テニスでシングルスが主流となる理由とプレイするメリット。

出典:ATPより

日本ではシングルスに比べてダブルスをプレイする人が多く、一般の愛好家がテニスをするときはダブルスになる場合がほとんどです。原因はいろいろ考えられますが、今回は一般のテニス愛好家に向けてシングルスの醍醐味を伝えるための記事を書きました。

テニスは圧倒的にシングルスが人気。

世界的に見ると、テニス=シングルスという考えが一般的です。ATP・WTAを含めたプロテニスの試合中継は大半がシングルスで、コートの割り振りでもダブルスの試合がメインコートで実施されることが少ないことからも、シングルスの人気が圧倒的に高いことが分かります。

シングルスとダブルスの賞金格差。

2019年ダブルス世界1位ペアのR.ファラとJ.カバル
引用:ATPより

シングルスとダブルスでは賞金額にも大きな差があります。

2020年の全豪OPにおけるシングルスとダブルスの賞金額を比較していきます。各競技の優勝賞金はシングルス410万豪ドルダブルス76万豪ドル、混合ダブルス19万豪ドルと、圧倒的にシングルスの賞金額が高くなっています。

2019年の獲得賞金をシングルスとダブルスのトップ選手で比較してみました。2019年のシングルス1位だったR.ナダルの獲得賞金額は$12,859,587。一方、ダブルス世界1位だったJ.カバルとR.ファラの獲得賞金は$1,390,030と日本円にして10億円以上の開きがあります。

ちなみに、賞金額だけで考えると、ダブルスの世界1位はシングルスの世界30位前後の選手と同程度となります。

プロテニス選手の得る賞金は企業が払うスポンサー料や、TV放映権料、観客の支払う入場料が原資になるため、TV放映の中心となるシングルスの方が高い賞金を稼げる仕組みとなっています。

プロテニス選手も生活が懸かっていますから、賞金額が高く、注目度も高いシングルスで結果を残すことを目指します。結果としてシングルスの選手層はどんどん厚くなり、高いレベルの試合が増加し、シングルスとダブルスの格差が広がっていきます。

シングルスとダブルスの選手はどっちが強い?

賞金面では圧倒的にシングルス専門の選手の方が稼げますが、テニスの実力としてはシングルスとダブルスの選手はどちらが強いのでしょうか

プロテニス選手であれば、シングルスとダブルスの両方でランキング入りしていた経験がある選手がほとんどです。そこで、ダブルスランキングの上位選手のシングルスにおけるキャリアハイランキングを調べ、シングルスプレイヤーとダブルスプレイヤーの比較をしていきます。

ダブルス上位ランカーのシングルスランキングは?

ダブルス
ランキング
名前年齢シングルス
ランキング
シングルス
キャリアハイ
1位COLRobert Farah33なし163位
(2011年)
2位COLJuan Sebastian Cabal34なし184位
(2011年)
3位ARGHoracio Zeballos35なし39位
(2013年)
4位FRANicolas Mahut38232位37位
(2014年)
5位CROMate Pavic27なし295位
(2013年)
6位BRABruno Soares38なし221位
(2004年)
7位GBRJoe Salisbury28なし559位
(2015年)
8位ESPMarcel Granollers34なし19位
(2012年)
ダブルス上位8選手のシングルスランキング。

まず2020.10.19時点におけるATPダブルスランキングの上位8人のシングルスランキングを調べてみたました。現在もシングルスのランキングを保持している選手はN.マウしかおらず、そのシングルスランキングも232位と決して高くありませんでした。

ダブルスの上位選手はダブルス専業が基本となることが分かります。ちなみに8選手のシングルスにおけるキャリアハイランキングを調べると、二桁ランクが3名、100位台が2名、200位台が2名、300位以上が1名と総じてシングルスのランキングは高くないことが分かりました。

シングルスからダブルスへ移行?

J.シャルディ(左)は2020年にダブルスのCHランクを更新するなどダブルスへ移行中?
引用:ATPより

上位8選手のキャリアハイ(CH)シングルスランキングを調べて、興味深かったのはシングルスのCHを記録したのが2010年代前半に集中していることでした。その理由を少し考えてみます。

ダブルスの上位選手の平均年齢は33.3歳で、シングルスの上位8選手の平均年齢28歳と比較しても5歳以上も高いことが分かりました。つまり、ダブルスで上位ランクの選手は年齢を重ねてからダブルスに移行、もしくは若くしてシングルスに見切りをつけ、ダブルスに専念するのどちかであると考えられます。

シングルスに比べるとダブルスはコートカバーも少なく、技術で勝負できる要素が大きいため、フィジカルが衰えたベテランでも活躍できるという理由もあるかもしれません。

ダブルスからシングルスへ移行する例も。

J.ストルフはダブルスからシングルスに軸足を移した珍しいタイプ。
引用:ATPより

絶対数は少ないものの、ダブルスでの活躍を足掛かりにシングルスランキングを浮上させる選手もいます。現在のATPツアーではフランスのP.エルベールやドイツのJ.ストルフが該当します。

エルベールはダブルスで2016年にCHの2位を記録し、シングルスでは2019年にCHの36位を記録しています。ストルフはダブルスで2018年にCH18位、シングルスは2020年の29位が最高と、ダブルスでATPツアーに定着してからシングルスでランキングを上昇させています。

ダブルスとは言え、ツアーに定着すればシングルスの下部ツアーよりは賞金が稼げるようになります。ダブルスでツアー本戦に出場しながら、シングルスではツアー予選にチャレンジして、腕を磨くという戦略はシングルスのランキングを上げるには効率的な方法なのかもしれません。

ダブルスランキングを分析するとシングルスの優位性が分かる。

シングルスの方がランキングを上げるのは難しい。
引用:ATPより

ダブルスのランキング表を見ただけでは分かりませんでしたが、個々の選手のシングルスランキングを調べていくと、やはりシングルスでランキングを上昇させることの方が難しく、純粋な実力で言えばシングルスプレイヤーの方が強いと言えそうです。

一般のテニスプレイヤーがシングルスをするメリットは?

プロテニスの世界ではシングルス優位なことが分かりましたが、一般のテニスプレイヤーがシングルスをやるメリットは何なのか。ここから説明していきます。

フットワークの向上。

シングルスをプレイすることでフットワークは確実に向上します

ダブルスとは違い、シングルスの場合はコート全てを自分でカバーしなくてはなりません。オープンコートに打たれたボールに追いつくために走る機会も増えますから、自然とフットワークは向上していきます。

シングルスを普段からプレイしているとプレイ中に足を動かすことが癖になります。ダブルスは1人当たりのコートカバーが少ないので、シングルスに慣れると、ダブルスでは時間的にも精神的にも余裕をもってプレイできるようになります。

総合的な上達につながる。

シングルスは自分の弱点が明確になるため、上達の指針となります

ダブルスであれば、上手い人とペアを組んでしまえば、自分はほとんどボールに触らずとも勝ててしまうこと場合があります。しかし、シングルスでは全てのボールを自分で処理しないといけなので、苦手なショットも打たざるを得ません。

試合では相手の弱点や苦手なショットを狙うのが定石です。そのためシングルスをすると、自然と自分の弱点や課題が明確になります。試合で得た反省を練習に活かすことができれば、テニスはどんどん上達していきます。

ダブルスよりも気軽にプレイできる。

シングルスは試合にも気軽に出れる。

ダブルスをプレイするには自分以外に3人のプレイヤーが必要ですが、シングルスであれば相手を1人見つけるだけで簡単にプレイすることが可能です。気軽にテニスを楽しめるのもシングルスの魅力でしょう。

草トーなどの試合に出るときも、自分のスケジュールだけ調整すればいいので、その気になれば簡単に試合にも出場できます。

大きな達成感を得られる!

シングルスの試合で勝利すると大きな達成感が得られます

シングルスは1対1の勝負ですから、自分と相手の実力以外に勝敗に影響を与えるものはありません。結果に対して言い訳の余地がありませんからプレッシャーも大きくなります。しかし、試合に勝利した時の達成感はダブルスの比ではありません。

事実、ダブルスに比べて運動量が増えるシングルスを敬遠していた人でも、一度その魅力にハマると、シングルスの試合にしか出ないようになることも少なくありません。

シングルスをしよう!

テニス観戦はシングルスという人も多いかもしれませんが、実際に自分でシングルスをプレイする人は少ないかもしれません。

しかしシングルスをプレイすることでダブルスにも良い影響が出ます。また、自分がシングルスをプレイすることで、プロの選手の凄さを再認識することにもつながり、よりテニス観戦を楽しむこともできるようになります。

シングルスの試合にいきなり出る必要はありませんが。まずは練習で1度シングルスをプレイしてみていはいかがでしょうか。