先月、米国のフロリダで開催されたATP250のDelray Beachに日本人では西岡良仁と内山靖崇の二人が本戦に出場し、西岡良仁選手は決勝まで進出しましたが、そんな大会で私は 「Brandon Nakashima」 という一人の選手が気になりました。
QFで西岡選手と対戦していましたが、Nakashima選手の大会前ランキング(295位)から考えると、西岡選手のストレート勝ちだろうなと予想していたら、3-6.7-6.6-4の大接戦。
一体どんな選手なんだろうかと気になったのいろいろ調べてみたことをまとめてみました。
Brandon Nakashimaとは?
名前から察するに日本人とのハーフのようですが、国籍はアメリカ。ATP公式サイトにNakashima選手の写真やプロフィール情報を確認すると、父親が日本人とありました。好きな食べ物がお寿司らしく、日本にルーツがあることを感じさせてくれます。
2001年生まれで2020年3月現在18歳。右利きでバックハンドは両手打ち、185㎝77㎏と体格にはかなり恵まれています。テニスは3歳の頃に祖父と始めたのがきっかけらしいです。
2019年にバージニア大学の選手としてプレイし、ACCのFreshman of the Yearを受賞して2020年からプロ転向したようです。大学での実績しかATPサイトには記載がありませんでしたが、ITFの戦績も別で調べてみました。
プロ転向前の戦績。
ITFのJrランキングの最高位は3位。四大大会のJr部門だと2019年の全米JrでSFまで進出するなど、トップジュニアだったようです。おそらく日本国籍であれば日本では期待のJrとして一部のテニスファンの間で認知されていたでしょうが、やはり日本人のハーフとは言え、アメリカ国籍だと日本では全然取り上げられないのだなと知りました。
ちなみに2018年はITFの2,5万ドルで優勝1回。全米OPやインディアンウェルズのATPマスターズの予選にも挑戦するなど、プロ転向前に既に一般レベルでの試合経験も積んでいました。
2019年は大学の試合と並行する形でATPチャレンジャーにも参戦し、SF1回、QF1回と着実にステップアップをし、おそらく本人の中では満を持しての2020年プロ転向といった感じなのでしょう。
プロ転向後。
2020年からプロ転向すると初めてのATPツアー本戦だったDelray BeachでQF進出。チャレンジャー大会では既に16強が2回、ITF2.5万ドルで優勝1回と大きな結果を出し始めています。
加えて記事の執筆時点で開催中のチャレンジャー大会ではSFまで進出するなど正に勢いに乗っていることが分かります。結果も勿論ですが、Nakashima選手敗れた選手の名前を確認するとその凄さがよく分かります。
プロ転向1年目から有名ブランドのFILAとの契約が発表されることからも期待されている選手だということが分かります。
Nakashima選手が勝利した相手。
対戦時に100位内のランキングでNakashima選手が勝利した相手を見ていくと、 Cameron Norrie(60位)、 Jiri Vesely(74位)、Yuichi Sugita(81位)、 Salvatore Caruso(100位)、4人もの名前が挙がります。更に特筆すべきは今年に入ってからの短期間で立て続けにこの4人から勝利を挙げている点です。
ちなみにフルセットまでの接戦に持ち込んだ相手まで範囲を広げると、 Frances Tiafoe(74位)、 Yoshihito Nishioka(63位)の2人、更に過去にTOP100以内を経験した選手を挙げると Bernard Tomic (過去最高17位)、Ryan Harrison (過去最高40位)の2人とATPツアーをよく見ているファンなら間違いなく知っているような面々が並びます。
現在、ATPランキング100以内に入るような選手は、調子次第でトップ選手から勝ち星を挙げるだけの実力を備えています。そういったレベルの選手たちから短期間に続けて勝てるのは間違いなくNakashima選手に実力があるからです。
Next Gen ATP Finals出場の可能性も。
今シーズンはまだ2か月ほど経過したに過ぎませんが、Nakashima選手は獲得ポイントが84ポイントと、今後の結果次第ではひょっとしたら若手版のATPファイナルズに当たる、Next Gen ATP Finalsに出場する可能性もあるかもしれません。
ちなみに昨年のNext Gen ATP Finalsの出場者で獲得ポイントが最少だった選手下記の表で10位のAlejandro Davidovich Fokinaで627ポイントでした。現在のポイント獲得ペースから考えるとNakashima選手にも十分出場のチャンスはありそうです。
プロ転向1年目でもし出場できたとすれば大きな成功と言えるのではないでしょうか。そして、本当にこれが実現したとしたらNakashima選手が今後ATPツアーで上位に食い込んでいく可能性も高くなります。
ATPツアーは若手選手にも注目!
錦織圭がATPツアーで初優勝してからグランドスラムでシードが付く32位まではあっという間にランキングを上昇させていった印象があります。最近ではA.ズべレフ、S.チチパス、D.シャポバロフなどツアーを盛り上げる若手選手は一気にランキング上昇させていく傾向があります。
Nakashima選手は国籍こそアメリカですが、日本人のハーフということもあり、他国の選手よりも活躍をなんだか嬉しく感じてしまうので、ぜひ今シーズン活躍してランキングを急上昇させて欲しいです。
Nakashima選手に限らず、いろいろな若手選手に注目するとよりATPツアーを楽しめるはずです。皆さんもぜひ気になる若手選手を探してみてはいかがでしょうか。
- 投稿者プロフィール
- 阿部亮平
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