東京オリンピック2020・テニスに出場するには?出場条件と注目選手の動向

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ついに開催まで1年を切った東京オリンピック2020。日本での開催が決定されたときはまだまだ先の話だなと思っていたのに、時の流れは年々速くなっているなと痛感します。

この記事をご覧になっている皆様が注目する競技はやはりテニスでしょうか。

すでにチケットの抽選販売は終了していますが、当選された方はいらっしゃいますでしょうか。有力選手が多い日本にとって、テニスはとても人気の競技なのでチケット当選の倍率も140倍だったのではないかという予想もあります。

この記事では出場する選手に着目し、東京オリンピック出場条件と注目選手、特に「大阪なおみ」にフォーカスしてご紹介します。

東京オリンピック・テニス出場条件と資格

東京オリンピック・テニスに出場するためには以下の出場条件を満たす必要があります。

  1. 1カ国あたりの出場人数制限
  2. デビスカップ・フェドカップでの出場条件
  3. 2020年6月8日時点での世界ランキング
  4. 開催国枠などの特別枠

これらの出場条件を満たした上で、世界ランキング上位選手から出場資格が与えられていきます。

また出場人数にもしっかり規定があり、以下のように設定されています。

  • 男女シングルス64名
  • 男女ダブルス32組
  • 混合ダブルス16組

強い国の選手が偏らないように

グランドスラムのように世界ランキングに沿って出場選手を決めてしまうと、テニス先進国から多くの選手が、後進国からはほとんど選手が輩出されないということになりかねません。

これはオリンピックの精神に反しますので、1カ国あたりの出場できる選手数には制限があります。その人数は以下のとおりとなっています。

  • 男女シングルスは1カ国当たり男女それぞれ4名まで
  • 男女ダブルスは1カ国当たり男女それぞれ2組まで
  • 混合ダブルスは1カ国当たり2組まで

シングルスのトータル出場者数が64人であることを考慮すると、4人というのはかなり多いのでは?と感じます。しかしこの数をあまりに減らしてしまうと実力の幅が開きすぎてしまう可能性もあります。

デビスカップ・フェドカップに出場しないといけない?

オリンピックに出場するにはデビスカップ、フェドカップにリオオリンピック後の2016年~2020年の4年間で3回以上の出場が必要となります。また通算出場回数が20回以上で3回から2回へと条件が下げられます。

この出場条件は以下のDAという出場資格に密接に関係しています。

世界ランク上位選手にはDA資格がもらえる

世界ランク上位の選手にはDA(Direct Acceptances)という資格が与えられます。つまり1カ国あたりの出場人数制限などその他の出場資格を満たせば、オリンピックに出場できるというものです。

またDAを利用するためにはデビスカップ・フェドカップでの出場条件を満たす必要があります。

DAの規定人数は以下のようになっています。

  • 男女シングルスはそれぞれ56名
  • 男女ダブルスはそれぞれ31組
  • 混合ダブルスはそれぞれ15組

ダブルスはランキングがトップ10位内であれば出場資格を優先的に得られます。それ以外はペアのランキング合計が高い順に出場資格を得られます。

混合ダブルスはシングルスかダブルスで会場出場資格を得ている選手の中で大会会場入りにいる選手の中からエントリー制となっています。

オリンピック史上初!大陸ごとの代表選出

東京オリンピック2020・テニスでは史上初の大陸ごとの代表選手選出がシングルス限定で行われます。出場枠は以下のとおりです。

  • アジア:男女それぞれ1名
  • 北・南アメリカ:男女それぞれ2名
  • アフリカ:男女それぞれ1名
  • ヨーロッパ地域ランキングから1名
  • オセアニア地域ランキングから1名

ヨーロッパ・オセアニアに関してはまだ代表として選出されていない選手の中でもっともランキングが高い選手が選ばれます。

文句なしの実績を持っている選手が選ばれる

オリンピック金メダリスト、グランドスラム制覇者かつ世界ランキング300位の中の選手から1名が特別枠として招待されます。

例えばテニス界の大スター:R・フェデラーはTwitterで「オリンピックに出るためにデビスカップへの出場はしない」と明言しています。しかしオリンピック開催側としてはフェデラーが出場しないということは避けたいはずです。

そこでこの特別枠がフェデラーに適用されるのではないか、という予想がファンの間でささやかれています。

ぜひとも東京に来て、日本のテニス界にとって未来ある若い人たちの前でプレーをして欲しいものですね。

現時点で出場が期待される日本人選手

では実際に現時点で出場条件を満たし、代表として活躍が期待される選手を見てみましょう。

日本代表候補は誰になるのか:男子

錦織圭

現在世界ランク7位、怪我などの不測の事態がなければ代表入りはまず間違いない選手です。本人も日本でのオリンピック出場に前向きな姿勢を見せており、前回のリオオリンピック銅メダルの悔しさをばねに決勝の舞台で優勝するところを見せて欲しいですね。

西岡良仁

つい先日、ウェスト・アンド・サザン・オープンにて錦織を破り、3回戦も勝利したことで日本人3人目のマスターズ1000のツアーでベスト8に残った西岡にメダルの期待がかかります。

ダニエル太郎

2018年に元世界ランク1位のジョコビッチを下したことで一躍有名となったダニエル太郎ですが、2019年はどうも結果が出ていないようです。デビスカップでは何度も日本代表に選ばれている彼は代表としての資格は持っているものの、今後のツアーの結果にまずは期待がかかります。

マクラクラン勉

ダブルスのスペシャリストとして自身最高の世界ランク18位を経験しているマクラクラン勉。オリンピックは同国の選手とペアを組む必要があり、外国籍のパートナーと普段試合に出場している彼にとって新鮮な経験になるでしょう。

錦織とのペア結成を本人が望んでいることを会見で明らかにした経緯もあり、シングルスだけでなくダブルスにも目が離せません。

日本代表候補は誰になるのか:女子

大坂なおみ

言わずと知れたスーパースター大坂なおみ。しかし彼女が日本代表になるためには数々の困難が待ち受けているようです。その詳細については記事の後半で紹介しています。

土居美咲

2012年にはHPオープンでクルム伊達を破りベスト8入り、2016年のウインブルドンではベスト16に進出、同年10月の世界ランキングでは自己最高の30位となりました。

しかし2017年に怪我を経験してから世界ランクも急降下し、引退を考えたほどだったといいます。2018年秋から徐々に復調の兆しが見えてきた彼女がもう一度輝くところを東京で見たいですね。

奈良くるみ

2014年に世界ランク32位を経験し、2015年には世界ランク1位だったS・ウィリアムスを破る大金星をあげ一躍有名になりました。

ここ最近ではなかなか勝ちきれない試合が増え、思うような結果が出せていません。持ち前のハングリー精神で若手に負けない強さを見せて欲しいですね。

東京オリンピックテニス強化指定選手一覧

男子

  • 錦織圭
  • 西岡良仁
  • 内山靖崇
  • ダニエル太郎
  • マクラクラン勉
  • 綿貫陽介

女子

  • 大坂なおみ
  • 青山修子
  • 加藤未唯
  • 清水綾乃
  • 土居美咲
  • 奈良くるみ
  • 二宮真琴
  • 日比野菜緒
  • 穂積絵莉

大坂なおみは東京オリンピックに出場できない可能性がある!?

日本人として初のグランドスラム制覇を果たし、さらに世界ランク1位の座まで登りつめた大坂なおみ。

まさに生きる伝説、時の人となった彼女ですが、東京オリンピック出場には今までに無い前途多難な課題が多くあることをご存知でしょうか。

国籍という代表になるための壁

IOC(国際オリンピック委員会)が定めている規定として「出場選手は国籍のない国の代表選手になることはできない」というものがあります。国の代表が勝敗を争うわけですから、当然といえば当然です。

そして日本は「二重国籍」が認められていません。これが大坂なおみの東京オリンピック出場にどう関係しているのでしょうか。

現在、大坂なおみはアメリカと日本の二重国籍を「アメリカ」で取得しています。アメリカは二重国籍の取得を許可していますので、これまでのキャリアにおいて特に問題はありませんでした。

しかし日本代表としてオリンピックに出場するとなると話はややこしくなります。

なぜなら上述したとおり、オリンピックに日本代表として出場するためには日本国籍を取得する必要があり、しかも日本は二重国籍を認めていないためです。

つまり東京オリンピックに出場するためにアメリカ国籍を完全に放棄する必要があります

日本国籍を取得した場合はどうなるのか?

日本の「国籍法」において、「20歳前に外国と日本の国籍を2重に取得した場合は22歳までにどちらかの国籍を選択しなければならない。」という規定があります。

現在大坂なおみは21歳、次の誕生日である2019年10月16日までに日本かアメリカ、オリンピックに関係なくどちらかの国籍を選択する必要があります。

アメリカに在住している彼女はもしアメリカ国籍を失った場合、「外国人」という扱いになるわけですから、アメリカに住むためにはビザの取得などが必要になります。

家族との関係や居住環境、スポンサーなど様ざまな課題に対してまだ若干21歳の大坂なおみは決断しなくてはなりません。

アメリカ代表になる可能性はあるのか?

では大坂なおみは今回の東京オリンピックにアメリカ代表として望む可能性があるのでは?と思われる方もいらっしゃるでしょう。

しかしその可能性は限りなく0に近いです。

なぜならIOCの規定に「すでにどちらかの国、もしくは地域の代表となっている場合は、別の国や地域の代表になることはできない」という条件があるからです。

フェドカップに日本代表として参加したことがある大坂なおみはこの規定に引っかかるため、アメリカ代表になることはほぼ不可能です。

重要なのは彼女自身の気持ちか

「日本代表としてオリンピックで戦うのが私の夢」

このように語っていた大坂なおみはこれまでも日本人としてグランドスラムで戦ってくれました。きっと日本代表としてオリンピックに出場してくれることでしょう。

前途多難ではありますが、日本国籍を取得しオリンピックに出場する大阪なおみを全力で応援することが、私たちにできる一番の彼女への貢献なのかもしれません。

日本代表を全力で応援しよう!

いかがでしたでしょうか。代表としてオリンピックに出場することがいかに困難で名誉のあることかお分かりいただけたかと思います。

応援する私たちが選手のためにできることもたくさんあります。それは「応援マナーの徹底」です。

テニスは特に観客のマナーに対して各国の反応は非常にシビアです。自国の選手が出場して興奮してしまうときこそマナーが求められます。ゴミは持って帰る:コートに来たときよりも美しく、失点時に落胆の声をあげない、サーブからポイントが決まるまでは静寂を保つなどです。

「日本のファンは素晴らしいマナーを心得ていた」と他国のお客さんに言われるような全力の応援を目指しましょう!!