2016年にS.ワウリンカが全米OPを制覇して以来、2020年までbig4以外の新たなグランドスラム王者は1人も誕生しませんでした。5年以上に渡り、限られた選手たちがタイトルを独占してきたわけですが、2020年全米OPではD.ティエムがとうとうグランドスラム初制覇を成し遂げました。
今回は新たにグランドスラムタイトルを獲得したD.ティエムについてまとめました。
ドミニク・ティエム
- 生年月日:1993年9月3日生まれ(27歳)
- 身長:185㎝
- 体重:79㎏
- 国籍:オーストリア
- 利き腕:右(片手打ちバックハンド)
- プロ転向:2011年
- 自己最高位(シングルス):3位
- 通算成績:297勝155敗(2020.11.8時点)
- 通算獲得タイトル数:17個
プレイスタイル
ティエムは強力なストロークを武器にするベースラインプレイヤーです。アグレッシブでダイナミックなストロークは多くのファンを惹きつけます。特にティエムの片手バックハンドストロークはスピード、回転量共にツアートップクラスで、ストロークには欠点という欠点が見当たりません。
サーブも強力で1stサーブは最速で233㎞/hを記録します。強力なサーブとストロークで主導権を握りながら攻撃的なテニスを展開するため、ティエムのプレイはストローカーが憧れる典型のようなプレイスタイルです。
ティエムが最も得意とするのはクレーコートです。強烈な回転のかかったスピンサーブとストロークは高くボールの跳ねるクレーコートでより一層威力を発揮します。全仏OPでは2度の準優勝があり、クレーコートにおける通算勝率は.750を超えており、数字でもクレーコートでの強さが証明されています。
性格
他のトッププレイヤーと同様にティエムは自分の意見や考えをしっかり持ち、周りに流されることのない強いパーソナリティを持っています。
ティエムの活動からもそのことは分かり、趣味であるサッカーでは仲間と一緒に自分のサッカークラブを設立し、チャリティーマッチを開催しています。社会貢献活動にも熱心で、海洋汚染を防ぐ環境保護活動の支援など、テニス以外の活動にも積極的に取り組んでいます。
また、コロナ禍で収入が減った選手たちの支援については、無条件の支援については疑問を呈するなど、周りに流されずにしっかりと物事を深く考えて意見を述べる思慮深さもあり、かなりスマートな印象を抱かせます。
経歴
ティエムがテニスを始めてから今に至るまでの経歴をまとめました。
テニスをスタート。
プロテニス選手には多いようですが、ティエムの両親もテニスコーチをしており、両親の影響で6歳からテニスを始めます。ティエムの父がウィーンのテニスアカデミーで仕事をしていたため、ティエムは9歳まで父に手ほどきを受けながらテニスに取り組みます。
ジュニア時代
ティエムがITFのジュニア大会に初めて出場したの2008年で、翌2009年から本格的にジュニアーサーキットに参戦します。2009年はITFジュニアで下位ランクの大会となるグレード5と4の大会で優勝し、翌年からグレードの高い大会に積極的に出場し始めます。
2010年はグレード1の大会を4大会制覇し、ITFジュニアランキングを5位となり、2011年はジュニア大会の最高峰であるGradeA大会のオレンジボウルで優勝、全仏OPジュニアで準優勝するなど活躍し、一時はITFジュニアランキングを2位まで上げます。
この年にプロ転向を果たしジュニアは卒業し、翌年からシニアツアーを主戦場として活動していことになります。
プロ転向後
プロ転向後のティエムは順調にATPランキングを上昇させていきます。
下部ツアー時代(2012-2013)。
ティエムは2012年からシニアツアーに移行し、ITF大会で3勝を挙げます。さらに母国オーストリアで開催されるATPツアー2大会でWCにより本戦出場。ウィーンではATPツアーの本戦初勝利を挙げるなど、順調にランキングを上昇させ、年末のランキングを309位まで上昇させます。
2013年も下部ツアーが主戦場となるのもITF大会で優勝2回、準優勝3回と結果を出し、1ランク上のチャレンジャー大会でも優勝2回、準優勝1回と好成績を残します。年末のATPランキングは130位台まで浮上。
2014年からATPツアー定着。
2014年は年初の全豪OPで予選を勝ち上がり初の本戦入りから2R進出。全豪OP後のロッテルダムのATP500でも本戦2Rまで勝ち上がると、ATPランキングは99位となり初のTOP100入りを達成。
その後、マイアミとインディアンウェルズのマスターズで予選を勝ち上がり本戦入り。クレーコートシーズンに入ると、マスターズのマドリードで3R、全仏OPでは2Rと結果を残し、ランキングは50位台へ。その後は母国オーストリアの大会で準優勝、全米OPで3R進取し、39位までランキングを上げます。
更なる飛躍が期待された2015年は序盤で結果が出ずにもたつくも、クレーコートシーズンに入ると調子を上げ、ニースのATP250で初のツアータイトルを獲得。その後は7~8月にクロアチアとスイスのATP250大会で2週連続優勝し、年末のランキングはTOP20入りします。
TOP10に定着。
2016年はアカプルコで初のATP500タイトルを獲得。得意のクレーコートシーズンでは全仏OPでSF進出するなどポイントを稼ぎ、初のTOP10入り。その後もシーズン終了までTOP10を維持し、ATPファイナルズにも初出場。2016年シーズンを8位で終えます。
2017年はグランドスラム大会全てで4R進出を果たすなど、ティエムは名実ともにトップ選手と言えるような安定した成績を残し、2年連続のATPファイナルズに出場。ランキングは5位まで上昇します。
2018~2019年の2年間も安定した成績を残しTOP10を維持します。2018年は全仏OPで初のグランドスラムの決勝進出。2019年はインディアンウェルズで初のマスターズタイトルを獲得するなど、ランキングは大きく上昇せずとも、ティエムは確実にテニスの質を向上させていきます。
グランドスラム初制覇。
2020年は全豪OPと全米OPの2つのグランドスラムで決勝進出。全豪では準優勝。全米ではグランドスラム初制覇を飾り、ジョコビッチ、ナダル、フェデラーの領域にとうとう足を踏み入れたのではと感じさせる活躍を見せます。
ティエムの時代はこれから?
BIG3は怪我など衰えを見せ始める一方で、チチパスやズべレフのような勢いのある若手の突き上げもあり、ティエムが今後どこまで活躍できるかは分かりませんが、私はティエムが今後も長くトップで活躍するのではないかと考えています。
ティエムはTOP10入りして以来、大きな怪我もなく、一度もTOP10から陥落することなく5年近くトップレベルを維持し続けています。強靭なフィジカルが要求される男子ツアーにおいて長期離脱することなく、安定した成績を残し続けることは特筆すべきことです。
故障しないと強い身体と、年齢的にもまだ伸びしろがあることからもティエムは今後も長くトップで活躍し、私たちテニスファンを楽しませてくれるはずです。
- 投稿者プロフィール
- 阿部亮平
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