原因がわかれば予防できる!テニス肘の原因と対策

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テニス経験者の3~5割が経験したことがあるとされている「テニス肘」。皆さんも一度は聞いたことがある怪我ではないでしょうか。テニスだけでなく仕事や日常生活でも発症する可能性のあるテニス肘ですが、気づいたら悪化していたというケースも少なくありません。

この記事ではテニス肘の原因と対策について詳細にご紹介します。

テニス肘って何?

手首に負担がかかる動作を行った時、肘の外側から前腕にかけて痛みが起こる症状のことで、悪化してしまうとコップを持っただけで激痛が走るほど危険な怪我です。

テニス以外にも日常生活でよく使う腕の怪我は悪化してしまうと完治するまでに時間がかかります。軽度の段階で早めの治療、また怪我をしないための対策が重要です。

捻挫や肉離れと違い徐々に症状が現れる怪我のため、悪化するまで放置してしまうことが多いです。疲労骨折につながる可能性もあるため、軽度だからといって治療しないのは賢明とはいえません。

テニス肘の原因とは?

「テニス肘って聞いたことあるけど、なったことないしなんで痛くなるのかよくわからない…。」という方も多くいらっしゃることでしょう。

この項目ではテニス肘になってしまう原因とフォアハンド・バックハンド別の損傷部位の違いまで詳細にご紹介します。

日常生活でも発症の可能性があるテニス肘ですが、本記事ではテニスをプレーすることでなぜテニス肘になってしまうのかに焦点を当てて解説します。

テニス肘になってしまう理由とは

ストロークを打つ際に、筋肉と骨をつなぐ「腱(けん)」という部位に大きな負荷がかかることで小さな損傷が蓄積され、慢性的な痛みにつながると考えられています。

テニス肘の場合、 「短橈側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)」という筋肉とつながっている腱へのダメージの蓄積によって、手首を使う動作時に強い痛みが走ります。

またテニスの試合は一般的に長丁場になることが多く、肘や手首の疲労の蓄積も他のスポーツに比べたまりやすい傾向にあります。試合を棄権したくないとき、特に部活の全国予選のような負けられない局面のときに無理をして悪化させるケースが非常に多いです。

「打ち方」が一番の原因!?

肘に大きな負担がかかるストロークの打ち方がテニス肘の主な原因といわれています。特に初心者の方の場合、手首を使って回転をかけたり、正しいフォームが安定していない状態で長時間の試合を行ったりといったときに起こりやすいです。

もし肘や手首に少しでも違和感を感じた場合、すぐにプレーを中断して安静にし、コーチや医師の指示に従いましょう。

フォアハンドで痛めやすい部位

正式名称は上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん・フォアハンドテニス肘)といいます。

ストロークの際インパクトからフォロースルーに入る一連の動作の中で、正しいフォームではない場合、内側への間接の動きとともに大きな負荷が肘にかかってしまいます。またスピンをかける際に肘に無理な動きを加えてしまうと、フォアハンドテニス肘になりやすくなります。

バックハンドで痛めやすい部位

正式名称は上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん・バックハンドテニス肘)といいます。

フォアハンドと同じく、正しいフォームでない場合に起こりやすいです。ただしバックハンドに関しては両手打ちなのか片手打ちなのかによってフォームの修正ポイントは変わってきますので、自分のフォームをコーチに確認してもらって適切な修正指示を仰ぐのが得策といえるでしょう。

テニス肘に有効な対策5選

テニス肘にならないためには適切な対策が何よりも重要です。なぜなら一度完治したとしても原因が分からないままでは再発するリスクが非常に大きいからです。

この項目ではテニス肘を未然に防ぐ、または軽度の状態で進行を遅らせるための対策をご紹介します。

フォームの見直し

テニスをプレーしたときに起こるテニス肘の主な原因は誤ったフォームです。最も厄介な点は自分自身ではフォームのどこに原因があるのか発症前に判断することが非常に難しいことにあります。

そのためまずは身近なコーチなどの専門家に自分のフォームがテニス肘の危険があるかどうか確認してもらうことが重要です。

慣れてくるとスピードのあるボールを打ちたくなるものですよね。下半身を使った体重移動と体幹を軸にした回転からスピードをボールに乗せるのがベストですが、これを腕だけで出そうとしてしまうとテニス肘へのカウントダウンが始まります。

上記のとおり、新しいことを始める際には必ず専門家の指示を仰いで怪我を未然に防ぎましょう!

肩や腕のストレッチ

ストレッチには「動的ストレッチ」と「静的ストレッチ」の2種類があるのをご存知でしょうか。トレーニング前に静的ストレッチを行うと怪我のリスクが高まる危険性がありますので、静的ストレッチは必ずトレーニング後に行いましょう。

動的ストレッチ紹介

肩を大きくゆっくりまわします。前に10回、後ろに10回まわしましょう。肩関節の可動域をを広げることで肘への負担を軽減することができます。

手を前に組んで手首をゆっくりまわす動作も取り入れましょう。10秒程度まわすことで手首の緊張が取れて怪我を未然に防ぎます。

静的ストレッチ紹介

「肘をピンと伸ばした状態で手首を曲げ、30秒間静止した後リラックス」という動作をトレーニング後に行いましょう。筋繊維がしっかり伸びていることを意識しましょう。

筋トレ

テニス肘は関節の怪我ですので、筋肉のように鍛えて防ぐことができません。

しかし間接周りの筋肉を鍛えることで筋肉がサポーターの役割を果たし、怪我のリスクを軽減させることができます。軽めのダンベル(1キロ程度、筋力によって適切な重さを用意しましょう)、ゴムチューブを用意しましょう。

ダンベルまたはチューブをぴんと張った状態で持ち、手首の曲げ伸ばし運動を行います。10回3セットを目安に、少ししんどいなと思うレベルを日々続けてみましょう。テニスの技術向上にもつながって一石二鳥です。

ダンベルカールも肘のサポートに有効です。無理のない重さで10回3セットを目標に日々の練習に取り入れてみましょう。デカイ上腕二頭筋は自分に自信もつけてくれますのでやはり一石二鳥ですね!

サポーターやテーピング

スポーツで発症した関節痛にはサポーターが有効です。とくに軽度の痛みがあるときにそれ以上悪化させないための応急処置としても使えます。

ただしあくまで悪化を防ぐものであり治療ではないので、完治させるためには安静にするのがベストです。

アイシングまたは患部を暖める

プロ野球選手のピッチャーが投球後にベンチで肩を巨大なアイシング器具で冷やしているところを見たことがありますでしょうか。関節痛の予防としてアイシングは最適です。ハードなトレーニング後は肘や手首など酷使した間接部分をしっかり冷やしましょう。

しかしテニス肘が慢性化してしまった場合、アイシングが逆効果になる可能性がありますので注意が必要です。アイシングの結果痛みが生じる場合はすぐにアイシングを中止しましょう。

慢性化したテニス肘を安静にして治療しているときは患部を暖めることで血流を良くして完治を早めることができます。暖めたときに痛みが生じない場合、積極的に暖めましょう。

正しい対策でテニス肘を予防しよう!

正しい対策をすれば、テニス肘は未然に防ぐことができます。自分は大丈夫、と思わずにフォームの見直しなどを積極的に行いましょう!

また、テニス肘が悪化してしまったときは専門の医師に必ず相談し、適切な治療を行いましょう。