにインパクト出来るため、しっかりとバックスピンがかかるようになります。

スライステイクバック。

インパクト時のラケット面

一般の愛好者でどうしてもスライスが浮いてしまい、バウンド後も失速したようになってしまうという原因がインパクト時の面の向きになります。インパクト時の面が上向きになっていると自然とボールが浮いてしまいます。しっかりとバウンド後に伸びるスライスを打つためには、インパクト時に面の向きは地面とラケットフェイスが垂直になるように意識し、面はしっかりと相手コートに真っ直ぐ向くようにしてください。

スライスのインパクト。

これを上手く実践できるようになると、スライスの軌道が直線的に変わっていきます。インパクト時の面の角度を微調整することでスライスの軌道やボールスピードを自由に変えることが出来るようになるため、練習をしていく中でスライスのインパクト面の感覚を掴むことが、スライスを習得するためには最も重要なポイントとなります。

インパクト面に注意。

フォロースルー

フォロースルーも伸びるスライスを打つためには重要なポイントです。スライス回転をかける意識が強すぎると、インパクト後のフォロースルーを前に押さずに、下にボールを切るようにして終わらせてしまい、全然ボールが飛ばないという人がたまにいます。ボールの深さとバウンド後の伸びを出すためには、インパクト後はインパクト面を維持して真っ直ぐと前に押し出すくらいの意識で大丈夫です。

スライスのフォロースルー。

肩を支点にして手首の角度を固定して腕を前に押すと自然と最後はラケット面が上を向く形になりますが、意識としては少しでも長く真っ直ぐ前にボールを押す意識を持つことでスライスの伸びが出るようになります。

手首の角度

テイクバックからインパクト、そしてフォロースルーまで手首の角度は一定に保つように意識してください。手首の角度が変わるとインパクトが安定せず、安定したスライスが打てなくなります。

スライスを打つ際の注意点①

※ワンランク上のスライスを打つために!

4つのポイント以外にも、更にスライスの質を挙げたい人はステップと体重移動を意識するとより質の高いスライスが打てるようになります。

体重を乗せて伸びるスライスを打つ。

クロスオーバーステップで前に移動しながら体重移動の力を加えながらスライスを打つことで、よりバウンドの伸びと打球スピードを上げることが可能になります。技術的には止まって打つよりも難しくなるので、まずはその場で打てるようになってからトライしてみることをお勧めします。

スライスの習得方法

スライスを習得しようとして、いきなりベースラインから挑戦する人がいますが、段階的にステップを踏むことでより効率的にスライスの感覚を身に着けることが出来ます。

スライスはボレーの延長と意識!

スライスとボレーは非常に似たショットになります。ボレーもスライス同様にラケットを高くセットして、ボールに対して上からラケットを入れるようにインパクトします。その際にスライスとの違いは何かというと、準備の段階でラケットを顔よりも後ろに引くかどうかです。

スライスとボレーのラケットセットの違い。

上の写真のように、ラケットをセットする位置が変わるだけです。スライスの場合はボレーに比べてボールをより深く打つ必要があるため、ラケットをしっかりと引いてインパクトまでにスイングスピードを加速させる必要があります。逆にボレーの際にスライスのようにラケットを後ろに引きすぎる人はボレーのバックアウトや、振り遅れによって打点が後ろになりミスをする傾向があります。

ショートラリーでインパクトとボールを飛ばす感覚を覚える。

スライスとボレーの違いを意識しながらショートラリーで、スライスを打っていきます。最初は遠くに飛ばす必要がないので、テイクバックを少しコンパクトにして、フォロースルーも大きく取らないように意識しながら、インパクト面に集中してください。

ラケットのテイクバックでボールの飛びを調整。
フォロースルーで深さを調整。

インパクトがしっかりしてくるとボールの軌道が真っ直ぐになっていきます。慣れてきたら徐々にテイクバックとフォロースルーを大きく取るように意識しながら、ラリーのポジションを下げていってください。最終的にはベースラインでしっかりとしたスライスが打てるようになるはずです。

他にもスイングスピードが速ければボールは深くなり、遅ければ浅くなるので、その点も余裕が出てきたら意識してみて下さい。

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スライスの使い方(応用編)

ある程度スライスが打てるようになった人に向けて、実際にどういった状況でスライスが使えるのか、少しご説明させて頂きます。

高い打点の処理でスライスを使う。

相手が高く弾むボールを使ってきた際に、バックハンドだと高い打点の処理が難しいとよくレッスンをしていて相談されることがあります。そんなときにスライスを使うと高い打点の返球が楽になります。

①高くラケットをセット。
②、③のようにインパクト後は前に押し出すようにしっかりとフォロースルー

ラケットをあらかじめ、高くセットするだけでスライスを打てるので、ボールのバウンドに合わせて上からラケットを合わせてあげれば簡単にスライスで返球することが出来ます。今まで高い打点のボールの処理で悩んでいた方はぜひ試してみてください。

スライスでラリーのテンポを変える。

テニスにおいて難しい技術というのは、相手のボールの回転を変えるコースを変えるスピードを変えるという3つがあります。

理想を言えば、相手の緩いクロスに打たれたスピンのボールを、速いフラットでストレートに流すことが出来れば最高です。しかしながら現実問題としては難しいので、スライスでまずは回転やスピードを変えて返球することで相手に一定のテンポでラリーをさせないように意識してみてください。自然と相手のミスが増えるようになるはずです。

例えていうなら、マラソンでペースを頻繁に上げ下げしていたら、なかなか良いタイムが出ないのと理屈は一緒です。試合でなかなか勝てないという人はかなり応用的な技術になりますが、こちらもトライしてみてください。

まとめ

いかがだったでしょうか。スライスはポイントを意識して練習すれば必ず習得できるショットです。そしてスライスを覚えると、ゲームにおけるテニスの戦術の幅が格段に上がります。まだ上手くスライスが打てないという方はぜひ今回の記事で取り上げたポイントを意識して練習してみてください。