テニス界の次代の王者候補、ステファノス・チチパスとは。

ここ10年のATPツアーの頂点にはBIG4が君臨し続けていましたが、最近は加齢による衰え?や怪我により、以前のような絶対的な存在感は薄れてきています。それに伴い次代を担う若手選手たちがATPツアーで活躍を見せ始めています。

今回はそんな若手選手のなかでも既にトップ選手の地位を固めつつあるステファノス・チチパス選手を紹介していきます。

ステファノス・チチパス

ステファノス・チチパスギリシャ国籍で22歳(2020年10月時点)のプロテニスプレイヤーです。簡単なプロフィールは下記の通りです。

  • 身長:193㎝
  • 体重:89㎏
  • 生年月日:1998年8月12日生まれ
  • 出身:ギリシャ(アテネ)
  • 利き手:右利き・片手打ちバックハンド
  • プロ転向:2016年
  • 獲得タイトル数:5(ATP250×3, ATP Finals, Next Gen ATP Finals)

チチパスは2018年1月時点で19歳ながらATPランキング100位以内(91位)に入るなど、早くからATPツアーでも時代を担う若手として注目されていました。2018年に一気にブレイクを果たしATP Next Gen Finalsでツアー初タイトルを獲得し、年末のATPランキングを15位まで上昇させます

翌2019年にはキャリア初のトップ10入りを果たすなど順調に成長し、現在は1つ年上のA.ズべレフと共に次世代のテニス界を支配する王者になるのではと期待されている若手トップ選手の1人です。

プレイスタイル。

2020全仏OP準決勝:ジョコビッチ VS チチパス

チチパスは193㎝の長身とリーチの長さを活かしたアグレッシブなプレーが特徴的です。ディフェンスも上手く、腕のリーチが長いためラリーでは簡単にウィナーを奪われず、クレーコートも苦にしません

多くの若手選手同様にベースライン付近からでも甘い球であればアグレッシブに強打していきます。チャンスがあれば積極的にネットを取るなど、プレイの引き出しは広く、片手打ちバックハンドということもありR.フェデラーと比較されることも多いです。

ATPランキングの変遷。

チチパスのグランドスラム本戦初出場は17歳のときの全仏OP。
引用:ATPより

チチパスが初めてATPランキング入りしたのは2013年11月で、当時の年齢は15歳でした。日本で言えば中学3年生でATPランカーになっているわけですから驚異的な早さと言えます。

2014年以降のシーズン終了時のチチパスのATPランキングは、1280位(2014年)→576位(2015年)→210位(2016年)→91位(2017年)→15位(2018年)→6位(2019年)と毎年順調にATPランキングを上昇させていきます。

グランドスラムの予選出場の目安が300位以内ですから、日本で言えば高校3年生にあたる18歳の年にそのランキングに到達していることになります。翌2017年にはグランドスラム本戦入り目安のTOP100位入りしているので、チチパスの凄さがよく分かります。

テニスを始めたきっかけと家族。

チチパスは両親の影響で3歳からテニスを始めました。父のアポストロスは現在もチチパスのコーチを務め母のジュリアは元プロテニス選手です。チチパスの両親の出会いのきっかけはアテネで開催されたWTAイベントだったそうです。

チチパス家はスポーツ一家で、祖父のセルゲイは五輪のサッカーで金メダルを獲得しており、弟2人と妹1人もテニスをプレイしています。

チチパスは幼少期にテニス以外にも水泳やサッカーをしていたようですが、9歳の時に参加したフランスでのトーナメント後に、「僕は競争や挑戦が好きだから、将来はテニスプレイヤーになりたい。」と自ら両親に告げたそうです。

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チチパスのジュニア時代。

プロテニス選手になることを決意したチチパスは14歳になるとITFジュニアサーキットに参戦し始めます16歳になる2015年にグランドスラムのジュニア部門に初出場し、全豪OPでは準々決勝進出を果たします。

2016年はグランドスラムを含む参戦した全てのジュニア大会で準々決勝進出以上の結果を残し、ジュニアランキングでシングルスNo.1を記録します。ダブルスではウィンブルドンJrをオープン化以降ギリシャ人として初めて制覇します。

チチパスはジュニア時代からシニア大会にも積極的に挑戦しており、2016年はITFの下部ツアーではタイトル獲得、ATPチャレンジャーでも決勝進出など好成績を残し、2017年からは本格的にATPツアーに軸足を移していきます。

ムラトグルー・アカデミー。

チチパスのプロテニス選手としての成功に大きく寄与したのがフランスのムラトグルー・テニスアカデミーです。

元プロテニス選手のムラトグルーが監修したアカデミーでチチパスは2015年から定期的にトレーニングを積むようになります。アカデミーのサポートがあったからこそ、チチパスはジュニアからシニアへの移行がスムーズに進み、21歳の誕生日を迎える前にTOP10入りを果たせたと言えます。

チチパスの今後の可能性。

22歳の若さで既にATPランキング5位を記録しているチチパスが今後、四大大会を制覇する可能性はかなり高いはずです。同世代で王者候補に挙げられるA.ズべレフに比べ、オンコート・オフコートを含めてチチパスの方が精神的に成熟しているのが大きな理由です。

プレイ面については既にジョコビッチやナダルを倒すだけの爆発力を有しており、あとは高いレベルで安定したプレイを継続させていく術を経験によって今後学んでいくことで、プレイヤーとしてもう一段上のレベルに到達するのではないでしょうか。

苦手と言われるバックハンドのリターンについては、若かりし日のR.フェデラーと同じように練習を重ねることで改善していくはずです。今後、チチパスに続くような若手が出てこなければチチパスが一時代を築く可能性さえあります

プレイ以外も魅力のチチパス。

トップ選手としてテニスのプレイで多くのファンを獲得しているチチパスですが、プレイ以外でも際立ったキャラクターを持っていることがテニスファンには知られています。

多言語を操るインテリ。

チチパスは多言語を話すマルチリンガルとして知られています。ギリシャ語、ロシア語、英語の3ヶ国語を操り、現在は中国語とスペイン語を勉強しているようです。

日本との縁もあるチチパス。

チチパスは日本ともちょっとした縁があります。チチパスの伯母が日本人と結婚しており、その影響からか幼少期に日本の漫画やアニメにも触れていたと言われています。

日本のメディアのインタビューでも「日本には住んでみたい。」と発言し、Twitterでも日本語の投稿をするなどかなりの親日家のようです。日本人としてはこれだけもチチパスを応援する理由になりそうですね。

SNSを使いこなすインフルエンサー?

チチパスは自身でyoutubeチャンネルを開設するなど、SNSでの活動にも積極的に取り組んでいます。過酷なツアー生活を旅行のように楽しみながら自分で動画を撮影し、編集までしているそうです。

チチパス自身はSNSでの活動も含めて、ギリシャではまだまだ人気とは言えないテニスの存在感を少しでも向上させたいとの思いもあるようです。

チチパスの活躍には要注目!

テニスも含めてさまざまな魅力をもったチチパスがグランドスラムを制覇すれば、ATPツアーも新たなスターの誕生で大きく盛り上がります。

ジョコビッチやナダル、フェデラーはまだまだ健在ですが、出場大会数の制限や怪我による欠場が徐々に増えるなど、確実に引退へのカウントダウンがすすでいるのは事実です。次代のテニス界の王者候補として今後のチチパス選手の活躍には要注目です。