テニスの試合はいかに相手に準備する時間を与えないかが重要になります。相手の時間を奪う効果的なショットがライジングショットです。今回はライジングショットの特徴と使い方について解説していきます。
ライジングショットとは
ライジングショットはボールがバウンド後の頂点に達する前に打つショットのことです。普通のショットに比べて高い技術が必要になりますが、習得するとテニスの戦術の幅が大きく広がります。
メリット
ライジングショットのメリットは相手の時間を奪い、相手の力を利用してボールが打てるところです。
ライジングショットは早いタイミングでボールを返球することになるので、相手がコートカバーに走る時間や、打つ準備をする時間を奪うことができます。さらに、ライジングショットはカウンターのように相手のボールの勢いを利用することができるので、非力な人でも速いボールが打てるようになります。
テニスで相手にミスをさせる最も効果的な方法は相手を前後左右に動かし、余裕をもって打たせないようにすることです。ライジングショットをマスターすると、相手の力を利用して、効率的に相手を動かすことができるので、体格的なハンディがある人には必須の技術です。
デメリット
ライジングショットのデメリットは自分が打つまでの準備時間が短くなるところです。ライジングは早いタイミングでボールを捉える必要があるので、素早いフットワークとボールの回転やコースを正確に予測する力が求められます。
準備が遅れた状態でライジングショットを打つと、ボールに対して自分の体重をぶつけることができず、力のない返球となり、相手にとってのチャンスボールになってしまいます。
使い方
ライジングショットは相手のタイミングをずらすために使うのが効果的です。ライジングが得意だからといってライジングショットばかり打っているとテンポ・タイミングに相手も慣れてしまうので、効果は半減してしまいます。
相手のボールが浅くなったときに相手の時間を奪いにいくために使ったり、ベースライン後方で同じテンポのラリーが続いたときにライジングショットで返球したりして、相手のタイミングをずらしてミスを誘うような使い方がおすすめです。
ライジングの使い方の良し悪しは、自分がライジングを打たざるを得ない状況で打っているのか、それとも自分の意思でライジングショットを打っているのかで判断できます。
ライジングを打つ際の注意点
ライジングショットを打つ際に気をつけるべき技術的なポイントをいくつかお伝えします。
体重移動と膝の使い方
ライジングショットはごまかしができないショットです。少しでも打点がずれたり、準備が間に合わないと相手へのチャンスボールになってしまいます。ミスを避けるために、打つ際に前足に体重を乗せて打つことを意識してください。
ライジングショットと一言で言っても、ボールの跳ね際とバウンド後頂点に達する直前では打点の高さが全く変わります。跳ね際のボールをライジングショットで打つのであれば、膝を曲げて腰を落として打つ必要があります。ボールに合わせて膝の曲げを調整することを意識するとライジングの精度が上がります。
テイクバックとフォロースルー
ライジングショットはテイクバックとフォロースルーでボールの飛びを調整する必要があります。
ライジングは早いタイミングでボールを打つ必要があるので、振り遅れを防ぐためにコンパクトなテイクバックを意識してください。また、相手の力を利用して打つショットなので、大きなフォロースルーを取ってしまうとバックアウトの可能性が上がります。
しっかりとテイクバックとフォロースルーを取った方が強いボールが打てるので、問題なく打てるのであれば構いません。しかし、ライジングに慣れるまでやレベルの高い相手と対戦するときはテイクバックとフォロースルーを意識するとミスが減ります。
ラケット面の作り方
ライジングは普通のストロークに比べてラケット面を気持ちかぶせるように面を作ることを意識してください。
ライジングショットで普通のストロークのように面を作って打つと、ボールが上に上がってしまい、バックアウトが増えてしまいます。自分でラケット面の角度を調整しながらライジングショットのときの適切なラケット面の作り方を身体でつかんでください。
ライジングの得意な選手
ライジングショットは日本人のように体格的なハンディを持つ選手にとっては世界で戦うために欠かせないショットです。ライジングショットを得意とする選手を何人か紹介します。紹介する選手の映像を観ることで、ライジングショットの良いイメージを掴む役に立ちます。
伊達公子
テニスファンの間でライジングショットと言えばまず名前が挙がるのが伊達公子です。ライジングショットを武器にシングルスの世界ランクは自己最高4位。全仏OP、ウィンブルドンではSFに進出するなど日本テニス界のレジェンドです。
練習映像を確認すると、ベースラインから下がらずに、いとも簡単にライジングショットを使いこなしていることが分かります。コンパクトなテイクバックに注目です。
錦織圭
展開の早いテニスを得意とする錦織圭もライジングショットが非常に上手い選手です。練習映像ですが、ポジションを変えることなく、コンパクトなテイクバックからライジングで上手く打点を合わせています。
その他の選手
ライジングショットを上手く使う選手には小柄な選手やサーブ&ボレーを多用する選手が多いです。
小柄な選手で言えば、D.シュワルツマンや西岡良仁、D.ゴフィン。サーブ&ボレーヤーならF.ロペスやD.ブラウンの試合映像や練習映像を視聴するのもおすすめです。
ライジングショットの習得法
ライジングショットを習得したくても、どのような練習をすると良いのかがわからない方も多いと思います。いくつか練習法をご紹介します。
ハーフボレー
ライジングショットで一番大事なのはボールを打つタイミングを掴むことです。ボールの跳ね際を打つハーフボレーを練習することでライジングショットのタイミングを身体に覚え込ませることできます。
ハーフボレーは壁打ちを利用すれば一人で練習できるので、ボールの跳ね際を捉えるタイミングと、コンパクトなテイクバックを覚えることができます。
ショートラリー
ハーフボレーでボールを打つタイミングを覚えたら、次はショートラリーでフォロースルーを少し加えるような形でスイングしながらライジングを打つ感覚をつかんでいきます。
あくまでもショートラリーですからテイクバックとフォロースルーはコンパクトにすることを意識してください。サービスラインの位置から下がらないように意識して、ライジングで打つボール、打たないボールの判断ができるようになるまでショートラリーで繰り返し練習をしてください。
球出し・ベースライン
ショートラリーでライジングショットが打てるようなれば、あとは徐々に距離を伸ばしていくだけです。いきなりラリーで実施するのが難しければ球出しで構いません。ライジングショットでフォロースルーを取り、ボールを遠くに飛ばせるようになればOKです。
ライジングショットを使いこなせれば上級者の仲間入り!?
ライジングショットは草トーでもオープンレベルの試合になると必須の技術です。ライジングショットは意識して練習しないとなかなか身につかない技術ですが、一度覚えてしまえば非常に使い勝手のいいショットです。
上級者は無意識に使うようなショットでもあるので、ライジングショットを習得したら上級者の仲間入りといえるかもしれません。今回の記事を参考にしてぜひみなさんもライジングショットを身につけてください。
- 投稿者プロフィール
- 阿部亮平
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