テニスをある程度継続して楽しんでいる方であれば一度は聞いたことがあるであろうワードに「プロネーション」というものがあります。
正直、何となくで理解していたり、そもそも何かよく分かっていない人がほとんどだと思います。
今回はその「プロネーション」がどんなもので、テニスのショットにどのような効果をもたらすのかについてまとめてみました。
プロネーションとは?
ネットで調べても、ランニングの動きとか、トレーニングの種目とかなんだかよく分からない結果が検索ではヒットします。これでは全然意味が理解できないので英語のPronationの日本語訳を調べると「回内」というキーワードが出てきます。
テニスで一般的に使われるプロネーションという言葉はこの「回内」を指していると理解して頂ければ大丈夫です。
回内(=プロネーション)とは?
日本語の通り内側に回す動作を意味します。言葉にしても意味が分からないと思いますが、写真を使ってご説明いたします。
腕を下した状態から、肩を支点にして真っ直ぐ腕を前方に上げると掌は身体の内側を向いているはずです。これをニュートラルな状態とします。
その状態から掌を地面(下)に向けるように動かすのが「回内」になります。下記の写真でいうと一番左の状態です。
ちなみに掌を空(上)に向ける動作は「回内」の反対の動きで「回外」と呼びます。上記の写真の一番右の状態です。ちなみに回外は英語でSpinationと言います。
プロネーションはテニスのどんな動作で使うのか?
プロネーション(回内)がどんな動作かは理解できたと思います。ちなみに、野球などでボールを投げる際には腕を自然と内側に捻るプロネーション動作が発生しています。
では実際にテニスのショットでどのようにプロネーションが働いているのかについてここから説明していきます。
サービスの威力を増すプロネーション。
テニスのショットで最もプロネーションが意識されやすいのがサービスです。インパクトの瞬間にプロネーションが起こることによって、ボールを強くインパクトすることが可能になり、サービスの球威、速度がアップします。
サービスを打つ際の握りはコンチネンタルグリップで、掌とインパクト面の向きはほぼ一致しますから、トロフィーポーズから一旦ヘッドダウンしたラケットがフレームからボールに向かい、インパクトの瞬間にプロネーションによって面がボールの方に向くという感じです。
サービスのプロネーション動作を覚える練習としては身体の前にバウンドさせたボールを真下に強く叩くという方法があります。
上記の写真①のようにラケットはコンチネンタルグリップで持ち、身体の前にボールをバウンドさせます。写真②のようにラケットを上に真っ直ぐ持ち上げます。写真③でラケットを振り下ろしてインパクトする際に、プロネーションを使って面がインパクト時に真下を向くように意識してください。
上手くプロネーションの力を利用してインパクトが出来ると、たいして力を入れずに脱力してもボールをしっかり叩くことができ、高くボールを弾ませることが出きます。
ボールを地面に強く叩きつけることが出来れば、サービスも同じような感覚でプロネーションを使って頭の上でインパクトするだけになります。
上級者はストロークでも自然とプロネーションを使っている!
サービス以外にも上級者はストロークで回内を自然と利用して強いボールを打っています。ではストロークの際にどのように回内が使われているか説明していきます。
まず、ボールを打つ打点を作るとインパクト面は相手コートの方向に向いているはずです。インパクト面の向きを維持したまま、自動車のワイパーのようにラケットヘッドの先端で半円を描くように動かしてみて下さい。
上の写真のようにボールのインパクトから①→②→③のようにラケットの先端で半円を描くようなイメージでスイングをするように意識する!
この動きをする際にラケットを持つ腕を身体の内側に捻るような感覚があるはずです。これがプロネーション動作になります。
ストロークのインパクト時にこのプロネーションを上手く使うことによって、ボールに対して強烈なトップスピンをかけることが可能になります。
プロ選手がストロークを打つ際のインパクト後の面の向きを確認すると、プロネーションによってインパクト面の向きがキープされた状態でスイングがされていることが分かるはずです。
意図的にプロネーションを使うと怪我をする?
ここまででプロネーションの動きと実際のショットでどのようにプロネーションが使われているかは分かったと思います。
ただ、一つ気をつけて欲しいのが、ラリーなどの練習ではプロネーションを強く意識したスイングは極力避けるということです。
あくまでもプロネーション動作は自然な身体の動きの中で起こるものなので、過度に意識してプロネーション動作を行おうとすると変な力が腕に加わり、テニス肘などの怪我の原因につながる可能性が高くなります。
プロネーションを理解したうえで、身体に馴染ませていく!
今までプロネーションを使えていなかった人が無理に意識してプロネーションをしようとするとどこかに歪が生じます。まずは素振り、手出しでのボール打ちなど、腕への負担が少ない練習で徐々に意識せずともプロネーションを使えるように、動きを身体にインプットさせていってください。
新しい動きを覚えるには長い時間や練習が必要になるかもしれませんが、プロネーション動作を上手く使えるようになると必ずボールの質が変わってくるはずです。
今回の記事を通して、TennisNaviの会員の方々の技術向上の一助になれたら幸いです。
- 投稿者プロフィール
- 阿部亮平
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